寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

教育こそが町おこしの基本

昨今、多くの自治体が厳しい財政状況にあるというニュースを

耳にすることが多いですが、

そんな中、市長の明確なビジョンと強いリーダーシップにより

黒字化に成功した奈良県御所市の東川市長のインタビュー記事を

本日はご紹介します。

 

zasshi.news.yahoo.co.jp

 

2008年に市長になるまで酒販店を営んでおり、まったく行政経験は

ありませんでした。

財政が悪いというのは聞いていましたが、当選して改めて、

「これはアカン」と愕然としました。

6月に市長になって9月には「財政非常事態宣言」を出しました。

民間企業の経営で、赤字になればやる事は決まっています。

支出を削って収入を増やすしかありません。

まずは人件費の20%カットを打ち出しました。当然猛烈な反対です。

県内外から反対派が集まってきてエライ騒ぎになりました。

最終的に10%カットを実現しました。

また補助金も全額カットしました。

 

どのような組織においても、トップが方針や方法を変えようとする時には

それがどんなに世間一般的に当たり前のことだとしても

抵抗勢力と呼ばれる方は少なからずいらっしゃるものですが、

自治体レベルで、ましてや人件費や補助金のカットとなると

相当な覚悟と勇気がないと実行できないことだと思います。

 

そして、しっかりと結果を出すところが素晴らしいところで、

不断の努力の末、見事に御所市の財政を実質収支黒字へと

転換させることに成功したそうです。

 

ただし、実質収支が黒字に転換したから一件落着というわけではなく、

次なる一手は少子高齢化と都市部への人口流出に歯止めをかける取り組みで、

その中心となるのは「学校」と「教育」だそうです。

 

市内で去年生まれた子どもは125人でした。昨年よりさらに

減っています。

一方で現在、市内には7つの小学校と4つの中学校がある。

これを全市で1つの小学校、1つの中学校に統廃合しようと

提案しています。

ただ、数を減らすだけではありません。ひとつにする以上は

日本一の質の高い学校にする。

教育の質を最高のものにすることで、御所市のイメージアップ、

ブランド力のアップにつなげます

 

私は、小さいころからのシチズンシップ教育が大事だと思っています。

御所生まれであることに誇りを持ち、東京に出て行ったとしても

地域に何らかの思いを寄せる子を育てたい。

教育こそが町おこしの基本だと思います。

そのためには就学前教育から質の高いものにしなければなりません。

御所市は貧富の格差が大きいのも問題なのですが、

貧しい家庭に生まれた子どもが満足に学校も行かない貧困の連鎖が

起きてしまう。

これを断ち切るには小さいうちからの教育が不可欠です。

人口が減っていく中で、1人ひとりの人間力を高めなければいけません。

学校を一か所にまとめたら、

そこに市民育成学校のようなものも設置する。

地域の特産品の商品開発などもそこでやればいい。

学校が町おこしの中核拠点になるようなイメージです。

ですから、これは文部科学省の領域だけではなく、

地域おこしの話だと政府にも言っています。

 

少子高齢化、大都市圏への人口流入による地方部の過疎化等、

我が国には喫緊の課題が数多く待ち構えており、

一部はすでに顕在化しています。

このような状況においては、学校の統廃合は

避けて通ることができないでしょう。

ただし、生徒児童の数に合わせてただ学校数を減らすのではなく、

地域と連携し、教育の質を向上させるための取り組みも

併せて行われることが必須でなければいけません。

 

御所市だけでなく、様々な自治体において地域と学校の連携による

地域創生の取り組みが行われていますが、このような取り組みが、

学校を中心とした地域創生のベストプラクティスとなり、

全国へと水平展開ができれば非常に嬉しいことと感じます。

 

(文責:木村)