女性の社会進出が進む中、都市部を中心として待機児童問題はなかなか解消されませんね。国も「待機児童解消加速化プラン」を策定して取り組みを進めていますが、抜本的な解決に至っていないのが現状です。
その理由の一つとして保育士の不足が挙げられており、その背景には待遇面や労働条件の悪さが指摘されています。
さて、この状況はいつまで続いてしまうのでしょうか。
株式会社ウェルクス(本社:東京都墨田区両国)が、現役の保育士や元保育士を対象として保育士不足に関するアンケートを実施し、その結果を公表しました。
まず、待機児童問題についてどのような対策が必要かに対する回答は以下のとおりです。(複数回答可)
- 待遇改善などによって保育士を増やす 84%
- 企業内託児所を完備する 57%
- 小規模保育施設を増やす 50%
- 保育士シッターが1対1で自宅で保育を行う 31%
- 保育士配置数の規制を緩和する 18%
やはり「待遇改善」が圧倒的に多くなっています。実際に現場に携わる方々へのアンケートですので、待遇の改善がいかに急務であるかがわかる結果です。
次に、保育士の採用が難しいとされているのはどのような理由があるかに対する回答は以下のとおりです。(複数回答可)
- 給料の安さ 72%
- 残業など勤務時間の長さ 58%
- 人間関係の難しさ 48%
- 保護者対応の大変さ 42%
- モチベーションが続かないこと 25%
- 休日出勤の多さ 21%
- 人事評価制度がないこと 11%
1位、2位は予想どおりの結果といったところでしょうか・・・。
1位の「給料の安さ」について、現在の月給が15~17万円であると回答した人が全体の22%と最も多くなっている一方、23万円以上と回答した人は全体の11%に留まっており、全体的な給与水準の低さが明らかとなっています。
また、2位の「残業など勤務時間の長さ」について、1日の勤務時間が10~11時間と回答した人が全体の34%となっており、また、10時間以上と回答した人は全体の62%にも上ることから、長時間労働が常態化していることが見えてきます。
加えて、3位の「人間関係の難しさ」、4位の「保護者対応の大変さ」も40%以上の人が回答していることから、待機児童解消のために保育士の不足を解消するには課題が山積と言えるでしょう。
大切な子どもを預かるという大変な重責を担っている訳ですから、それに見合った給与水準に引き上げることが必要であることは当然ですが、このアンケートの結果からは労働環境全般の改善も急務であると言えそうです。
(文責:木村)