寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

名門公立高校の復活

先日、当ブログで東京都立国立高等学校の「日本一の文化祭」を

取り上げましたが、今回も東京都の公立高校のお話しです。

 

style.nikkei.com

 

日本の政治の中枢、東京・永田町にある都立日比谷高校。

かつては毎年、東京大学に200人近い生徒が合格し、「日本一の進学校」

と呼ばれたが、1967年の学校群制度の導入を契機に1桁台にまで凋落(ち

ょうらく)した。

しかし、2016年の東大入試では53人と44年ぶりに50人の大台を突破。

公立高校で全国トップになり、私立の雄、開成高校を蹴っても日比谷高校

に入学する生徒も増えている。

 

大阪を離れたことのない私も「日比谷高校」という校名を耳にしたことは

ありますが、どのような高校なのかは正直知りませんでした。

東京大学の合格者数の増加は受験生の地元志向などの要因も

手伝っているのかもしれませんが、

全国的に有名な超難関私立高校を蹴ってまで入学するほどですから

難関大学を目指す生徒やその保護者にとって、抜群の進学実績は

相当に魅力を感じているのでしょう。

 

では、なぜ急激に進学実績が伸びてかつての名声を取り戻したのでしょか。

その答えは校長のリーダーシップとマネジメントにあるようです。

 

日比谷躍進でリーダーシップを発揮したのが武内校長だ。

同校に2012年に着任するや、土日を返上して都内の進学塾を次々回った。

講演会を通じて中学3年生の生徒や保護者に日比谷進学を勧めた。

訴えたのは「日比谷は勉強だけでなく、部活も行事も全部やりきる。

しかも進路実現に向けて最後まであきらめない」という熱いメッセージだ

った。

「わざわざ公立校の校長が塾を回るのは珍しかった。武内先生の情熱に動

かされて日比谷を第1志望にした生徒も少なくない」と進学塾関係者は話

す。

 

公立高校の校長自らが熱心に「営業活動」をされたそうです。

ただ、熱意あふれる営業活動で生徒が集まったとしても、

肝心の教育内容に何の変化もなければ当然進学実績は伸びません。

そこで、教員をしっかりと巻き込んで教育内容の見直しを行っています。

 

次に武内校長はデータを活用した生徒全員の学力向上作戦を展開した。

模試などの試験結果をもとに生徒一人一人のデータベースを作成。

「当初は成績上位層と下位層が分かれてふたこぶラクダのような分布図だ

ったが、これでは効果的な授業運営が難しい」(武内校長)と分析。教師

たちと話し合い、下位層を中上位層に引き上げるため、(1)宿題を常に

課す (2)午前7時半ごろからの補習授業を行う (3)教師と生徒と

の面談を年4回として生徒との対話を強化する――ことを決め、実践し

た。

「いくら有能な教師でも一方的な伝達形式の講義はダメ。やりとり重視の

対話型として生徒に考えさせる授業を提供しよう」とも教師たちに呼びか

けた。日比谷の教師は専任が54人、非常勤を含めると70人以上となる。武

内校長は各教師の授業を年2回は見て回り、人事面談は3回実施し、

教師と徹底的に対話し、改善のための指導を怠らない。

「私の仕事はマネジメントリーダーとして人材を育成すること。企業のリ

ーダーと変わりません」と強調する。

 

少子化の進行に伴い、学校経営は非常に厳しい環境にありますが、

そのような状況だからこそ、「行きたい学校」として生徒や保護者に

選ばれるような特色を全面に打ち出すことは不可欠であり、

その成果として実績(進学実績だけに限らず)を残すことも大切です。

 

日比谷高校の場合は、校長が「あるべき学校」の姿を示し、

「学校」という組織をしっかりとマネジメントし、

教員という「人材」の育成を通じて教育の質の向上を図ったことで

「名門」は見事に復活したのでしょう。

 

(文責:木村)