人間誰しもが関わるのが「教育」と「医療」。
学校をはじめ、教育産業でも喫緊の課題である働き方改革ですが、医療分野でもそんな悩みが大きいようです。
日本経済新聞より。
病院、手探りの働き方改革 医療の質と両立に苦慮|健康・医療|NIKKEI STYLE
医療従事者にも働き方改革の波が押し寄せている。「時間外」としてきた当直などが労働時間と判断され、夜勤委託や残業規制の動きが広がる。時短勤務で働き手を増やす病院もある一方、「厳しい規制は医療崩壊につながる」との懸念も。医療現場は医療の質との両立に苦慮している。
これが記事冒頭の文章です。
学校との共通点を強く感じずにはいられません。
ある女性看護師さんは2人の子どもを抱え、長時間労働が難しいところ、週3日、1日6時間勤務に従事。病院独自の制度として「週1回、1日2時間」の短時間から働けるしくみを整えていらっしゃるそうです。
制度を提案した看護部長のコメントが印象的です。
「高齢化で患者が増えるなど病院は昔よりも忙しい。
1人でも、1時間でも働いてくれることが有り難い」。
そして院長も
「多様な働き方を認めなければ人が集まらない」。
この制度によって、日中の人手が増え、夜間に手厚く看護師を配置できるようになり、医療の質も向上した、といいます。
医療現場は“外圧”でも働き方改革を迫られている。その一つは「医師の当直は労働時間」と判断した2013年の最高裁判決だ。
訴訟では県立奈良病院(現在は奈良県総合医療センター)の産科医が当直に対する割増賃金の支払いを求めて提訴。同病院は当直を「軽度な業務」として労基署に届け出て労働時間に含めていなかった。
だが一審・奈良地裁、二審・大阪高裁はいずれも「当直時間の4分の1は労働している」「待機時間も呼び出しに応じる義務がある」などとして当直を労働時間と認定。県は上告したが最高裁が退けた。
この判決を受けて、当直を労働時間とした事例もこの記事に掲載されています。
その一方で、「サービス面で従来とは異なる対応を取らざるをえない場面が多々出てくる可能性があります」との貼り紙を出した病院の例も載っています。
どちらも事実。さて今後、どうしていけばいいのでしょうか。
私は、「働き方改革」のキーワードは業務の「質向上」だ、と考えています。
労働時間が短くなれば、その分だけ業務量が減り、サービスが低下する…というふうに考えがちです。
しかし、先ほどの院長コメントには「医療の質も向上した」とあったように、労働時間の制約が業務の質を高めることはむしろ自然な帰結だと私は思います。
別の院長は
「医師の疲労は本人の健康に加えて、医療事故にもつながりかねず、適切な管理は当然必要」
と話しておられます。
病院が安全な医療の提供を業とするならば、これが事の本質ではないでしょうか。
翻って、学校はどうでしょうか。
修学旅行に同行した教職員の労働時間は…?
部活動に従事している教職員の労働時間は…?
1人の同じ教員があれもこれも従事し、労働時間が長時間になっているとすれば、そのしわ寄せ=弊害は肝心の教育内容、教育の質に現れているはずです。
残業代が発生しなければいい、というレベルの問題ではないのです。
教育の質向上のための働き方改革を、学校でもぜひ実践していただきたいと思います。
ちなみに弊社ではこんなセミナーもやりますのでぜひお越しください。
残業と長時間労働を“本気で”改善するための方法|株式会社 ワイズコンサルティング
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少々話がそれましたが、病院も学校も、先生と呼ばれる専門職と事務職が混在する組織であり、公金が投入されているサービス業であるなど共通点が多く、経営課題も似通っています。
病院に関する動向、チェックしておかれることをお勧めいたします。
(文責:吉田)