寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校評価等実施状況調査(平成26年度間 調査結果)

個人的にわりと気にしている、学校評価に関する動向。

データは古いですが、平成26年度中に実施された学校評価に関するまとめがありましたので本日はそちらをご紹介しましょう。

文部科学省HPより。

 

学校評価等実施状況調査(平成26年度間 調査結果):文部科学省

 

上記ページには、結果の概要を示すより先に、学校評価に関する留意事項を記した参事官通知が掲載されています。

この通知、ともすると見過ごしてしまいそうなのですが、学校評価を実施する際に陥りがちな状況を突いていますので、まずはそちらをしっかり見ておくことにします。

なお、下記引用の太字部分は筆者によるものです。ご了承ください。

 

学校評価等実施状況調査(平成26年度間)の結果に係る留意事項について(通知)


このたび,標記調査結果を別添のとおり取りまとめましたので,お知らせします。
貴職におかれては,学校評価の目的が,各学校が自らの教育活動その他の学校運営について,目指すべき目標を設定し,その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより,組織的・継続的な改善を図るものであることを踏まえ,特に下記の点に留意しながら学校評価等に係る取組を進めていただきますようお願いします。
(中略)

1.自己評価の実施・公表等の義務について
学校の教職員が行う自己評価については,法令上,全ての学校について,その実施と結果の公表の義務が課せられているものであり,遺漏なく実施すること。また,自己評価及び学校関係者評価の結果を当該学校の設置者に報告することについても同様であること(別紙:学校教育法及び学校教育法施行規則参照)。


2.学校関係者評価の実施・公表の努力義務について
保護者及び地域住民等による学校関係者評価については,自己評価の客観性・透明性を高めるとともに,学校・家庭・地域の連携協力を高め,地域とともにある学校づくりを推進する上で重要であることから,その取組が一層進むよう努めること。
なお,児童生徒や保護者,地域住民を対象とするアンケートについては,学校評価を実施する上でその結果を活用することが効果的であるが,アンケートのみをもって学校関係者評価とすることは適当ではないこと。

 

3.学校評価の実効性の向上について
学校評価は,あくまでも学校運営の改善により教育水準の向上を図るための手段であり,実施そのものが目的化してしまわないよう学校評価の実効性を高めることが重要であること。
これに関し,各学校の設置者等は,教職員の研修等必要な支援を行うとともに,各学校の学校評価が適切に行われているかを検証し,学校評価を通じた学校運営の改善が円滑に進むよう必要な指導・助言を行うこと。併せて,学校評価の結果等を踏まえ,学校に対する支援や条件整備等の改善を適切に行うこと。 

いかがでしょうか。

上記で太字にした点を改めておさらいしますと、以下のようになります。

学校評価の目的は「目指すべき目標設定」→「その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価」→「組織的・継続的な改善」(まさにPDCAサイクルの一部である)

・学校の教職員が行う「自己評価」は実施と結果の公表の義務あり

・保護者及び地域住民等による「学校関係者評価」は「自己評価の客観性・透明性を高める」+「学校・家庭・地域の連携協力を高め,地域とともにある学校づくりを推進する」

・アンケートは学校評価上有用だが、アンケートのみをもって学校関係者評価とすることは適当ではない

学校評価の目的を意識し、評価の実施そのものが目的化してしまわないよう留意(上記と併せ、アンケートを取ることが目的化しないように)

 

さてこれらを踏まえたうえで、今回の結果概要を見てみましょう。

以下、引用しながらコメントを付します。

【学校関係者評価(法令上の努力義務)の実施】
・前回調査に比べ、保護者や地域住民による学校関係者評価の実施率が上昇。(国公私立合計:83.9%→85.7%)
・国立学校、公立学校においては、95%を超える学校が学校関係者評価を実施。(国立学校:95.0%、公立学校: 96.0% )

⇒ちなみに私立校は実施率44.8%と国公立校の半分程度です。

学校評価の効果】
学校評価の効果に関する学校の認識を把握するため、6項目にわけて調査。
➀児童生徒の学力向上、➁児童生徒の生活態度の改善、➂学校運営の組織的・継続的改善、➃保護者や地域住民等との連携協力、➄設置者による支援や条件整備等、⑥教職員の意識改革
・「学校運営の組織的・継続的改善」において、効果があったと回答した学校は、自己評価では94.4%、学校関係者評価では91.6%。
・一方で、このうち「大いに効果があった」との回答は自己評価では20.2%、学校関係者評価では13.7%であり、前回調査よりも上昇しているが、更に学校評価の実効性を高めることが重要である。

⇒効果を高めるためにどうするか、には言及がありませんが、やはり調査項目の設定がその最大のカギを握っているように思います。

学校評価の評価項目】
・自己評価においては、教育課程・学習指導は97.1%、生徒指導は86.4%の学校が評価項目として設定。

⇒このような調査結果を基に、自校の評価項目設定について見直してみるのも有用ではないでしょうか。

【学校関係者評価委員が評価にあたり行ったこと】
・管理職との対話、学校行事や授業の参観に加え、学校関係者評価委員によるアンケート結果の分析や管理職以外の教職員や保護者との意見交換も行われている。

⇒これが今回の結果の肝だと私は感じました。御校ではこのような取組、されていますか?学校関係者に学校の諸活動を知ってもらい、ご意見を頂くことはとても大切だと感じます。

学校評価の活用方法】
学校評価結果を、「職員会議等で改善の手だてについて話し合う機会を設けた」のは自己評価実施校において9割、学校関係者評価実施校において6割。
・また、学校評価結果を「改善のための具体的な取組に活かした」のは自己評価実施校において8割、学校関係者評価実施校において5割。
・評価結果を踏まえて改善策を話し合い、今後の目標設定や取組の改善につなげることにより、学校運営のPDCAサイクルを機能させることが重要。

⇒自己評価のみではなく、学校関係者評価を活性化させ、その結果を現場の活動に生かしていくことが今後に向けたポイントになりそうですね。

【学校に関する情報の提供】
学校評価の結果も含めた学校運営の状況に関する情報の積極的な提供が重要。
・前回調査より全ての項目において増加しており、地域に開かれた学校作りが進んでいると考えられる。

⇒情報提供についてはまだまだ消極的な学校も多いように感じていますが、地域や業界がより良い存在になるために、と考えれば積極的に捉える必要があるように思います。

 

以上、調査結果の具体的数値は掲載されていませんでしたが、参考になる記述はたくさんあったように思います。

次回の学校評価の際に改善すべきこと、見つかりましたでしょうか。