寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

しまね留学

少子化の進行による影響で、学校にとっては

今後の生徒獲得は最大の懸念材料かと思われます。

学校にとって厳しい環境が続く中で

島根県では26年ぶりに高校生が増加したそうです。

 

www.nikkei.com

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失礼ながら「何で島根県?」と思ってしまったのですが、

県外の生徒を積極的に受け入れる「しまね留学」という制度があり、

県外に対するPRが奏功して制度が定着してきたという背景が

あるそうです。

 

ちなみに、平成21年度の留学生は50人でしたが、

年を追うごとに右肩上がりに増え続け、

平成27年には151名と約3倍にもなったそうです。

 

shimane-ryugaku.jp

 


このホームページを覗いてみると、

「しまね留学」の魅力として5つが挙げられています。

 

①日本一の寮

実は、島根県は、公立高校の寮を日本一多く持っています。 島根県のほと

んどの公立高校に寮が併設されているのです。

だからこそ、島根県は全国から生徒を受け入れることができるのです。

寮生活には、様々な地域から集まってくる仲間と生活を共にしながら、自

立に向け人間的に大きく成長できる機会があります。

掃除や洗濯など、自分のことは自分でしなくてはいけません。

住み慣れた家を離れて、新たな環境で生活することになるのでホームシッ

クにもなるでしょう。

集団生活だからこそ不便なこともたくさんありますし、我慢もしなければ

いけません。

他の生徒とぶつかりあうこともあるでしょう。

だからこそ、3年間の寮生活を通して、自律心や思いやり、忍耐力が鍛え

られ、コミュニケーション能力、協働力など社会で必要な多くの力を身に

つけることができます。

前向きに寮生活を送り抜いた3年後には、 大きく成長した未来の自分と、

苦楽を共にした一生の仲間を 手に入れることができるでしょう。

②少ない、小さい、あまりない、だからいい。

「過疎」という言葉は、島根県から生まれたことを知っていますか?

昭和40年代、都市過密が進む時代に、島根県益田市匹見町の大谷武嘉町長

が国会にて、過疎という言葉で町の状況を説明したのが始まりといわれて

います。

また島根県は、平成4年に人口の「自然減」が全国に先行して始まった県

です。

そんな、過疎・人口減少の先進県だからこそ、少人数教育が進んでいま

す。

過疎・人口減少を逆手に取り、特色ある少人数教育に取り組んでいる学校

が島根にはたくさんあります。

しまね留学の対象校の1学年の生徒数は30人~150人程度。

都市部の高校に比べるとコンパクトな高校が多いです。

だからこそ、一人ひとりを大切にした教育ができます。だからこそ、アッ

トホームな雰囲気な学校ができます。

一人ひとりにあわせた手厚い指導、一人ひとりの個性を大切にする教育。

そして、‘Small is beautiful’と胸を張って誇れる、小さいけれどキラリと輝

く学校が島根にはあります。

また、人の数が少なく密集していないのですから、 コンビニやファストフ

ード、大きなショッピングセンター、ゲームセンターなど、

便利でオシャレなもの、遊ばせてくれるお店やサービスが身近にほとんど

ありません。

だからこそ、大事な高校3年間を、飾ったり、気を散らされたり、変なこ

とに気を遣わずに学習や部活動などに集中できます。

都市部に比べれば、不便で不自由な環境だと思います。

だからこそ、我慢強さや自律心、感謝の心などが育まれやすいです。

「しまね留学」では、少ない、小さい、あまりない、それが自慢です。

③本物の自然や文化、人情を堪能できる3年間

島根県には、世界ジオパークに認定されている隠岐諸島世界遺産の石見

銀山、日本遺産の津和野など、海外からも認められる自然や文化資源が多

くあります。

また、出雲大社に代表される多くの由緒ある神社や見る人を魅了する神楽

なども生活のなかに息づいています。

日本らしい日本、日本の原風景が島根にはあると言われます。

四季の移り変わりを肌で感じ、旬なものを味わい豊かな自然と文化、人情

を存分に体験し、いつでも帰れる第二のふるさとを島根につくってくださ

い。

 ④地域を舞台にした21世紀型学習

「しまね留学」を推進する高校のほとんどに、「コーディネーター」が配

置されています。

コーディネーターは高校と地域を結び、生徒と社会がつながる支援を行う

役割を担っています。

島根県の公立高校に常駐するコーディネーターの数は日本一。だからこ

そ、島根の高校は、地域資源をふんだんに活用した学習を多く行うことが

できます。

課題先進地域での最先端の課題解決型学習、ローカル(地域)からグロー

バル(世界)につながっていくグローカル教育、夢や未来を探究し、これ

からの自分と社会をより良くデザインしていく力を身につけるキャリア教

育など教室だけでは収まらない、未来型の新たな学びを一緒につくってい

きましょう。 

⑤多彩に燃える部活

島根県の高校には、全国的にも珍しい部活動や強豪の部活動がいくつもあ

ります。 全国大会常連のホッケー部(横田高校)や報道部(飯南高校)、

吹奏楽部(島根中央高校)、レスリング部(隠岐島前高校)etc。

また、島根の自然を生かした、スキー部(飯南高校)、カヌー部(島根中

央高校)、ヨット部(隠岐水産高校)、カッター部(浜田水産高校)etc。

さらに、運動系部活動と文化系部活動に加えて、新たな第三の部活動動系

統として「地域系部活動」を提唱し、推進しています。地域の方々ととも

に地域貢献や課題解決に挑戦する、津和野グローカルクラブ(津和野高

校)、地域国際交流部・ヒトツナギ部(隠岐島前高校)、しまん・

CHU(島根中央高校)、地域クラブ(吉賀高校)etc。

これらの部活は、高校から始めた先輩も非常に多いです。皆さんも新たに

チャレンジしてみませんか?

 

過疎化が進む地方は都会と比べると人は圧倒的に少なく、

利便性では何かと劣る環境にありますが、

そのような環境を逆手にとり、教育上での機会点と捉えて

戦略を立案・実行し一定の成果も残した良い事例だと感じます。

 

学校経営に限らず、組織を運営する際にはついマイナス面ばかりに

目がいきがちですが、自組織(この事例の場合は県ですが)が

置かれている環境、強み・弱みをしっかりと認識し

次なる一手を考え行動に移すことの大切さを改めて認識させられます。

 

(文責:木村)