寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会

部活動での過度な指導による事故・事件が後を絶ちません。

このようなニュースに触れるたびに、なぜ過去の反省や教訓が

活かされないのかと疑問に思います。

時間の経過とともに事故・事件の記憶が薄れてしまうのか、

それとも、そもそも他人事程度の認識ということなのでしょうか。

いずれにせよ、どこの学校でも起こりうることと認識して、

痛ましい事件を絶対に発生させないよう、全ての学校において

万全の対応を講じる必要があると感じます。

 

本日は、日本体育大学で行われた「学校・部活動における重大事故・

事件から学ぶ研修会」に関する記事をご紹介します。

 

bylines.news.yahoo.co.jp

 

2016年11月7日午後6時。日本体育大学の世田谷キャンパスにある記念講堂は、必修の授業でもないのに、ある講演を聞くために300人を超える学生や教職員でいっぱいになった。普段なら、部活動やアルバイトなどで学生たちも忙しくしている時間帯だ。

行われたのは、「学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会」と題したプログラム。この日は、3回開催分の初日だった。

登壇者は、学校の部活で我が子を亡くした親たち遺族ら。聴衆は主に、体育教師やスポーツ指導者を目指す日体大の学生や、今まさに指導者として活躍している同大の教職員たちだ。

遺族は、部活動で我が子を死に至らしめた顧問たちが行った体罰やシゴキ、緊急時の不適切な対応の実態を教えようと乗り込んだ人たちだ。「被害者の話を、指導者になったときに具体的に思い出せるよう、教員志望の学生に届けたい」と、研修会を企画した南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)の呼びかけに応えた。

 

部活動での事故によりお子さんを亡くした遺族の方々による

研修会ですから、参加した学生や教職員の方々にとっては、

相当深く心に響いたことだろうと思います。

 

登壇された遺族の方々は次のように訴えています。

 

愛知県の山田優美子さんは、県立高校の硬式野球部に所属していた次男の恭平さんを2011年に自殺で亡くした。恭平さんの事例の特徴は、直接体罰・暴力を受けていたのではないことだ。

恭平さんは、監督が、部員たちに暴力や暴言を振るうところを目撃し続けていた。うつ状態となり、次第に部活を無断で休むようになった。無断欠席に気づいた監督からの呼び出しがあったが応じることなく、数日後に命を絶った。

山田さんが驚いたのは、弔問に訪れたチームメイトたちが、野球部内で常態化していた監督の暴力を口々に語ったことだった。

「あまりにも具体的な内容に私が引いてしまったくらいです。『あなたたち、大丈夫なの?』と聞いたら、『いや、大丈夫じゃないっすよ。でも、エラーしたから仕方がないんで』という子がいました。また、『たるんでいると思われちゃったから仕方がない』『リトルリーグの時から監督が殴るのは普通なんで』という子たちもいました。でも、『殴られるのが嫌だからという理由で野球をやめたくない』という声もあり、みんな『耐えれば続けられる』と思いながら野球をやっているんだと思いました」

 

2009年、滋賀県愛荘町立泰荘中学校で、柔道の部活動中に当時中学1年だった長男の康嗣(こうじ)さんを亡くした村川弘美さんは、学生たちにこう訴えた。

「子どもってね、死ぬの。みんなはスポーツとかできる人でしょう。でも、スポーツができない人とか、できても体調が悪かったりすると死ぬのよ。そうしたら生き返らへんの。指導者になる人もたくさんいらっしゃると思う。そうしたらね、命を預かることに責任をもって欲しい。覚悟して欲しい」

柔道初心者だった康嗣さんは、上級生と長時間の乱取りをさせられた後、「声が出ていない」という理由で1人だけ居残りをさせられた。そこで顧問から、絞め技や大外返しを掛けられた後に意識を失った。ICUに運び込まれたものの意識は戻らず、脳死期間を経て、1ヶ月弱後に急性硬膜下血腫で亡くなった。

 

最後に登壇した草野とも子さんは、2003年、専修大学付属高校(東京都)の1年だった娘の恵さんを、バレーボール部の夏合宿中に亡くした。

恵さんは、高湿度となった真夏の体育館でハードな練習をし続けたことから熱中症となり、多機能不全と転倒時の急性硬膜下血腫で亡くなった。

現場にいた女性顧問は、過酷な練習で崩れるように倒れ込んだ恵さんを更衣室に運ばせ、自分はコートへと戻っていったという。その後もフラフラの状態のまま練習を続けた恵さんが最後に倒れたとき、その身体はすでに硬直が始まっていた。しかし顧問は、救急車をすぐに呼ぼうとせず、ようやく恵さんが病院に運び込まれたときにはすでに心肺停止状態だった。

恵さんを指導していたバレーボール部の顧問は、他でもない日体大の出身だった。草野さんは、日体大の学生たちに同じ過ちを繰り返さないで欲しいという願いを込めて、「救急車を呼ぶことを躊躇しないで」と呼びかけた。

 

記事を読んでいるだけで、遺族の方々の無念さが伝わり、

胸が詰まる思いがします。

ただ、異常とも言うべき指導には猛烈な怒りを覚えます。

 

なぜこのような事故・事件が後を絶たないのかが大きな

疑問ですが、その理由が以下のように述べられています。

 

事故や事件の被害者や遺族が直面する課題や教訓を、当事者から直接聞いて学ぶ形式の講義は、法学部などではよく行われている。しかし、体育やスポーツを学ぶ学生たちが、当事者から集中的に直接話を聞くという試みは、公式な形ではおそらく今回の日体大が初めてだ。

登壇した遺族たちも、「ずっと体育の先生になる人たちの前で話がしたかった」「多くの講演を行ってきたが、教員を育てる大学に呼ばれたのは初めて」と話していた。

この画期的な研修会を企画した南部准教授は、これまで体育やスポーツに携わる人たちが被害や加害の実態を学ぼうとしなかった理由をこう推測する。

「法学部の場合は、自分が加害者の側になる可能性をあまり考えないから抵抗なく事例の話を聞ける。けれども、体育大学にいる人たちは、スポーツの指導をしていくと、自分が加害者になってしまう潜在的な可能性がある。事故や事件の話はタブーなのか、慢心なのか理由はわかりませんが、他人事に思えなくて聞きたくない、という思いがあるのではないでしょうか

 

冒頭でも述べましたが、上記のような事故・事件はどこの学校でも

起こりうる可能性があります。

個人的には、まずは学校における部活動の在り方そのものを考え直す

ことが必要だと感じますが、教員の方々は大切な命を預かっている

ということを常に認識した上で適切な指導に当たる必要があります。

 

「部活動は昔からこのようなものだ」という決めつけは思考停止と

同じですし、命が奪われた多くの事例を無視することにもなります。

生徒達の心身の健全な発達のために何をしなければいけないかを

考えると、異常な指導や行き過ぎた指導はなくなるはずだと

思います。

 

(文責:木村)