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寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

専門職業人養成のための新たな高等教育機関の制度化について

制度 教育内容 進路

本日は文部科学省HPより、職業人養成のための教育機関の制度化に関する審議経過報告をお届けします。

情報はこちらから。

「社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い専門職業人養成のための新たな高等教育機関の制度化について(審議経過報告)」:文部科学省

 

報告書のボリュームが結構あります。

概要をつかむには、以下のリンクからp.29~31を参照いただくのがよいように思います。

以下、私なりに簡単にまとめてみました。ご参考になれば幸いです。

【第Ⅰ章 21世紀を生きる職業人を取り巻く状況と今後の職業人材養成】

・生産年齢人口の減少、雇用の流動化、職業人に求められる能力の複雑化

→職業人材を成長分野にシフトさせ変化に対応できる人材を養成する必要あり

 

【第Ⅱ章 高等教育における職業人養成の現状と課題】

・大学進学率は上昇するも学生の意欲は低い、大学における社会人学生の受入れは最低水準

↓↓↓

○ 職業教育が一段低く見られ、大学への進学自体を評価する風潮
スペシャリスト志向の若者にとって魅力ある進学先となる、実践的な職業教育に最適化した仕組みが必要
○ 産業競争力の維持・強化のため、現場レベルでの改善・革新の牽引役を担うことのできる人材の養成が重要
→ 高度な専門技能等に加え、変化への対応等に必要な基礎・教養や、理論にも裏付けられた実践力等を兼ね備えた、質の高い専門職業人の層を確保していく必要
→ 職業実践知の教育に軸を置きつつ、学術知の教育にまで至る、実践的な職業教育に最適化した高等教育機関の創設が必要
○ 職業人が自らのキャリアを主体的に切り拓いていけるよう、社会人の学び直し環境の整備が課題
→ 社会人の学び直しニーズに対応した機関の整備が必要

 

【第Ⅲ章 新たな高等教育機関の制度化の方向性】

新たな機関は、教養や理論に裏付けられた実践力を育成するものであること等を踏まえ、大学体系に位置付け、大学等と同等の評価を得られるようにする。


【第Ⅳ章 新たな高等教育機関の制度設計等】

専門高度化・実践力強化・分野全般の精通等・総合力強化・自立した職業人のための「学士力」育成

<制度設計イメージ>

○大学体系に位置付く次のような機関を制度化
・学士課程相当の課程を提供する機関 《修業年限4年》
短期大学士課程相当の課程を提供する機関 《修業年限2年又は3年》

具体的には以下の通り。

①理論と実践の架橋による職業教育の充実
②産業界・地域等のニーズの適切な反映、産業界・地域等との連携による教育の推進
③社会人の学び直し等、多様な学習ニーズへの対応
高等教育機関としての質保証と国際的な通用性の担保、実践的な職業教育に相応しい教育条件の整備

かなり端折りましたが、何となくはつかんでいただけるでしょうか。

 

私がこの報告書で一番気になったのは、報告書本文p.7にあるこのような記述です。

 (1)職業教育に対する社会全体の認識に関する課題と対応
○ 我が国では、社会全体を通じ職業教育に対する認識が不足しており、ともすれば、普通教育より職業教育が、学問の教育より職業技能の教育が一段低く見られ、大学(特に、選抜性の高い大学)に進学すること自体を評価する社会的風潮があると言われる。
○ これまでも、初等中等教育におけるキャリア教育の充実や進路指導の改善などを通じ、職業的自立に向け、適切な進路を選び取る力を身に付けさせる取組が進められているが、上述の風潮は、いまだに根強く存在している。その背景には、職業についての専門性という概念が固定的で柔軟性を欠くものとして捉えられがちなことや、「ある時点での専門分野・職業分野の選択は、その後の進路を制限することになる」と考え、これを忌避したいとする意識があるとも指摘される。

社会人、職業人として活動し始めてしばらく時間が経つと、学歴が世間で認識されているほどの意味を持たないことを誰もが知るに至る…と私は感じているのですが、それにもかかわらず、相変わらず学歴を必要以上に強く求める風潮がある、というのはこの報告書指摘のとおりだと感じます。

そして各学校においても、進路指導と言えばそれが自動的に進学指導を指していたり、仮に職業教育の機会を設けていたとしても教員以外の職業のことをまるでご存知ない教員各位がそれを行ったり…といったことが当たり前のように行われていることを知るにつけ、やはり職業人を育成するという観点が社会全体において欠けているように思えてなりません。

学歴社会を一気に変えることは難しいでしょうが、偏重の度合いを少しずつ是正し、例えば高校を卒業した後の進路として、進学と就職がせめて同等程度に受け止められる社会になっていかねば、成熟した社会とは言えないように思います。

 

学校がその旗振りをすることは難しいでしょうか。

各校が進学実績偏重となってしまうことは学歴社会が産んだ卵であるとも言えますが、どちらがニワトリでどちらが卵かということはさておき、学校のスタンスが変わることで社会が変わっていくという可能性は十分にあるように思います。

多様な価値観が認められる社会への脱皮は、こんなところにもそのきっかけがあるのかもしれませんね。