大阪は台風一過。
今回は風雨ともにかなり激しい状況を経験しました。
あちこちで被害も出ているようですが…心よりお見舞い申し上げます。
そしてこれ以上被害が広がらぬよう、被災地の平穏が一刻も早く訪れますようにと
願っております。
さて本日のブログは久々に文科行政の最近のトピックを採り上げてみます。
まずはつい先日の記事です。
なんだそれ?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
この委員会、この8月に第1回会合が実施されていますが、
その際の議事資料から、委員会設置の主旨を一部抜粋しておきます。
男女がともに仕事と家庭、地域における活動に参画し、活躍できるような社会の実現を目指すためには、個人の可能性を引き出すための学びが必要不可欠である。
学校教育段階におけるキャリア教育の推進については、これまでの成果も踏まえ、多様な職業を示すだけではなく、若者が自らの進路を選択する際に就職のみならず結婚、出産、育児等のライフイベントを踏まえた生活の在り方も視野に入れて、総合的に考える
ことができるようにすることが重要である。
(中略)文部科学省では、「若者のためのライフプランニング支援の推進事業」において教材等を作成し、ライフデザイン構築のための学びを推進するため「ライフプランニング支援推進委員会」を設置する。
当日資料には
「結婚支援の充実」
といったものもあって、正直なところ
(そんなことまでするの?)
と思ってしまいますが、そういう時代なんでしょうか。
ただ、「学校教育の先にあるもの」を想定することは大切なことだとも思います。
この議論がどのように展開していくのか、少し興味も持っています。
続きまして、学習指導要領改定に関する記事です。
次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめについて(報告):文部科学省
細かい内容は上記ぺージ掲載資料に譲りますが、審議まとめのポイントを記した資料から、「具体的な改善の方向性」を一部加工の上抜粋してみます。
1.学習指導要領等の枠組みの見直し
○ 全ての教科等について、それらを学ぶことでどのような力が身に付くのかを、資質・能力の三つの柱に沿って明確にし、幼児教育から高等学校教育までを見通しながら、教育目標や教育内容を再整理。
○ 全ての学習の基盤となる力や、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力が、教科等を越えて教育課程全体を通じて育成されるよう、教科等との関係や、教育課程全体としての教科横断的なつながりを総則で明示。
- 全ての学習の基盤となる力=言語能力(読解力等)、情報活用能力(プログラミング的思考やICTを活用する力を含む)、問題発見・解決能力、体験から学び実践する力、多様な他者と協働する力、学習を見通し振り返る力など
○ 「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、学校と家庭・地域との連携・協働を活性化。
○ 目標と評価の観点を一致させるとともに、資質・能力を多面的・多角的に見取る評価の工夫を促進。2.教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」
○ 教科と領域における教育双方の強みやよさを生かしつつ、教育課程全体としての力を発揮させて資質・能力を育成できるよう、各学校における「カリキュラム・マネジメント」を促進。
○ 地域の文化や子供の姿を捉えた、各学校の特色づくりを活性化。3.「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニング」の視点)
○ 「学び」の本質として重要となる「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す授業改善の視点。
4.学校段階別の改善の方向性
○ 一人一人の学びの成果を、学校段階を越えてつなぐため、小・中・高を通じて特別活動に「一人一人のキャリア形成と実現」を位置付けるとともに、「キャリア・パスポート(仮称)」の活用を促進。
これまでにトピックになってきた内容が存分に含まれていますね。
プログラミングなどの新たな教育内容が盛り込まれることに加え、アクティブラーニングに代表される教育手法の改善も含め、ますます教員各位の研鑽の必要性が高まっているように感じます。
本日の最後に、奨学金の話題です。
今年8月末時点で、これまでの議論の整理がなされています。
ただ、議論が煮詰まったわけではなく、
まだ方向性を示すにとどまっているようにも感じますので、
資料中「制度創設の趣旨」の一部を抜粋しておきます。
○ 高等教育への進学に係る費用については、所得の多寡にかかわらず相当の額が必要とされるため、低所得世帯ほど所得に対する進学費用の割合が高く、その経済的負担が重くのしかかっている。こうしたなかで、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的事情により進学を断念せざる得ない者が存在する状況となっている。
○ 給付型奨学金は、こうした進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする制度とすることを基本とすべきである。
○ その際、経済的に厳しい家庭の子供達が進学するに当たって、進学費用のために多額の奨学金貸与を受けるといった過度な負担を負うことがないようにすることが重要である。
○ また、教育的な観点及び働く者の理解を得るとの観点から、進学に向けた学生等の努力を促す仕組みとすることが望まれる。
○ このため、「奨学」(ニードベース)の考え方を基本としつつ、学生等の努力を促す観点から「育英」(メリットベース)の考え方も取り入れた制度とすることが考えられる。
その必要性は強く言われつつもなかなか制度化されないこの給付型奨学金。
私学においても昨今、奨学金に関する考察が多くなっているのか、
当社に寄せられる相談の中でもこの内容はやや目立ってきております。
徐々にではありますが国の制度が整ってきつつある昨今、
他校等の情報収集とともに、各校が持つべき制度の在り方について、
慎重な考察を加えることが必要でしょう。
以上、最近の文科省からの情報発信を採り上げてみました。
ご参考になれば幸いです。
(文責:吉田)