寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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国立大学の一法人複数大学制度

国立大学の一法人複数大学制度。

言葉にするとややこしそうに見えますが、

いわゆるアンブレラ方式に関する議論が進み始めたようです。

文科省HPより。

 

国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議:文部科学省

 

そしてこのたび、1回目の会議の議事録が公開されました。

 

国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議(第1回) 議事録:文部科学省

 

この議事録、いつものように大変読みにくいです。

初回は各委員がお持ちのお考えを披露されていますので、

どんな意見があったか、少し見ておきましょう。

1つずつの意見がかなり長いので、太字で重要箇所を示します。

少子化の進展や国の財政的基盤の脆弱化に伴い、スケールメリットを生かした資源の有効活用などの観点から一法人複数大学という方式が提案され検討されていることは十分に理解する。国立大学間のみならず、公立や私立大学との間、また研究機関、企業等との間で様々な形で連携体制を構築し強化することは今後増々必要になってくると考える。しかし、大学経営という観点からは、改善改革が図れるであろうが、全国の国立大学に対して一律にこの方式を適用することが最善の道であるか否かは十分に検討する必要がある。つまり一法人複数大学化することによって、各大学がこれまで培ってきた様々な教育と研究の資産やミッションに基づいて築いてきた社会的価値が失われることも十分に有り得る。また個々の構成大学ではなく、総体として評価される可能性が高いことからもそれぞれの構成大学の特色が失われる心配がある。将来を見据えて多様な在り方を許容するということが必要ではないか。また、一法人複数大学化のその先の議論として、少子化によって18歳人口が減少するのだから、国立大学の統廃合もやむなし、との意見も聞かれるが、留学生の増員、人生百年時代に向けた社会人のリカレント教育の推進、高等教育の国際展開、地方創生への貢献など、大学教育に課された責務は大きい。これらの需要については、18歳人口の減少とは別の観点から論じることが必要であって、この視点を今回の議論の主な柱にすることは得策ではないと思っている

 

変化の速い国際経済及び研究環境に適応するとともに、厳しい財政状況及び人口減少という状況下で、イノベーションの促進と人材育成を図るには、大学が利用し得る限られた資源を、ミッションを果たすために有効と思われる分野に集中的・効率的に投入する必要がある。それには組織再編の弾力化等の大胆な改革が必要であり、それらを実現できる強力な経営能力が求められる。不透明な状況下でベストな組織形態は見出せず、それゆえに多様な形態を認め、多様な試みの中からより優れた組織形態が追究されるべきである。ただし、結果についての経営責任は厳しく問われる制度の導入が不可欠である。以上のような観点から、大学における経営と研究教育は分離し、教員はできる限り研究に専念できる、多くの研究時間と研究費を提供されるべきである。他方、経営者は外部環境に適応しつつ、組織全体として最大限の研究成果と人材育成を達成するために学内における資源配分と組織管理を行うことを任務とすべきであり、このような任務は当然、経営を専門とする管理者に委ねられるべきである。

 

おそらく大きな問題は法人上の長と大学上の長の役割分担をどうするか。つまり、理事長と学長を分けるのかが問題なのだと思います。あるいは今やられていますように大学の長が統括をしている国立大学となっている、おそらく国立大学法人になった一番の大きな要因としては経営と教学を包括的に一体化することが大きな目的の1つだったというふうに思います。例えば、多くの私立大学でガバナンスのことを考えるときにいくつかの課題があるのかと思いますが、そのなかで、おそらく理事長と学長とが別になっている大学っていうのはやっぱり経営と教学がバラバラになりがちです。

 

これ以外にもいろいろと意見交換がなされていますが、

初回ということも影響しているような気がします。

今後はある方向に議論が集約されていくことと思われますので、

これからも内容を注視したいと思います。

 

(文責:吉田)

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