寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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高等学校教育の改革に関する推進状況

本日のブログ、表題をご覧になってどんなイメージを持たれますでしょうか。

最近のキーワードである「アクティブラーニング」などの

教育内容、教育技術面の改革を想像される方も少なくないのでは…

 

実は私もそうでした。

資料を開けてみてびっくり。全然違っていました。

 

文科省HPより。

高等学校教育の改革に関する推進状況(平成28年度版):文部科学省

 

まずはこの資料が何を示しているか、

上記HPでまとめが記載されているので先に見ておきましょう。

1.調査内容

都道府県及び指定都市における高等学校教育の改革に関する推進状況について調査を行い、その結果をとりまとめたものです。

2.調査結果の概要

(1)中高一貫教育校の設置・検討状況
平成25年度の450校と比較して145校増加し、595校となっています。
内訳は、中等教育学校52校、併設型461校、連携型82校です。
なお、平成29年度以降に設置が予定されている中高一貫教育校は26校です。

(2)総合学科の設置状況
平成25年度の363校と比較して12校増加し、375校となっています。

(3)単位制高等学校の設置状況
平成25年度の974校と比較して33校増加し、1007校となっています。

※調査時点:平成28年4月1日

というわけで、学校の「枠組」に関する変化の状況が掲載されています。

中高一貫校総合学科・単位制についての学校数統計、ということですね。

 

本日は中高一貫校の数について、詳細を見ておきましょう。

都道府県別に見た場合、中高一貫校数が多い順に以下の通りとなります。

・東京都:136校(公立17、私立117、国立2)

・神奈川県:35校(公立4、私立31)

・福岡県:29校(公立5、私立24)

静岡県:21校(公立6、私立15)

・北海道:19校(公立8、私立11)

 

皆様がお住まいの都道府県は登場しましたか?

上位5都道府県の中には、大阪(12校)や愛知(17校)、京都(12校)などは

登場していませんね。

私は大阪在住ですが、大阪の中高一貫校がたったの12校しかない、

というのは驚きに近い感覚です。

 

中高一貫校、というのは特に私学では一般的、と思いがちなところですが、

併設型、あるいは連携型の要件を満たし、

申請が認可されて初めてその位置づけとなることから、

一般的な感覚とはどうしても大きなずれが生じてしまいます。

正式には「中高一貫教育校」という名称ですが、これにあたらずとも

中高一貫校として認知されている中高も多く存在していますので、

ここでの数値とは乖離が生じてしまうのでしょうね。

 

中高を一貫させるメリットは、何といっても教育内容の一貫性、でしょう。

中学と高校それぞれの3年間を6年間で捉えることによって、

近視眼的な教育ではなく、長きを見据えての教育が実践できます。

このことを期待して、生徒や保護者がその学び舎に集う、

ということが考えられます。

 

では実際のところ、中高一貫校における教育内容は

どうなっているのでしょうか。

6年間を一体と捉えた教育が実践され、それが成果を生んでいる、

と明言できる例はどのくらいあるでしょうか。

このへんの検証は今後なされることになるのでしょうが、

私学においては自らがその検証を行い、そのエビデンスを基に

将来の生徒募集活動や教育内容の改善に活かしていきたいところです。

これは正規の中高一貫教育校のみならず、

中高のいずれもを有する学校法人であれば

考慮すべき事柄ではないか、と思います。

 

そして本日ご紹介した資料にもあるように、

公立校の中高一貫教育校は増加する傾向にあります。

よりいっそう、公私の競合が激しくなるとも言えるわけです。

御校自身の立ち位置を今一度ご確認いただき、

将来に向けた展望を明らかにしていただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

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