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学校における働き方改革に係る緊急提言

今年の7月、文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会に「学校における働き方特別部会」が設置され、8月29日に「学校における働き方改革に係る緊急提言」を発表しました。

 

学校における働き方改革に係る緊急提言:文部科学省

 

発表された緊急提言は以下の3つです。

 

  1. 校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
  2. 全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
  3. 国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること

 

文部科学省が実施した「教員勤務実態調査(平成28年度)」の結果から、教職員の長時間勤務の実態が看過できない状況であることから、このような緊急提言が発表されました。

そのような背景を考えると、学校における働き方改革は待ったなしの状況です。

 

教職員の出退勤時刻の記録を行っていない学校が多いことから、特に早急な対応が求められるのが「労働時間管理」です。

緊急提言では、労働時間管理について以下のように言及しています。

 

  • 業務改善を進めていく基礎として,適切な手段により管理職も含めた全ての教職員の勤務時間を把握すること。勤務時間管理は、労働法制上、校長や服務監督権者である教育委員会に求められている責務である。出退勤時刻の管理についてタイムカードや校務支援システム等を導入する学校が増加しているものの、文部科学省が実施した「教員勤務実態調査(平成28年度)(速報値)」によれば、教員の毎日の退勤時刻の管理について「タイムカードなどで退勤の時刻を記録している」と回答した学校は小学校で10.3%、中学校で13.3%、「校務支援システムなどICTを活用して退勤の時刻を記録している」と回答した学校は小学校で16.6%、中学校で13.3%にとどまっており、いまだ限定的である。こうした実態も踏まえ、服務監督権者である教育委員会は、自己申告方式ではなく、ICTやタイムカードなど勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムが直ちに構築されるよう努めること。
  • 教職員の休憩時間を確保すること。その上で、学校の諸会議や部活動等について勤務時間を考慮した時間設定を行うこと。教員の勤務時間外における保護者や外部からの問合せに対応するため、服務監督権者である教育委員会は、緊急時の連絡に支障がないよう教育委員会事務局等への連絡方法は確保した上で、留守番電話の設置やメールによる連絡対応をはじめとした体制整備のための支援を講じること。部活動の適切な運営について、教員の負担軽減や生徒の発達を踏まえた適切な指導体制の充実に向けて、休養日を含めた適切な活動時間の設定を行うとともに、部活動指導員の活用や地域との連携等必要な方策を講じること。長期休暇期間においては一定期間の学校閉庁日の設定を行うこと。また,こうした点について、PTA等の協力も得ながら、保護者や地域住民等の理解を得るための取組を進めること。
  • 管理職の役割分担を明確にするとともに、組織管理や時間管理、健康安全管理等のマネジメント研修を充実し、意識改革と実践力の向上を図ること。

 

労働時間を管理する上でまず重要なことは、教職員の出退勤時刻を記録し、把握することです。

これができていなければ、実態の把握ができないことに加え、どこに問題が生じているのかも把握することができません。

 

また、教職員の長時間労働の大きな要因として挙げられている部活動に関しても言及されています。

これまでにも文部科学省は部活動に関する休養日設定例等を提示してきましたが、それが守られていない現状を踏まえ、部活動の適切な活動時間の設定が求められています。

 

「できない理由」を挙げればキリがありませんので、前例や慣習、学校の常識は一旦横に置いて、あるべき姿を実現するための方策を早急に検討し、実行に移す必要があります。

見て見ぬふりをしたり、問題を棚上げしてしまうと、学校のブランド価値は間違いなく低下してしまうでしょう。

全ての学校において喫緊の課題と捉え、早急な対応が望まれます。

 

 

(文責:木村)

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