寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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「無園児」社会から置き去り

「無償化」に向けた準備が進む幼稚園。

ですが、「無園児」の存在は忘れ去られていないでしょうか。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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3歳を超えて幼稚園にも保育園にも通っていない子どもがいる。行きたくても行けない待機児童の対策は進むが、親に通わせる意思があるかすらわからない子どもは置き去りにされている。社会との接点が少なく、無縁とかけて「無園児」とも呼ばれ、最近の研究で貧困家庭や外国籍の子が多いことがわかってきた。困難な状況が浮かぶ。

 

悲しいことに、家庭の所得の多寡によって教育を受ける機会に

大きな差が生まれている、この日本社会。

幼児教育の無償化はそのような状況を改善してくれるどころか、

恩恵を受けるのはむしろ高所得世帯のほうである、とも言われます。

 

今回の記事で紹介されている論文では、

世帯年収が最高、最低のそれぞれのグループを比較すると、

4歳児の就園率が1.5倍異なる、とされています。

 

そして、未就園児には

・発達の遅れがある

・歯科健診に来ないし、来ても虫歯が多い

といったこともより起こりやすいという統計が明らかになっています。

いや、このような統計があるのはまだいいほうで、本当の大きな問題は、

「起こっている問題が誰も把握できていない」

ことにあるのかもしれません。

 

内閣府などの資料によると、3歳以上で小学校に上がる前の未就園児は約10万人いる。対象年齢の3%と少ないが、実態ははっきりしない。しかも、10万人の中には理念ある「自主保育」に通う子らも含まれ、内閣府は「本当にどこにも通っていない子の人数はわからない」とする。

厚労省管轄の保育園、文部科学省の幼稚園のどちらにも所属しない未就園児は支援の網の目からこぼれ落ちてきた。宮腰光寛少子化相は4月、参院の委員会で未就園児への対応を問われ「研究したい」と答えたが、「正直、担当省庁も決まってない」(内閣府)。

 

今回の無償化施策では、未就園家庭を救うことは残念ながら難しそうです。

一方で、各地域に存在している幼稚園では、

定員を満たせていないケースもかなり多いように思います。

無償化への対応も進める必要はありますが、

各地域での未就園家庭への就園の働きかけもまた、

幼稚園経営にとって重要なテーマかもしれません。

幼稚園は社会的にとても大切な存在です。

各地域社会でよりいっそう大きな存在感を示されることを強く願っております。

 

(文責:吉田)

 

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