私の学生時代の授業といえば、先生が教壇に立って教科書に沿って一方的に教えるという形式が当たり前でしたが、アクティブラーニングを始め、最近は様々な形式の授業を取り入れる学校が多くなっています。
本日は、高校2年生が先生となり中学1年生に対して行った授業のご紹介です。
神奈川県鎌倉市の鎌倉女学院中学校・高校で7月6日、情報モラルをテーマにした中高合同の公開授業が行われた。高校2年生が中学校1年生にスマートフォンやSNSの注意点を教えた。スマホを使った疑似体験や身近な事例を用いた劇などを織り交ぜ、中高生双方に深い学びが展開された。
疑似体験では、高2がLINEの使い方について説明した後、中1に1台ずつ実物のスマホを配布。「体育祭の練習」という状況設定で、LINEのグループトークを行わせた。その際、生徒それぞれに「練習に出た人」「出なかった人」などの役割を演じさせ、「体育祭の朝練に出なかった人に『逆ギレ』してください」といった指示に従い、中1は次々にコメントを投稿。あっという間にコメントがエスカレートし、言い争いに発展していった。
同校の球技大会で、他クラスを中傷する内容を投稿した実際例を扱った活動では、その状況を再現劇で上演。その後、「この投稿で問題なのはどこだと思いますか」といったポイントを振り返るクイズを出題。何がいけなかったのか、どうすればよかったのかを考えさせた。
中1からは、「ひとつの発言で大変なことになってしまった。怖いと思った」「文字によるコメントは言い方がきつく感じる」といった感想が聞かれた。
授業後の意見交換会では、参観したタレントのスマイリーキクチさんが「ネットの危険はいろいろあるが、大人が教えるよりも子供同士で教え合うほうが伝わる。ぜひ他校でも実践してほしい」と授業を参観した感想を述べた。スマイリーキクチさんは、高校生にインターネットのマナーについて講演しているという。
指導した佐藤正二教諭は「高2には、なるべく場を盛り上げるのを意識すると良いと伝えた。4年目の実践となる今年は、学校で実際に起きた事例など、子供たちにとって身近でリアルな題材が多く取り入れられた。難しい面もあるが、情報モラルを指導する上では、リアリティを伴わなければ自分事として考えてくれない」と語った。
また「教えたほうの高2が、自身のSNSの使い方について向き合うようになったと実感している。年齢が近い先輩が教えて、SNSのトラブルを身近な問題として捉えるようになるだけでなく、人に教える行為そのものに大きな効果があるようだ」とも。
同教諭は今後、近隣の小学校と連携し、小学生に高校生が情報モラルを教える授業に、新たに取り組むという。
非常に興味深い授業ですね。
今回、この授業で扱ったテーマはSNSということで、本来であれば先生役を務めた高校2年生にこそ教えなければいけない内容だと思いますが、そんな彼らが先生役をしたことで、ただ知識を教わるよりも非常に大きな効果があったようです。
授業をするにあたっては大変な準備があったかと思いますが、やはり他人に物事を教えるということは、自分自身に知識として定着させる上で大変有効な手段であるともいえそうです。
また、この授業を行った鎌倉女学院中学・高等学校は中高一貫の学校ですが、その特色を十分に活かした取り組みであるとも思います。
このような授業の形式は様々なテーマに応用することができそうですので、各校にとって非常に参考になる事例なのではないかと感じました。
(文責:木村)