寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

高大接続改革の進捗状況について

まずはひとつ、宣伝を。

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今年度は「チーム力」をテーマに5回シリーズで実施している弊社セミナー。

今回はその4回目となります。

今回の題名にもなっていますが、私自身、すべてのことは心身の健康からだと

強く感じております。そう、「元気が一番」なのです。

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さて本題。

文科省から高大接続改革の進捗状況について報告がなされています。

 

高大接続改革の進捗状況について:文部科学省

 

マスコミ等の報道でも内容の一部は伝えられているところですが、

学校関係者各位におかれましてはぜひ原典に当たっておいていただきたいところです。

そこで、今回のブログでは内容をかいつまんでお知らせいたします。

 

まずは今後のスケジュールも含め、現段階の進捗状況を概観しましょう。

下線、太字等についても筆者が勝手に付しております。ご了承ください。

1.高等学校教育改革

○ 教育課程の見直し
・ 年内に答申予定、平成29年度に高等学校学習指導要領改訂予定
○ 学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上
・ 生徒の資質・能力を育成する「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニングの視点による学び)について、学習指導要領と一体で議論。
・ 教員の資質・能力の向上については、平成27年12月答申。秋の臨時国会に向け、教特法、免許法、教員センター法改正を準備中
○ 多面的な評価の推進
「基礎テスト(仮称)」「キャリア・パスポート(仮称)」「検定試験の評価ガイドライン」「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について検討中

2.大学入学者選抜改革

○ 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入…検討中
○ 個別大学の入学者選抜の改革
・ 国公私立の別を問わず、各大学の方針に基づき、受検者を多面的・総合的に評価するための入学者選抜改革の取組が進展

3.大学教育改革

○ 「三つの方針」に基づく大学教育の質的転換
・ ①卒業認定・学位授与、②教育課程の編成・実施、③入学者受入れの「三つの方針」の策定・公表を各大学に義務付け。
・「三つの方針」策定・運用に関するガイドラインを国が作成・配布。
○ 認証評価制度の改善
・ 「三つの方針」等を共通評価項目とし、平成30年度から認証評価に反映。

いかがでしょうか。

それぞれの検討が着々と進んでいる状況がお分かりいただけると思います。

一方で、大学入試につながるところの具体案はまだ十分にまとまっていないことも分かります。 

ただ、情報がないからと言って直前にばたつかないよう、各校、特に高校における教育内容については今から十分に検討しておくべきでしょう。

 

ちなみに、高等学校基礎学力テストの検討状況については以下の通りとなっています。

【これまでの主な検討状況】

○ 「高等学校基礎学力テスト(仮称)(以下「基礎テスト」という。)」は、「義務教育段階の学習内容を含む高校生に求められる基礎学力の確実な習得」と「学習意欲の喚起」を目的として導入が検討されたものである。基本的に各学校や設置者の判断により利用することが想定されている。
○ 今年度は、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」検討・準備グループにおいて、平成29年度初頭の「実施方針」の策定・公表に向け、検討中。
※ なお、「基礎テスト」に係る実証的・専門的検討に資するため、平成28年度に民間事業者に委託(公募)して具体的な問題例(CBTによる出題を含む。)の作成を行うとともに、基礎学力の定着に取り組む実践研究校(10道府県12校)の協力を得て試行的に調査を行う予定。

【検討の方向性】

(1)高大接続システム改革会議の最終報告で示された「基礎テスト」の在り方については、引き続き次の方向で検討する。

① 基本的な仕組み

実施時期(平成31年度試行実施、35年度実施)、科目(当面は国数英。複数レベルから学校が選択)、内容(記述式を含む。英語は「話すこと」を含む4技能)、成績提供(学力定着度合いを段階表示)、結果活用(当面、入試や就職に用いない)等、高大接続システム改革会議の最終報告に沿ったものとする。

② 主な課題
・名称
・CBT、IRTの実現可能性
・具体的な実施体制(民間の知見・ノウハウの活用を含む。)
・その他、受検料や結果提供(表示)の在り方 等
(注)
CBT=コンピュータ上で実施する試験。
IRT=項目反応理論の略称。異なる試験間で難易度の差による不公平を排除することも可能となる。但し、多量の問題ストック、難易度推定のための事前の予備調査が必要となる。

(2)これと併せて、高校における基礎学力の確実な習得、学習意欲の喚起のためのPDCAサイクルの構築の在り方について、改めて検討を行う。

さらに、 少し長くなりますが特に気になる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の検討状況についても報告がなされていますので見ておきましょう。

【これまでの主な検討状況】

○ 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)(以下「新テスト」という。)」検討・準備グループにおいて、平成29年度初頭の実施方針の策定・公表に向け、以下のとおり、記述式や英語の制度設計をはじめとする各論点について検討・整理。
○ 特に、記述式については、教科専門家やテスト理論家等の協力を得て、作問方法と採点方法に関する各検討チームを設け、作問の構造化や採点方法の在り方等について具体化を進めている。

1.記述式問題の導入

○ 評価すべき能力や作問の構造

国語と数学について、選択式・記述式と「思考のプロセス」の関係、共通テストと個別選抜においてそれぞれ評価すべき能力や作問の考え方を明確化。あわせて、大学入試センターに作問体制を整備。

○ 採点の方法・体制

答案の読み取り、文字認識によるデータ化、キーワードや文章構造による分類(クラスタリング)を行うことについて検討。

○ 実施時期を含む全体の制度設計

現在、次の三つの案を検討。

【案1】1月に実施し、センターが採点する案
【案2】12月に実施し、センターが採点する案
① 記述式とマークシート式を同一日程で実施する案
マークシート式は従来通り1月に実施し、記述式を別日程で実施する案
【案3】1月に実施し、センターがデータを処理し、それを踏まえて各大学が採点する案
○ これら3案を基に、今後、大学・高等学校等の関係団体等の意見を踏まえ検討。

2.英語の多技能を評価する問題

○ スピーキングとライティングを含む4技能評価の実現のためには、日程や体制等の観点から、民間の資格・検定試験を積極的に活用する必要。
※ 現状では、資格・検定試験の活用は一般入試で少ない状況。
4技能評価の実現により、高等学校における授業改善を促進。
○ これらを踏まえながら、英語の4技能評価を着実に推進するため、
将来的には、資格・検定試験の活用のみにより英語4技能を評価することを目指すこと。
当面は、センターにおいて英語の試験(リーディング、リスニング)を実施し、認定した資格・検定試験の2技能(ライティング、スピーキング)の結果と共通テストの結果を組合せ、評価することなども併せて実施すること。
などを検討している。
※ 英語以外の外国語の取扱いについて、上記の英語の4技能評価の検討状況も踏まえ検討。

3.マークシート式問題の改善

○ 思考力・判断力を一層重視した作問への改善の具体的な在り方

中央教育審議会教育課程企画特別部会の議論も踏まえ、各教科・科目の特性を踏まえつつ、思考力・判断力を一層重視した作問への改善を図るため、大学入試センターに作問体制を整備。

○ 出題科目数の簡素化

受験者数・成績提供者数の動向や各大学の試験科目の位置づけの状況を把握するとともに、学習指導要領の内容等も勘案しつつ、高校生の科目選択の幅に配慮して、例えば、次のような出題科目の取扱いについて、今後、関係方面と調整。
・「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」、「数学Ⅱ」と「数学Ⅱ・数学B」の取扱い
・「簿記・会計」、「情報関係基礎」の取扱い
・「世界史A」と「世界史B」、「日本史A」と「日本史B」、「地理A」と「地理B」、「倫理」「政治・経済」と「倫理、政治・経済」の取扱い

4.結果の表示

マークシート式問題:よりきめ細かい評価情報の提供
各大学に提供する多様な情報(各科目の領域ごと、問ごとの解答状況など)に関する具体的内容、項目、表示方法等の在り方を検討中。
○ 記述式問題:その特性を踏まえた段階別表示の考え方
国語・数学の記述式問題の結果について、記述式問題の持つ特性を踏まえ、それぞれ、段階別表示の具体的内容、項目、表示方法等の在り方を検討中。

5.複数回実施・CBTの導入

○ 複数回実施の実現可能性の検討

高大接続システム改革会議「最終報告」では、「日程上の問題や、CBTの導入や等化等による資格試験的な取扱いの可能性などを中心に、その実現に向けて引き続き検討することが適当」とされており、これまでの成果を踏まえつつ、引き続き検討。
○ CBTについては、「フィージビリティ検証事業」において、導入に向けた検証を実施。この成果も踏まえつつ、平成36年度以降の複数回実施の実現可能性を検討。

6.プレテスト

○ 平成29年度概算要求の内容・スケジュール

新テストを円滑に導入・実施するため、記述式の作問・採点を含むテストの信頼性・妥当性、試験問題の難易度や試験運営上の課題、不測の事態発生時の対応、民間の活用の検証等を行うための試行テスト(プレテスト)の実施に向けた必要経費を要求。

先ほどと同様、具体的なところまでは決め切れていない印象ですが、それでも期限設定がなされている以上、そこまでは意地でも?進んでいくのでしょうね。

 

学校には今、大きな変化が訪れようとしています。

望むと望まざるにかかわらず、その変化は私学の経営環境を変化させ、それを踏まえた経営へと変化することもまた永続のために必要なことなのでしょう。

各私学が建学の精神を損ねることなく、新たな経営環境の中で健全に永続することを心から願っております。

そして我々も引き続きそのお手伝いに努めてまいります。

 

(文責:吉田)