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寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

政府「同一賃金」へ指針

同一労働同一賃金ガイドライン案が発表されました。

昨日の朝刊は各紙1面でこの話題を扱っているようです。

 

政府「同一賃金」へ指針 非正規の格差是正促す :日本経済新聞

経営側、負担増を懸念 同一労働同一賃金、賞与に影響大:朝日新聞デジタル

同一労働同一賃金:非正規も賞与や昇給明記 政府が指針案 - 毎日新聞

 

まずは内容を確認しておきましょう。

日本経済新聞では「同一労働同一賃金」指針案の要旨を掲載してくれていますので、そちらを引用しつつ見ていくことにします。

なお太字下線は筆者が勝手に付けております。ご容赦ください。

 

まずは【前文】の「目的」から。

 ▽目的

 本ガイドライン案は、正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定するものである。同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)非正規雇用労働者有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものである。

 我が国の場合、基本給をはじめ、賃金制度の決まり方が様々な要素が組み合わされている場合も多いため、同一労働同一賃金の実現に向けて、まずは、各企業において、職務や能力等の明確化とその職務や能力等と賃金等の待遇との関係を含めた処遇体系全体を労使の話し合いによって、それぞれ確認し、非正規雇用労働者を含む労使で共有することが肝要である。

「不合理な待遇差の解消」というのは近時よく耳にするフレーズ ですね。

確かに「不合理」な待遇差は解消すべきだと私も思います。

その「不合理さ」とはいったい…という点で、今回の指針は非常に興味がありましたが…

一方、後段の「処遇体系について労使全体で共有し、話し合う」という点は見過ごされがちですが、重要な着眼点です。

臭いものには蓋をする、という考え方もある中で、きちんと情報共有したうえであるべき形を模索するという意識はぜひ心がけたいものです。

 

続いて【基本給】です。

 労働者の職業経験や業績・成果、勤続年数などに応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の能力を蓄積している有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、その能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 ▽問題とならない例

 同じ職場で同一の業務を担当している有期雇用労働者であるXとYのうち、職業経験・能力が一定の水準を満たしたYを定期的に職務内容や勤務地に変更がある無期雇用フルタイム労働者に登用し、転換後の賃金を職務内容や勤務地に変更があるのを理由にXに比べ高い賃金水準としている。

 基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社で、フルタイム労働者の半分の勤務時間のパートタイム労働者であるXに対し、無期雇用フルタイム労働者に設定されている販売目標の半分の数値に達した場合には、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合の半分を支給している。

 ▽問題となる例

 基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

 基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。

冒頭部分を読むと、給与制度は「能力給」を採用せよ、とも読めます。

ただ、問題とならない例・ならない例を読むとそうでもないような。

能力の「保有」があれば給与を支給するという能力給は、その能力が「発揮」されているかどうかを問わない点において、給与制度上のデメリットをもたらすことがあります。

かといって業績給(成績給)も、学校の場合は成果の把握が難しく、なかなか採用しにくいものです。

この指針、個人的にはちょっと分かりにくいと感じました。

 

続いて【賞与】。

 会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 ▽問題とならない例

 賞与について、業績等への貢献に応じた支給をしている会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の会社業績への貢献がある有期雇用労働者であるYに対して、Xと同一の支給をしている。

 ▽問題となる例

 無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者またはパートタイム労働者には支給していない。

 「貢献」というのは必要な考え方ではありますが、それが同じかどうかを判定するのはなかなか難しいものです。

特に、雇用形態が異なることで、同じ仕事はしているものの「責任」の重さが異なる、ということはよく起こることです。

学校や幼稚園、保育所などでもいわゆる非常勤教職員さんがいらっしゃいますが、専任教職員・正職員さんと同等の「責任」を負うケースはどのくらいあるのか、その点もまた今回の論点に強く影響する気がします。

この点、次の役職手当に関する記述があてはまるようにも思うのですがいかがでしょうか。

 【役職手当】

 役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の役職・責任に就く有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、同一の支給をしなければならない。また、役職の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 この考え方を基本給や賞与にも適用させて良いということであれば、実務に即した差異が認められやすくなるのではないか、と感じます。

 

さらにいくつか書かれていますので、それらはまとめて見てみましょう。

 【精皆勤手当】

 無期雇用フルタイム労働者と業務内容が同一の有期雇用労働者またはパートタイム労働者には同一の支給をしなければならない。

 【時間外労働手当】

 無期雇用フルタイム労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者の所定労働時間を超えた時間につき、同一の割増率等で支給をしなければならない。

 【通勤手当・出張旅費】

 有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の支給をしなければならない。

 【福利厚生】

 ▽福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)

 無期雇用フルタイム労働者と同一の事業場で働く有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、同一の利用を認めなければならない。

 ▽慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給補償

 有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。

 ▽病気休職

 無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない。

 【その他】

 ▽教育訓練

 現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職務内容である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には同一の実施をしなければならない。また、職務の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた実施をしなければならない。

 【派遣労働者

 派遣元事業者は派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一である派遣労働者に対し、その派遣先の労働者と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。また職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情に一定の違いがある場合、その相違に応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

これを読む限り、福利厚生を含め、これまでとは異なる方法を採らねばならないという法人も数多く存在していると思います。

今後さらにこの案が煮詰まっていくことと思いますので、その推移を注意深く見守る必要がありそうです。

 

(文責:吉田)