ここ数日の大雨で、九州を中心に被害が出ています。
特に、先日の地震でも大きな被害が出た熊本に深刻な状況が発生しており、心配です。
天災はやむを得ないこととはいえ、これ以上の大事にならないことを切に願う次第です。
さてその天災が起こった際の施設面の備えについて、このような記事が出ていました。
文部科学省HPより。
熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会(第1回) 配付資料:文部科学省
資料中、「本検討会における主な論点(素案)」と題したものが課題及び検討事項のまとめとして有用だと感じました。以下引用します。なお、太字は筆者が加工したものです。
1.児童生徒等の安全確保
【熊本地震による被害の状況等】
・学校施設は、児童生徒の学習・生活の場であるとともに、避難所に指定されるなど、地域の防災拠点でもあることから、安全性の確保が極めて重要。
・震度7クラスの地震2回に加え、1500回を超える余震が続く中、構造体の耐震化が概ね完了している学校施設においては、今なお校舎本体や体育館の倒壊や崩壊が出ていない。一方、耐震化が未完了の私立学校施設においては、構造体に甚大な被害が生じたものもあった。
・また、体育館のブレースの破断や、天井材の落下、窓ガラスの破損などの非構造部材の被害が多く発生しており、もし発災が授業時間帯であれば人的被害が生じかねなかった状況。
・国公立学校における構造体の耐震化及び体育館等の吊り天井の落下防止対策については、平成27年度末までの完了を目指して取組を進めてきたところ。学校の統合など、各地方公共団体等の個別の事情により取組が遅れるものを除き、概ね完了する見込み。
・私立学校については、国公立に比べて耐震化が大幅に遅れており、非構造部材を含めた耐震化の早期完了が喫緊の課題。
2.避難所機能を確保するために必要な施設整備
【熊本地震での状況等】
・多くの学校施設が避難所となり、大勢の地域住民を受け入れた。最も多いときには366校の学校が避難所として機能しており、これは、避難所として使用された全ての施設の約5割を占めた。
・一方、ブレースの破断や、天井材の落下、窓ガラスの破損などの非構造部材の損傷等により、二次災害防止等のため、避難所としての使用を禁止した事例が発生。
・また、学校施設は本来教育施設として設計されていることから、避難所としての使用に際しては、トイレや空調等、様々な不具合や不便が発生。
・学校施設が地域の防災拠点としての役割を果たしていくために必要な施設面を中心とした諸方策について、発災以降の各段階(時系列)において求められる機能を踏まえた検討が必要。
これまでの耐震基準で十分なのか、という議論は一方にあると思われますが、まずは現行基準を満たすよう、構造体のみならず非構造部材の耐震化を進めることが被害を最小限に食い止めるために必須だと感じます。
一方で、私学の場合には対象工事の実施のために一定規模の資金が必要になります。
目の前のことに気を取られすぎると、将来の施設整備資金が枯渇しかねません。
早めの資金計画の立案、そのためにはよりいっそう早めの施設整備計画を持つ必要があるでしょう。
天災はいつやってくるか分かりません。
そしてそれは日本全国、どこにやってきてもおかしくはないのです。
学校という公共性、社会性の高い事業体として、ぜひとも十分な備えをお願いしたいと思います。
(文責:吉田)