寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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平成29年度文部科学省 概算要求

文部科学省の来年度予算に関する概算要求が公表されました。

文科省HPより。

 

平成29年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧:文部科学省

 

できたてほやほやで、私もまだ内容を十分吟味できておりませんが、

まずはその概要をお届けいたします。

 

まず文教予算のポイントとして、次の3点が挙げられています。

《社会を生き抜く力の養成》
・「次世代の学校」創生のための指導体制強化や地域と学校の連携・協働に向
けた改革など

《未来への飛躍を実現する人材の養成》
・大学等の基盤的経費の充実やグローバル人材の育成など

《学びのセーフティネットの構築》
・給付型奨学金制度の実現や学校施設等の老朽化対策・耐震化など
をはじめとする「教育再生」を実現するための施策に重点化。

そして、それぞれについて以下の細目に関する予算化がなされています。

まず1つめの《社会を生き抜く力の養成》では、「次世代の学校・地域」創生プランの推進として以下の内容が挙げられています(一部抜粋の形で記載しました)。

○「次世代の学校」創生のための指導体制強化等 1兆5,263億円(△74億円)

◇義務教育費国庫負担金 1兆5,185億円(△86億円)
 教職員定数の改善増 +65億円(+3,060人)
 教職員定数の自然減 ▲67億円(▲3,100人)
 メリハリのある給与体系の推進 +3億円
 教職員の若返り等による給与減 ▲87億円

・メリハリある給与体系の推進や部活動指導に係る教員の負担の実態を考慮し、部活
動の適正化に向けた取組を進めつつ、土日の部活動指導業務に係る手当を引き上げ。

◇多彩な人材の参画による学校の教育力向上 54億円( 6億円増)
 ~補習等のための指導員等派遣事業~

◇これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上 20億円( 2億円増)

 新しい教育課題に対応した教員研修の充実と大学における教員養成の改革
 ・国における教職課程コアカリキュラムの策定など教員の養成・採用・研修の一体的
改革推進事業の実施
 ・(独)教員研修センターの機能強化に向けた教員体制の整備など

◇学校現場における業務の適正化の推進~教員の働き方改革~ 5億円( 3億円増)
 ・教員の業務改善に向けて、学校における勤務時間管理の徹底、教員以外のスタッフとの連携分担、学校事務の機能強化等に取り組む実証研究事業を実施。

○地域と学校の連携・協働に向けた改革 82億円(14億円増)
・学校を核として地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開することで、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに、一億総活躍社会、地方創生の実現を図る。

 上記以外には、

・道徳教育の充実

・教育課程の充実(アクティブラーニングからの授業改善含む)

・キャリア教育・職業教育の充実

・教育の情報化の推進

・高大接続改革の推進

といったものに重点的に予算配分がなされています。

 

次に《未来への飛躍を実現する人材の養成》では、「国立大学法人の基盤的経費の充実」に多くの予算が割かれています。

そして気になる私学助成については、次の通りとなっています。

○私立大学等経常費補助3,278億円(125億円増)
・私立大学等の運営に必要な経常費補助を確保するとともに、建学の精神や特色を活かして改革に取り組む大学を重点的に支援。
◇地域を支える私立大学等連携プラットフォーム形成支援事業5億円( 新規)
・地域の私立大学等が、自治体、産業界、地域の教育機関と密接に連携・協力し、地域全体の強み・潜在力を最大限に引き出すためのプラットフォーム形成や、地域発展、大学間・産学連携など、大学等の特色化・機能強化を支援
◇私立大学等改革総合支援事業229億円(62億円増)
・教育の質的転換や地域発展、産業界・他大学との連携など大学の特色化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む私立大学等を重点的に支援
◇私立大学研究ブランディング事業86億円(36億円増)
・学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う大学に対して重点的に支援

○私立高等学校等経常費助成費等補助1,059億円( 35億円増)
・私立高等学校等の教育条件の維持向上や保護者の教育費負担の軽減及び学校経営の健全性の向上を図るとともに、各私立高等学校等の特色ある取組を支援。
◇私立高等学校等の基盤的経費への助成(一般補助) 886億円(15億円増)
◇各私立高等学校等の特色ある取組への支援(特別補助) 144億円(20億円増)
・グローバル人材や情報活用能力の育成などの次世代を担う人材の育成やアクティブ・ラーニング等による教育の質の向上に取り組む学校への支援を強化
・障害のある幼児の受け入れや長時間の預かり保育を実施する幼稚園に対する支援の充実
○私立学校施設・設備の整備の推進402億円(297億円増)
・私立学校の質の高い教育研究活動等の基盤となる施設・設備等の整備を支援。
◇耐震化の推進225億円(180億円増)
・耐震化等防災機能強化を促進するため、耐震改築・補強事業等を重点的に支援するとともに、28年度までの時限措置となっている耐震改築への補助制度を延長
※耐震化率大学等:約90%(29.4見込み)→ 約92%(30.4見込み)
高校等:約89%(29.4見込み)→ 約91%(30.4見込み)
◇教育・研究装置等の整備176億円(117億円増)

概算要求段階ではありますが、予算は増額となっています。

他にも「初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成」との題目で、英語教育強化事業への予算配分もなされています。

 

最後に3点目、《学びのセーフティネットの構築》。

ここでは奨学金の充実、授業料減免・負担の軽減、子どもの貧困対策の推進などが重点化されています。

また、あくまで「事項要求」ではありますが、幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進も項目として挙げられています。

 

概算要求においては、当該省庁が何に力点を置いて施策を進めようとしているのかが分かります。

概要資料のみで構いませんので、この段階でご確認いただくことをお勧めいたします。

なお、予算はまだまだ確定ではありませんので、その点にもご留意くださいね。

 

(文責:吉田)