寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

将来構想部会

今、学校に求められていること。

それは「将来構想」です。

20年前であれば、少なくとも外部経営環境は現状よりもずっと恵まれていたため、

ある程度成行に任せて経営をすることができた学校業界。

ですが、同様の意識では経営が行き詰まることは明白な現代、

将来構想を明示し、組織の力を結集してそちらに向かうことが

重要、いや必須だと言えます。

 

本日ご紹介するのは、まさにこの名の付いた部会。

中教審の大学分科会の中に設けられているこの部会の名称、

読者の皆様はご存知でしたでしょうか。

 

将来構想部会(第9期~):文部科学省

「第9期」なんですね。

ずいぶん前から開催されているのでしょうか。

そして、本年度は5月に第1回の会合が開かれました。

その際の資料も上記リンクから閲覧できます。 

 

本日のブログでは、第1回の内容を見るより先に、

そもそもこの部会に諮問された内容を見ておきましょう。

ここに、将来構想がなぜ必要なのか、その理由が記載されています。

我が国社会のあらゆる側面において,かつて経験したことのないスピードで大きな変化が進行しています。例えば,IoT(Internet of Things),ビッグデータ人工知能等を活用する「第4次産業革命」は,既存の産業構造,就業構造,さらには人々の生活を一変させる可能性があることが指摘されています。
また,我が国の高等教育機関への主たる進学者である18歳人口の推移を見ると,2005年に約137万人であったものが,2016年には約119万人にまで減少しています。今後18歳人口は2030年には約100万人にまで減少し,さらに2040年には現在のおよそ3分の2に当たる約80万人となるという推計もあります。

このような経済社会の変化やグローバル化の急速な進展,本格的な人口減少社会の到来の中で,一人一人の実りある生涯と我が国社会の持続的な成長・発展を実現し,人類社会の調和ある発展に貢献していくためには,人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関が一層重要な役割を果たすことが求められます。とりわけ,今後の人材育成においては,新たな知識・技能を習得するだけでなく,学んだ知識・技能を実践・応用する力,さらには自ら問題の発見・解決に取り組む力を育成することが特に重要となっています。このことを通じて,自主的・自律的に考え,また,多様な他者と協働しながら,新たなモノやサービスを生み出し,社会に新たな価値を創造し,より豊かな社会を形成することのできる人を育てていかなければなりません
このような要請に応え,高等教育機関が求められる役割を真に果たすことができるようにするためには,各機関の役割や機能の強化と,教育研究の質の一層の向上が必要です。また,人口減少社会において一人一人が変化に対応する力を身に付け,より高い能力を発揮することができるよう,高等教育の機会の確保を図っていくことも重要です。さらにこれらを実現するための財政支援の方策についても検討する必要があります。

人口減、そして産業構造の変化…

もう聞き飽きた、という内容が並んでいるかもしれません。

しかし、これらの時代変化に応じた学校の変化は、

まだスタートラインについたところ、のような気がしてなりません。

 

特に近時感じるのは、公立校の変化に比べると、

私学は外見上(法人格・学校種・男女共学…)の変化こそあれ、

中身の改革が進んでいる印象がそれほど強くない、ということです。

未来の社会を念頭に置いて、その中で自校がどのような役割を果たすのか。

私学各校の在り方と教育内容が問われているように思えてなりません。

 

ちなみに、ご紹介した将来構想部会においては、

次のような事柄が審議される予定です。

 

第一は,各高等教育機関の機能の強化に向け早急に取り組むべき方策についてであります。
第8期の中央教育審議会大学分科会においてまとめられた「今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する論点整理」の中で,各高等教育機関の今後の機能強化の方向性とその実現のために検討すべき事項が示されています。この論点整理を踏まえ,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれの機能の強化に向けて,教育課程や教育方法の改善,学修に関する評価の厳格化,社会人学生の受入れ,他の機関と連携した教育の高度化などの様々な観点から,早急に取り組むべき具体的施策や制度改正について検討をお願いします。

第二は,変化への対応や価値の創造等を実現するための学修の質の向上に向けた制度等の在り方についてであります。
我が国の大学政策については,現在,学部・学科や研究科といった組織に着目した在り方を中心に構成されていますが,学問の進展や社会の変化に対応した教育や学生本位の視点に立った学修の実現していくためには,学位を与える課程(「学位プログラム」)に着目した在り方をより重視していく必要があるとの指摘がかねてからなされています。こうした「学位プログラム」の位置付けや学生と教員の比率の改善,ICTの効果的な利活用など,学修の質を向上させるための課題について,設置基準,設置審査,認証評価,情報公開の在り方を含めた総合的かつ抜本的な検討をお願いします。検討に当たっては,大学設置・学校法人審議会における審議や認証評価機関における取組との連携の確保にも御留意くださるようお願いします。
また,グローバル化や第4次産業革命が進む中での学位等の国際的な通用性の確保,高等教育機関の国際展開,外国人留学生の受入れや日本人学生の海外留学の促進,地域の産業界等との連携による人材育成,社会に出た者が何度でも学び直せる環境の整備,高等教育機関間あるいは企業等との間での教員・学生の流動性の向上,効果的な運営のための高等教育機関間の連携などの在り方についても検討をお願いします。

第三に,今後の高等教育全体の規模も視野に入れた,地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方についてであります。
前述のように,2016年の我が国の18歳人口は,2005年と比較して大きく減少しています。その間,高等教育機関全体としての数や入学者数は減少する一方,四年制大学の数は,726校から777校へと増加しており,入学者数も約60.4万人から約61.8万人に増加しています。また,2014年の我が国の大学学士課程への進学率は49%であり,OECD平均の59%と比べると低いという評価もできる一方,専門学校等も含めた高等教育機関全体への進学率は80%であり,OECD平均68%を上回っています。
さらに,我が国では,他のOECD諸国と比べて,学生に占める留学生や社会人学生の割合が低いという状況もあります。また,地域によって高等教育機関への進学率や進学者収容力(ある地域に所在する高等学校卒業者で高等教育機関に進学する人数に対する当該地域に所在する高等教育機関の入学定員の比率)が異なるとともに,少子化の中で,地方の私立大学ほど厳しい経営状況に陥る傾向にあるなど,地域によって高等教育の置かれている状況も異なっています。
こうした状況等も踏まえ,今後の高等教育の構造の在り方について考える必要があります。特に,各機関の使命や社会のニーズを真に踏まえた高等教育の実現に向け,今後の高等教育全体の規模も視野に入れながら,既存の学部・学科等の構成や教育課程の見直しを促進するための方策はもとより,高等教育機関間,更には高等教育機関と地方自治体・産業界との連携の強化に関する方策も含め,地域における質の高い高等教育機会を確保するための抜本的な構造改革の在り方について検討をお願いします。
その際,分野別・産業別の人材育成の需要の状況についても十分に考慮するとともに,国公私の設置者別の役割分担の在り方や国公私の設置者の枠を超えた連携・統合等の可能性なども念頭に置きつつ御検討くださいますようお願いします。

第四に,高等教育の改革を支える支援方策の在り方についてであります。
厳しい財政状況の中,各機関においては,十分な人件費や研究費の確保が困難となり,教育研究活動に大きな影響を与えかねない問題が生じているとの指摘があります。第一から第三までの検討事項も踏まえ,教育研究を支える基盤的経費,競争的資金の充実,透明性の確保の観点も踏まえた配分の在り方等について検討をお願いします。
その際,学ぶ機会の保障のため,学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方に関してもあわせて検討をお願いします。 

これらの問いは、教育施策としては国家あるいは政府として、

または文科省として考えるところのものではありますが、

各私学においても考えてみるべきテーマだと感じます。

なぜなら、私学は独自にシナリオを作り、実践することができる、

あるいはそうすべき機関であるからです。

もちろん、大きな国家施策に従う必要はありますが、

私学は建学の精神を中心に据えた教育を行うのがその本質です。

 

学校経営は永続が必須です。

御校の教育内容を求めて、学校と相思相愛の子どもたちが集う学校で

あり続けていただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

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