会社員の年収が増えている、というニュースです。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
上場企業の社員の平均年収が2018年度は692万円だったことが日本経済新聞社の集計でわかった。12年度から6年連続で増えて年率の伸び率は1%だった。一方、同期間の純利益の伸び率は年率12%で配当総額も同じ12%伸びた。企業の株主重視の経営姿勢が鮮明になっている。
記事の冒頭は上記引用の通り。
つまり、「年収の伸びよりも配当の伸びの方が相当大きいですよ」
というニュアンスですね。確かにその差は大きく感じます。
今回の調査は日本経済新聞社の経済データベースを基に算出されたもの。
平均年収692万円、というのはいかにも高額ですが、
例えば
・上場企業のみのデータである
・持ち株会社は少人数の幹部社員の平均である
といった要因があり、年収が高く見えやすい統計といえます。
一方で、国税庁が調査している民間給与実態統計調査は
中小企業を含むサンプル調査です。
こちらによりますと、2018年の正規社員の平均年収は503万円。
かなり平均値は下がります。
ただ、2012年との比較ではやはり年率1%の上昇となります。
給与の伸び自体はこの程度が実態、と言えそうですね。
さて、貴校園の給与の平均値はどのくらいで、
ここ数年でどのくらい伸びているでしょうか。
年齢給が多い学校法人においては、
財政難等で昇給ピッチを修正している例を除けば、
伸びの平均が1%にとどまっていることはおそらくレアでしょう。
そして、専任教職員の平均年収は692万円と503万円の
どちらに近いのでしょうか…。
このような情報も、これを機に整理しておかれるといいかもしれませんね。
ちなみに、今回の新聞記事にはこうも書かれています。
社員の平均年齢は単純平均で41歳と6年前比で1年4カ月、平均勤続年数は13.5年と同8カ月伸びた。平均年収の伸びは高齢化の影響もある。
仮に今回の統計値に高齢化が影響しているとすれば、
世間ではほとんど賃金水準は上がっていないことになります。
先月には消費税率が8%から10%に上がり、社会保険料率も上がっていく中で、
個々の可処分所得はむしろ下落傾向、というのが世間の現状かもしれません。
その中において、学校では世間並みよりも高い給与水準が実現できている、
とすれば、なぜそれでも人材難が起こっているのかを考えてみる必要がありそうです。
貴校園の人事制度について、今一度課題を整理してみてはいかがでしょうか。
(文責:吉田)