寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学のアクティブラーニングスペース設置状況

まずは先週末、弊社主催セミナーにお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

熱心なご参画をいただき、大変盛り上がりました。

そのご報告は明日のこのブログでさせていただくこととしまして、まずはお礼まで。

 

さて昨今、学校教育においてアクティブラーニングが何かと注目されていますね。高校においてもアクティブラーニング型の授業を取り入れているところが増えてきているようですが、学校に関する様々な調査結果からは、多くの高校でどのように展開すればいいのか試行錯誤しながら模索している状況であることも見えてきています。

 

これまでの学校教育になかった新たな取り組みですので、まだまだ手探り状態が続くことが予想されますが、子ども達の主体的な学びに資するような形でしっかりと展開されることを願っています。

 

さて、本日は大学におけるアクティブラーニングに関する話題です。

 

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文部科学省の「学術情報基盤実態調査」の結果によると、大学の半数以上が、学生のアクティブ・ラーニング(能動的学修、AL)のためのスペースを設けていることがわかりました。ALのためのスペース設置が半数を超えたのは、初めてです。大学では、学生のALに対する支援が着々と進んでいるようです。

調査は、国公私立大学779校(国立86校、公立86校、私立607校)を対象にして、2015(平成27)年5月1日現在の状況を調べました。それによると、主に大学図書館の中に複数の学生が集まり、さまざまな情報資源を活用して議論などを進めてく学習スタイルを可能にするなど、ALのためのスペースを設けているのは411大学(各74校、23校、314校)、52.8%となりました。

2012(平成24)年度調査では、ALのためのスペースを設けている大学は181校、23.3%でしたから、この3年間で、約2.3倍も増加したことになります。設置者別に見ると、図書館外も含めてALのためのスペースを設置している割合は、国立が86.0%(うち95.5%が館内)、公立が26.7%(同81.8%)、私立が51.7%(同79.9%)となる計算で、特に国立大学の図書館における充実ぶりがうかがえます。

問題解決学習・グループ学習・ディスカッションなど、ALの形態は多様ですが、大学において重要なのは授業だけでなく、日常的に学生同士がALをできる場が確保されていることです。このため大学図書館では、パソコンなどを使いながら討論できる特別なスペースを設けるところが増えています。一人静かに読書や研究にふけるという従来の図書館のイメージは大きく変わりつつあるようです。

学生同士のALをサポートするためのスタッフを、図書館に配置している大学も増えています。たとえば、図書館利用・文献検索サポートのための人員を配置しているのは、国立43校(2012<平成24>年度は25校)、公立12校(同1校)、私立166校(同62校)、分野別学習相談を行っているのは国立28校(同14校)、公立7校(同1校)、私立85校(同33校)などとなっています。

具体的な事例を見ると、東北大学では、グローバル化に対応したエリアを図書館に設けて、外国人留学生と日本人学生が学び合う場となる「グローバル学習室」を設けています。また、龍谷大学の図書館では、「スチューデントコモンズ」「グルーバルコモンズ」「ナレッジコモンズ」という学習形態に応じたスペースを設け、それぞれに大学院生などによる「コモンズチューター」を配置しています。

ALを徹底するためには、単に授業の形態を変えるだけでなく、日常的な学習の中で学生たちの意識を変えていくことが必要です。

高校以下の教育でも、思考力・判断力・表現力などを育成するためにALの導入は、大きな課題となっています。生徒などのALを保障するための場を、授業以外でもつくるという発想は、高校以下でも必要になってくることでしょう。

 

半数以上の大学でアクティブラーニングのためのスペースが設置されているとのことですが、我が母校のホームページを閲覧してみたところ、やはり大変立派なスペースが出来上がっていました。

 

記事中にもある文部科学省「学術情報基盤実態調査」を見てみると、平成22年にはスペースを設置していたのは100校だったところ、平成28年には411校と劇的に増加していることから、もはや大学には必要不可欠な設備になりつつあるということが言えそうですね。

 

そして、記事の最後には、今後は高校以下の学校においてもアクティブラーニングのためのスペース設置の必要性が高まってくることが予想されていますが、すでに設置している高校も増えてきていることから、当該スペースの設置が学校の大きな武器になることは間違いなさそうです。

 

アクティブラーニング型の授業を展開するためには、既存の教室や設備のままでは使い勝手が悪く、十分な効果が得られないことも考えられます。

今後、校舎の建替えや改修を計画する上では、アクティブラーニングのためのスペースの確保や必要な設備の整備は絶対条件になりそうですね。

 

(文責:木村)

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