大卒初任給、上昇してきているようです。
日経新聞より。
厚生労働省によると、2018年春入社の大学卒業者の初任給は前年比0.3%増の20万6700円と5年連続で増加し、過去最高を更新した。新卒採用が学生優位の「売り手市場」となっているのを背景に、人材獲得のため初任給を引き上げる企業が増えている。
リクルートの20年新卒採用見通し調査では初任給の引き上げを、すでに実施か予定している企業が約半数に達した。例えば、みずほ証券は20年春の大卒初任給を1万円引き上げて25万5000円にする予定だ。ただ外資系などに比べて国内企業の初任給を含む処遇がなお見劣りするとの指摘もある。
近年は海外企業との人材の取り合いも激化していますから、
国際的な賃金水準を確保する目的もあって
初任給や中途採用者の給与も上がってきているのかもしれませんね。
ところが、このニュースにはこんなおまけがついてきました。
同じく日経新聞より。
初任給を引き上げる動きが産業界で急速に広がっている。若年層やデジタル人材を取り込もうとする企業が処遇改善を競い合う。企業が成長を続けて収益を増やし続けない限り、中高年の給与にしわ寄せがいく。業績が低迷する電機メーカーや構造変化に見舞われる製薬などでは中高年の厳しさが増している。人手不足が年功序列を前提とした賃金制度を崩し始めている。
AIの登場により、現在の職種とは大きく様変わりしそうな今後の職場。
当然、未来に向けた人材確保が必要になる各企業においては、
若年層やAI時代に活躍が期待される人材層をめがけて人事施策を展開します。
初任給を上げると、その原資をどこから持ってくるのか?
この問いを考えれば、既存人材への配分を減らす、ということになるのは
当然の帰結かもしれません。
収益が伸び悩む大手電機メーカー。初任給は上昇しているが、全体の平均年収は低下傾向にある。50代男性社員は「働き方改革で残業代も減った。10年前の50代と比べて給与が少ないのは正直悔しい」と話す。
厚労省の賃金統計表をもとにした分析では、1000人以上の企業で働く40~44歳の男性の平均年収は、08年の797万円から18年は726万円に減少。45~49歳も50万円ほど下がった。一方で18年の25~29歳は08年より17万円、20~24歳も15万円増えている。
私も各校園の賃金制度改正のお手伝いをすることがありますが、
その際にはどうしてもこの課題にぶつかります。
しかし、その給与水準が生活を脅かすものであれば問題ですが、
ある程度の上昇カーブを描いた後の金額なのであれば、
制度そのもののつくりを変えていくことに消極的であってはならない、
とも思います。
高度経済成長を終えたこの時代に、
自分たちよりも上の世代と比較してどうこう、という考え方よりも、
未来に向けて考えをめぐらすことの方が建設的ですし、
きっと気持ちよく仕事ができるでしょう。
実は、若手への処遇改善を目的とした制度改編で
マイナスの影響を受けるのはちょうど私と同世代の方々です。
第2次ベビーブーム世代は人生のあらゆるシーンで
ツキが回ってこないんですよね。。。そのお気持ちは本当によく分かります。
ですが、少なくとも、若手と年配とが対立する構図では何もまとまりません。
40代の方々の未来志向に立ったご高察こそ、
未来をつくる原動力になる気がするのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)