7月に入り、いよいよ夏本番を思わせる暑さが続いています。
学校や職場、家庭において、何らかの熱中症対策を
されていることと思います。
ところが、学校が熱中症対策を怠っていたがために、
部活動中の女子中学生が熱中症にかかって後遺障害を負い、
大阪地裁が学校に賠償金の支払いを命じる判決を下した
という記事を目にしました。
2010年8月30日。早朝から灼熱の日ざしが眩しい。汗が吹き出る。大阪府東大阪市立中学1年のA子さん(当時13歳)はバドミントン部。午前11時10分に体育館に入り、入念にウォーミングアップした後、いつも通りの練習をこなした。かなり汗をかいた。
午後1時過ぎ、練習試合が始まるや否や、急に頭痛に襲われ、床に落ちたシャトルを拾えなくなる。意識が朦朧となり救急車で病院に運ばれたが、脳梗塞と診断されて緊急入院。左手指先に痙攣や麻痺などの後遺障害が残った。
判決によれば、当時の体育館内の温度は、日本体育協会の熱中症予防指針に「運動は原則禁止」と明記している36℃だった。
校長は体育館内の温度や湿度を把握しておらず、温度計や湿度計の設置などの熱中症の予防策を講じていなかったと指摘。
市教育委員会の清水紀浩学校教育部長は、判決内容を検討し、今後の対応を考えるとコメントした。
判決後の会見で、父・重富さんは「学校に熱中症の危険があることを知ってほしかった。学校の過失が認められて嬉しい。裁判官は体育館を訪れ、子どもたちが部活動で汗を流している状況をよく見てくれた。これからも熱中症を起こさないように、部活動に取り組んでほしい」と中学校に再発防止を強く訴えた。
現在、短大1年のA子さんは、今も左手の指先が不自由なので、ペットボトルのキャップを開けるのが困難という。
事故直後、東大阪市は市立中学校の体育館に温度計と湿度計を設置。2012年7月、市内すべての小中学校に温度計と湿度計のほか、熱中症の危険度を5段階で示す計器を配り万全を期している。
学校は体育館内に温度計や湿度計を設置しておらず、
そのため校長は体育館内の温度や湿度を把握していなかった
とのことです。
これでは、熱中症の予防策を講じていなかったと学校側の
過失が問われても仕方のない状況です。
このケースで考えると、生徒がこまめな水分補給や適度な休憩を
とることはもちろんですが、学校の事後の対策としては最低でも
以下の事項は実施する必要があると考えられます。
・体育館に温度計、湿度計を設置する
・危険度の基準となる温度、湿度を周知する
・温度、湿度が基準値を上回った場合の行動を決定し周知する
・定時に温度、湿度を確認し記録する
・温度計、湿度計が正常に機能しているかを定期的に確認する
生徒に後遺障害が残るような極めて重大な事故です。
どこの学校でも同様の事故が発生する可能性はあります。
また、事故が発生した直後はしっかりと対策を講じても、
時がたてば風化したり、形骸化してしまうおそれもあります。
子どもの安全を最優先に考え、しっかりと継続的に
仕組みとして対応することが望まれます。
(文責:木村)