若者の借金が増えているようです。少々驚きました。
ちょっと学校経営とは離れてしまいますが、
近年の若者の志向を知るために、ご紹介いたします。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
若い世帯の借金が膨らんでいる。2018年の20~30代の負債残高は政府による現行調査が始まった02年以降で最高となった。持ち家志向が強く、住宅ローン残高が増加している。ローン金利の低さなどから「賃貸住宅に住むよりも得」と判断した人が多いが、負債を抱えたことで普段の消費は節約に努める傾向が見える。
記事には、首都圏で延べ床面積100平方メートル超の戸建て住宅を
建設しようとしている女性の例が掲載されています。
同条件の住宅を借りた場合よりも、月間10万円安いという結果になったので
「持ち家が得」と判断、購入を決めたそうです。
なぜ今、住宅ローンを負う若者が増えているのか。
その理由を記事はこう分析しています。
日銀の超低金利政策による住宅ローン金利の低下で購入を決めやすくなったことが知られるが、原因はほかにもある。
一つには企業が社宅や賃貸補助を減らしたことが影響している。経団連によると企業の住宅関連の福利厚生費は17年度に従業員1人当たり月1万1436円。ピークの96年度に比べ3割減った。低負担で賃貸住宅に住みながら貯蓄する機会が減り、購入に踏み切るタイミングが早くなった。
第一生命経済研究所の星野卓也氏は「大都市への人口集中が続き、都心の不動産は価値が下がりづらいという見方が購入動機になっている」と推測する。ある都内のタワーマンションの営業員は「山手線の内側は下がりにくい」という売り文句で取得を勧めている。
なるほど、住宅手当は確かに減っているようですね。
そして、都市圏の不動産価格の安定感もそれを後押ししている、と…
ただ、私はこの記事を読んだときに、
若者の個人負債が増えている理由は果たして住宅ローンだけなのか?
と、少し不安になりました。
というのも、知人の弁護士から耳にした話では、
いわゆる消費者金融から少額の借入をする若者は結構多いようなのです。
親しみやすいCM等の影響もあって、
消費者金融のハードルは私たちほど高くないのかもしれません。
現状、小中高では金融や経済を学ぶ機会は限られています。
借入にはメリットもたくさんある一方で、当然リスクもあります。
十分な知識やリスクの認識がないまま、借入が常態化することは
決して望ましいとは言えないように思います。
ちなみに、上記グラフにもあるように、日常生活では
消費を抑制している若者も多くなっているようです。
これも借入の影響とみる向きもあるようですので、
健全な経済活動という観点からすると、
ややバランスが悪くなっているのかもしれませんね。
18年の家計調査によると、世帯主が30代の家計の負債(1329万円)に対して貯蓄は631万円だ。負債は貯蓄の2.1倍で、10年前の1.3倍から急拡大した。
2千万円の老後資金が必要とした金融庁金融審議会の報告書。計画的に資産をつくる必要を訴える狙いだったが、「30~40代は負債超過で資産形成どころではない」と指摘する声も上がった。
これまでは個人の形成資産によって、
国の借金も大きな問題になりにくかった日本経済。
果たしてその構造はいつまで続くのでしょうか。
少なくとも学校の保有資産は安全性を最重視しながら
経営を進めていただきたいと思います。
(文責:吉田)