値決めは経営、と語ったのは稲盛和夫氏。
京セラフィロソフィとしても有名なこの言葉ですが、私学の場合、値決めの自由度は一般企業に比べると低いのが一般的。
それでも、授業料や入学金の単価設定は経営の根幹をなす、重要なものであることに変わりはありません。
文部科学省からはこんなデータが開示されています。
平成28年度私立高等学校等授業料等の調査結果について:文部科学省
まずは調査概要を押さえておきましょう。
この調査結果は、都道府県の協力により、平成28年度の私立の幼稚園、小学校、中学校及び高等学校(全日制)における入学時の初年度生徒等納付金の一人当たりの平均額について、とりまとめたものである。なお、平成27年度及び平成28年度の私立幼稚園の調査対象園については、「子ども・子育て支援新制度」(平成27年度施行)に移行していない私立幼稚園である。
それでは掲載データをざっと見ていきます。
まずは直近の納付金平均年額から。
(授業料/入学料/施設整備費等/合計/対前年度増減率 の順に記載)
幼稚園:274,395円/57,802円/33,617円/365,814円/1.7%
小学校:429,050円/186,833円/192,467円/808,350円/0.4%
中学校:411,146円/187,998円/183,869円/783,013円/0.0%
高等学校:393,524円/162,122円/169,048円/724,694円/0.3%
当然、地域差も存在しています。
詳細資料を確認すればそれも掲載されているのですが、主な都府県の数字を見ておきましょう。
(授業料/入学料/施設整備費等 の順に記載)
・大阪府(授業料全国最高):571,806円/194,621円/25,309円
・東京都(入学料全国最高):442,260円/249,874円/211,321円
・福井県(合計額全国最高):435,600円/181,667円/379,975円
・愛媛県(合計額全国最低):283,200円/38,750円/148,692円
・京都府(授業料+施設整備費全国最高):521,223円/90,077円/202,754円
近隣自治体はよく似た金額なのか、と思いきやそうでもないんですね。
そして単年額で見ても上下で2倍、数十万円もの開きがあります。
さらに、ここ数年でどのくらいの金額変化があるかも見ておきましょう。
【高校】(平成24年度→平成28年度の順に記載)
・授業料
私立:378,624円→393,524円
公立:0円→0円
・入学金
私立:160,901円→162,122円
公立:5,641円→5,641円(ただし平成27年度)
・施設整備費等
私立:170,370円→169,048円
公立:0円→0円
【幼稚園】(平成24年度→平成28年度(公立は平成26年度)の順に記載)
・授業料
私立:257,478円→274,395円
公立:77,940円→76,627円
・入学金
私立:52,519円→57,802円
公立:1,203円→1,200円
・施設整備費等
私立:34,904円→33,617円
公立:0円→0円
公立は単に「安い」というだけでなく、経年での安定度もありますよね。
ちなみに2015(平成27)年基準の消費者物価指数を見てみると、平成24年の数値は96.6となっています。
ここから物価上昇率を計算してみると、3.5%増となります。
高校はこれに近い増加率ですが、幼稚園はやや高めになっているようです。
さて御校の納付金、どんな状態でしょうか。
値決めは経営、です。
ぜひこの機会に、提供サービスとのバランス(値ごろ感)を含め、ご高察いただければ幸いです。
(文責:吉田)