幼保無償化が先日の国会で可決、成立しましたね。
その前に掲載された記事です。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
このたびの法改正により、0~2歳児は住民税非課税の世帯、
そして3~5歳児は原則全世帯を対象に、
子育て世帯にとって有用な制度ではありますし、
幼稚園や保育所にとっても利用者の確保という観点で
経営上も一定の影響が想定されます。
ただ、この制度によって待機児童問題がさらに深刻化する懸念があります。
現在すでにこの問題が顕在化している地域はそれが加速し、
顕在化していない地域でも目に見えるようになるかもしれません。
各園における定員管理の再検討を迫られる例も出てくるのではないでしょうか。
そしてそれ以上に大きな経営課題になりそうなのが、
保育の質の確保、特に幼稚園教諭や保育士の安定確保です。
保育士不足はさらに深刻になるだろう。全国の保育士の有効求人倍率は1月時点で3.64倍で、東京都は6.71倍。一方で、保育士の給与水準は月23万円で、平均より10万円も低い。
保育士資格を持つ119万人のうち、資格を持っているのに福祉施設などで働いていない「潜在保育士」は70万人以上いる。潜在保育士の職場復帰を広げるには給与などでの待遇改善が要る。
処遇改善加算により、給与水準は以前に比べて上昇していると考えられます。
ただ、国家財政に決して余裕があるわけではない中で、
現在のしくみが今後も維持できるかどうかは疑問です。
本来は増税より先に、国の財政構造の根本的な変革が必要だと思うのですが…
保育の質向上のための施策として、記事はこのような指摘をしています。
どうすれば無償化と保育の質を両立できるのか。政府の教育評価機関が無償化の対象となる施設をチェックし、質を担保する英国などの取り組みが参考になる。
無償化をきっかけに政府が基準を見直し、第三者評価機関が保育内容をきめ細かく評価する制度をつくる。結果を公開すれば、親は施設を選びやすくなる。施設側もスキルを持った保育士を確保したいと待遇改善を急ぐ。そんな好循環が生まれる可能性がある。
無償化を急ぐあまり、認可外の保育施設にもその恩恵を広げ、
その結果として保育の質、ひいては施設の安全性そのものが担保されない…
そのような事態は極力防ぐ必要があります。
「第三者評価」は今後に向けたキーワードになり得る、かもしれません。
無償化が各園の経営に与える影響は今後明らかになっていくことでしょう。
子どもたちの笑顔をいつまでも守れるように、
よりよい子育て環境をつくっていきたいですね。
(文責:吉田)