政府は今、育児や介護分野の制度改正に力を入れています。
そのような中、平成29年1月1日から、育児介護休業法が改正されます。
介護分野については、突然該当者になる可能性があります。
つまり、経営サイドにとっても従業員(教職員)が急に
本制度の適用を求めるケースがあるということです。
自分にはまだまだ先の話、あるいは該当者がいないから…とは思わずに
ご確認いただきたいと思います。
掲載しますので、そちらを参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_06.pdf
大まかな内容は以下の通りです。
1.介護離職を防止するための整備
・対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで、
介護休業を分割取得が可能に。
・介護休暇の半日単位の取得が可能に。
・介護のための所定労働時間の短縮措置等を介護休業とは別に、
利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能に。
・所定外労働の免除を介護終了までの期間について請求することが可能に。
・有期契約労働者の介護休業取得要件を緩和。
2.育児期の負担軽減のための整備
・子の看護休暇の半日単位の取得が可能に。
・有期契約労働者の育児休業の取得要件を緩和。
文章を読むだけでは、イメージがわきにくいかもしれませんが、
個人的に大事だと思う点を説明いたします。
●介護休業の分割が可能に!
これは大きな改正だと思います。従来は対象家族につき1回しか認められませんでした。
例えば脳梗塞で家族が入院した場合、入院直後から制度を使っていくと
症状が安定する前に上限の93日がくることもあります。
また、病院の付き添いや介護施設探しのために短時間勤務をした場合
丸一日休まなくても「短時間勤務を選択した日」も介護休業を取得した日と
カウントされていました。
よって、完全に休んだ日が30日、短時間勤務の日が63日であれば
権利は消滅してしまうことになります。
これが、3回を上限に分割が認められるようになりますので
従業員は今までより柔軟に休業が取れます。
さらに、上で説明した「短時間勤務をした日」と「完全に休んだ日」が
別管理されるため、仮に短時間勤務を93日したとしても、別に休む日が
確保されるようになります。
現場オペレーションを考える際に留意が必要になりそうですね。
●看護休暇や介護休暇が、半日単位で取得可能に
これも該当者にとっては使いやすくなったと思います。
子供が熱を出した場合、午後から早退しても今までは看護休暇としては
使えませんでした。
しかし、改正後は半日休暇として使えますので
仕事と育児や介護の両立がやりやすくなるでしょう。
逆に、経営側はこの点を考慮したしくみづくりが必要になりそうです。
そして最後に、本当はこれが一番大事かと思いますが、
「ハラスメント防止措置の義務化」です。
制度上は介護や育児も使えるようになっていたとしても
周りの方が「仕事が忙しい時に、休むのか?」
「子供を理由に早く帰るのはいい身分だ」というように、
プレッシャーをかけてしまえば、取得は進みません。
仕事の忙しい時期に教職員に抜けられるのは痛手だと思いますが、
そこは仕事の割り振りを見直すなどして、
周りがフォローできる体制を整えていきたいものですね。
(文責:竹内)