寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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学校における働き方改革特別部会

文部科学省は、中央教育審議会の初等中等教育分科会に「学校における働き方改革特別部会」を設置し、7月11日に第一回目の部会を開催しました。

昨今メディア等で取り上げられることの多い教職員の業務負担軽減や働き方改革に向けて、学校と教職員が担うべきそれぞれの業務の在り方や、学校の組織運営体制について議論を重ねる予定とのことです。

 

学校における働き方改革特別部会:文部科学省

 

上記リンクには、非常に多くの当日配布資料が添付されていますが、その中に、『教員の働き方改革に関する関係団体・有識者ヒアリング結果』という資料があります。

32の団体・有識者に対して行ったヒアリング結果がまとめられた資料ですが、有識者としてこの部会に参加されている、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室 淑恵さんへのヒアリング結果の一部をご紹介いたします。

 

  • 教員はルールを順守する意識が強く、児童生徒に説明する時の習慣で話が長い。お互いを慮るうちに結論が出ない会議を長時間やっていることが多い。教育委員会の調査等、外的な要因により業務が増えており、自分たちではコントロールできないと諦めている。
  • 教員の業務改善のコンサルティングを行ったとき、留守番電話を設置し、18時以降、業務に集中できる環境を整備したことが最も効果があった。短期的で横展開しやすいのも特徴である。保護者からも「決められた時間に対応してもらえる方が電話をしやすい」「教員の勤務時間を意識できる」という声があり、教員・保護者双方の満足度が高い。
  • 毎月1回、教員同士で校務の課題や改善について議論したり、業務の見える化を行う会議も効果がある。自分たちで考え、変えていくことに意味がある。変えられないと思っていたルールも話し合うことで変えられたり、短時間で多くのアイディアを出したり、議論できるようになるなどの小さな成功体験を積み重ね、「変えていける」という意識を持つようになる。教育委員会等の外部への働きかけや管理職を動かすことを考えるようになるという効果がある。
  • 教員の多くは勤務時間の把握をしておらず、把握手法もアナログである。学校にICTを使いこなす人材がいないことが課題であり、ICTに強い人材を加配措置すべき。その際、校長の直属のスタッフとして配置すべきであり、単純に事務員として配置すると既存の業務のやり方をそのままICT化し、業務改善に繋がらない。ICTスキルの高い人材を雇いやすいよう週に3~4日程度の短時間勤務で雇い、勤務管理システムの導入、長時間勤務の要因分析、業務のICT化、教員からのICTに関する相談対応、保護者への連絡のペーパーレス化をしてもらうと良い。短時間勤務であれば出産を機に退職したICTスキルの高い人材を確保できる。留守番電話やICT化のための仕組みなどは、学校ごとに違うものを導入しても教職員が異動のたびに使い方を覚える必要がでたりトータルでの導入費用も高くつく。国や都道府県等まとまった単位で同じものを導入することで、コストを抑えつつ教職員が使いやすい仕組みを入れることが有効であると考える
  • 管理職である校長・教頭と教員の距離が遠いため、意思伝達や指示が届きにくい。学校の組織体制の階層を無くしてはどうか。例えば、小学校であれば校長の下に1年生と6年生の担任、副校長の下に2年生と3年生の担任、教務主任の下に4年生と5年生の担任をチームとして編成し、管理職が担当する学年を明確にし、フラットな組織体制にすれば勤務管理や業務改善の会議を開催しやすい。コミュニケーションの頻度が高まり、情報伝達や相談がタイムリーに行える。

 

「学校に勤務したこともない人に内部のことなんてわからないよ・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、学校や一般企業を問わず、外部の目というものは新鮮で新たな気付きをもたらしてくれることも多くあります。

ただ、それを受け入れる素直な気持ちがなければ、その後の改善にはつながりませんが・・・

 

例えば、上記引用文の1点目にある会議の内容や、5点目の組織構造については、学校の内部にいるとそれが当たり前と感じてしまっているようなことなのではないでしょうか。

当然、学校特有の事情も多くあることとは思いますが、 慣習や前例に捉われてしまっていては改革は進みません。これは一般企業はもちろん、個人にも当てはまることです。

 

とにかく、学校組織の在り方が大きな転換点を迎えていることは間違いありません。

教職員の皆さんには新しい視点と素直な気持ちを持っていただき、より良い学校組織へと変革していただきたいと心から願うばかりです。 

 

(文責:木村)

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