教員の長時間労働の要因の一つとして挙げられている部活動。また、教員だけでなく生徒達への過度の負担も問題になっています。
そのような中、これからの部活動の在り方については多くの学校で様々な議論や検討がなされているのではないでしょうか。
本日は、全国大会の常連でもある近畿大学附属高校のバスケットボール部における部活改革の取り組みについての記事をご紹介します。
同部は過去5年で夏の全国高校総体と冬の全国高校選抜優勝大会に3回ずつ出場した大阪の強豪校。もともと文武両道の方針から練習時間は短く、月曜日を部活休みにしていたが、大森教諭は「月曜は登校日で、実際には休めない」と考えていた。
自身も校内で教員の仕事や責任が増大する立場となり「疲れやストレスで生産性が落ちている」と感じていたという。
平成27年冬に同部を初の全国選抜ベスト8に導いたことが、改革に踏みきったきっかけ。「結果を残した今しか変えられない」と、昨年から週末の練習試合は土曜日に組むようにし、日曜日は大会や遠征がない限りは完全オフに変更。居残り練習もやめ、部員を早い時間に帰宅させている。当初は「強くなるわけがない」といった批判的な声がほとんどだったというが、28年も夏冬の全国大会の切符は確保。すると、学内外から「日曜を休みにし、どう変わったの?」と関心を持たれるようになった。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」を反面教師とした良い改革だと思います。
教員も生徒も部活動のために毎日通学している訳ではありませんので、過度な部活動により疲労が蓄積してしまうと、教員にとっては授業の質の低下に直結しますし、生徒にとっては学業に専念することが困難になることは明白です。
勉強も部活動もメリハリをつけて生産性を上げることが大きなポイントですね。
滅多なことがないと休むことすらできない部活動もある中、ユニークな制度も導入されています。
もう一つの独自制度が年10日の年休だ。「クラブ休暇取得届」の用紙に理由を書いて3日前までに申請すれば、部員は自分の意思で練習を休むことができる。80人の大所帯ながら、レギュラーや補欠を問わず、等しく「休む権利」が与えられている。
取得理由は通院や休養などさまざま。2年の野崎海斗さん(16)は「テスト前の勉強のために使った」という。年休をすべて使い切る部員は今のところいないものの、大森教諭は「家族旅行に使ったっていい。休むのも自主性」と強調する。練習時間が短くなる分、3年の能登慎也さん(18)は「練習中のシュート一本一本を大事にしている」とメリハリを大事にしている。
3年で主将の柳原捷壱(しょうい)さん(18)は「自分の計画が立てられるようになった」とメリットを話す。今春の卒業生の中には、年休をうまく使いながら冬の全国選抜まで部活を続けて受験勉強と両立させ、難関の国立大に現役合格した部員もいる。大森教諭自身も日曜日は休み、リフレッシュした頭で学校や部活のことを考えられるようになったという。
部活動の在り方を変えることに抵抗を示す教員や保護者も少なからずいらっしゃるでしょうが、冒頭にも記載したとおり、教員の長時間労働が大きな問題となっている状況において、部活動を適正化することはもはや時代の要請といっても過言ではないと思います。当然、生徒への過度の負担を解消するという観点からも絶対に必要なことでしょう。
部活動の在り方をより良く変えていくためには学校全体の問題として取り組むことが必要だと思いますが、そのうえでも、この近畿大学附属高校バスケットボール部の取り組みはどの学校にとっても大変参考になるのではないでしょうか。
(文責:木村)