公立中高一貫校という仕組みがあるのをご存知でしょうか?
「中高一貫校」といえば私学のイメージが強いのですが、
公立でもこの仕組みをとる学校が増えつつあります。
「公立中高一貫校」にも大きく分けて3タイプ存在します。
●中等教育学校タイプ
中学校と高校を分けない6年一貫教育を行う仕組みで、イメージは
従来の私学の一貫教育に近いものがあります。
中学校と高校の垣根がない分、授業のカリキュラムも柔軟に組めるため
中学校の時点で高校の学習範囲を学んだりできるのです。
ある学校では英語の現在完了を教える際に、同時に高校で学ぶ「過去完了」も
一緒に教えているそうです。
その方が生徒には繋がりがわかりやすいみたいです。
●併設型タイプ
中学校と高校の区別があるものの、「高校入試」がないパターンです。
そして、「高校から入学することも可能」なタイプになっています。
先ほど紹介した「中等教育学校タイプ」では高校からの編入は不可能だったのが
このタイプでは可能だということです。
近畿圏に多いのはこのタイプですね。
●連携タイプ
中学校と高校がゆるやかに連携したパターンで、中学校の入学時に特に入試が
ないのが特徴です。
これらのうち近畿圏には併設タイプの学校がほとんどですが、
文部科学省はこの公立中高一貫校を500校まで増やしたいと考えています。
(現在は200校程度)
今後近畿圏でも設置する学校が、増えていくと思われます。
そこで私学にとってどんな影響があるか、考えてみましょう。
仮に「中等教育学校タイプ」が増えてきた場合、
私学の一貫教育と同じタイプのため、強力なライバルになることは
間違いありません。
さらに、それらの学校の大学合格実績が有力私学と肩を並べる
レベルになった場合は、学費(公立校扱いなので私学と比べて安い)の面で
不利になることは十分予想されます。
今までは高校のみ「公立」を意識していればよかったのですが
近い将来「中学校」も「公立がライバル」になると思われます。
幸い近畿圏での設置ペースは首都圏に比べて緩やかですので
今のうちに、中学校の募集(広報)戦略を見直し
ライバルが登場しても「わが校は大丈夫だ!」と強く胸を張って
言える体制を整える必要があります。
その意味でも首都圏での私学の動きは、注意して見ておくことを
お勧めします。
(文責:竹内)