本日のお題は「社会教育調査」。
この名称、ご存じでしょうか。
定期的に公表されている統計のひとつではあるのですが、ひょっとすると私学の皆さんにはなじみが薄い統計かもしれません。
まずはどんな統計なのか、ご紹介しましょう。
以下、文科省HP内の
社会教育調査-平成27年度(中間報告)結果の概要:文部科学省
というページに掲載のある、「調査の概要」から抜粋します。
1 調査の目的
社会教育行政に必要な社会教育に関する基礎的事項を明らかにすることを目的とする。2 調査の周期・期日
周期:昭和 30 年度以降 3 年から 5 年毎,昭和 50 年度以降は概ね 3 年毎に実施。
期日:平成 27 年 10 月 1 日現在。ただし,事業実施状況及び利用状況等については平成 26 年度間(平成 26 年 4 月 1 日~平成 27 年 3 月 31 日)とする。
これだけではよく分かりませんね。
この後、「3 調査票の種類,範囲及び主な調査事項」が続くのですが、そこには調査内容として以下の項目が列挙されています。
1社会教育行政調査
2公民館調査
3図書館調査
4博物館調査
5青少年教育施設調査
6女性教育施設調査
7体育施設調査
8劇場,音楽堂等調査
9生涯学習センター調査
なるほど、公的に設置されたいろんな施設に関する調査なのかな、というふうに推測できますね。
私が今回、この調査結果をご紹介しようと思った理由は
・社会教育施設の数や種類の変遷を見れば、世間での興味や関心事のトレンドが分かるのではないか?
・そのことがひいては私学が提供する教育を考える上でのヒントになるのではないか?
という発想によるものです。
概略のみではありますが、以下、調査結果の主なものをご紹介します。
まずは施設数について。
近年のみで捉えると、ほとんどの社会教育施設が減少傾向であるのに対し、図書館は増え続けており、前回調査(平成23年度)に比べて約2%増、平成5年度と比べると5割ほど増えています。
もうひとつ、増えているのが生涯学習センター。この施設の概念自体が新しい(平成20年度より新たに本調査対象になっています)のですが、前回調査比約10%増というのは増加率として大きいですね。
このブログでも採り上げてきた2つのカテゴリは、世間のニーズが小さくないものと考えられるのではないでしょうか。
ただし、図書館1つあたりの利用者数は前回調査より5%程度減少しています。
そして、国民1人当たりの貸出冊数及び利用回数もわずかながら減少しています。
一方、児童については貸出冊数が増加、過去最高を記録しています。
なかなか複雑な結果ですね。
次に、指導系職員の推移について。
「指導系職員」とはその名の通り、利用者に対して何らかの指導を行う人を指しているようです。
その数の傾向はというと、図書館の司書・博物館の学芸員・社会体育施設の指導系職員の総数は増加しています。
その一方で、当該施設で専任となっている方の割合は減少傾向です。
これも雇用のトレンドと一致しているような気がしますね。
最後に、指定管理者制度の導入状況について。
指定管理者制度とは、施設を保有する地方自治体に代わって、その管理を任された民間事業者が施設管理を行う制度のことです。
この指定管理者制度、公的施設の管理においてかなり導入例が増えてきており、公立の社会教育施設に占める割合は全体の約3割となっています。
例えば図書館や博物館、生涯学習センターなどについて、学校法人が管理主体になるとより高次の、様々な展開ができるのでは…などと思うのですが(現段階では筆者の戯言です)。
以上、直接的な関連は強くないかもしれませんが、学校経営上のご参考になれば幸いです。
(文責:吉田)