寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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サービス残業20万人超 厚労省が是正指導

個人的にライフワークの一つだと思っている、残業抑制。

その意味では残念な記事が出てしまいました。

日本経済新聞より。

 

サービス残業20万人超 厚労省が是正指導、計142億円 :日本経済新聞

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サービス残業」で是正指導を受け、2014年度に企業が未払いの残業代を支給した従業員は20万人超となり、過去最多だったことが21日、厚生労働省の集計で分かった。100万円以上を支払った企業は全国の約1300社で、計約142億円に上った。厚労省は「未払いはあってはならず、指導を徹底したい」としている。

この記事には上記是正対象となった従業員数と未払額がグラフ表示されており、過去からの推移が分かりやすくなっています。

そのグラフを見て特徴的なのが、従業員数、未払額は2009年度にぐっと下がっていることと、2014年度に従業員数が一気に増加したこと。

2009年度の減少は例のリーマンショック後の…というあたりが影響しているようにも思いますが、直近の調査結果で対象従業員が激増しているのはなぜか、と記事を読んでみると、「従業員を多数抱える企業が労務管理システムの不備で残業代の一部を一律に支払っていなかったケースがあり、全体の人数を押し上げた」とのことです。

 

ではどんな事象が是正対象として指摘されたのか。

記事には

・残業代が一定額に決められ超過分が支払われない

・入力された労働時間とパソコンを操作した時刻が食い違う

・出勤・退勤時刻の15分未満の時間を切り捨てる

といった実例が掲載されています。

御校ではこれらに類する現象は起こっていませんでしょうか。

 

そして、業種別では是正指導が最も多かったのが製造業、対象従業員数では飲食店などの接客娯楽業となっています。

今回の指摘では、未払い残業代として1社で約14億円(!)を支払った電機メーカーもあった、とのことです。

 

私学においても残業の取扱いはかなり難しい局面に来ています。

現場でよくお聞きするのは、「職務の特性上、業務時間を把握することが難しい」「定時と残業の境目が曖昧」「個人的事情で残業しているケースも少なくない」といった状況です。

一方で、行政サイドは一般企業並みに「業務時間の把握」「残業代の支払」を指導しているようです。

 

これまであまり気を遣わなくてよかった時間管理という事柄に、相当程度のエネルギーを使う必要が出てきたことは経営上、プラスとは言えないかもしれません。

ただ、むしろこれまでが無頓着すぎたと頭を切り替えて、短時間で効果の高い業務遂行方法を実践するように工夫していくことが大切でしょう。

 

記事の末尾には、過去に是正指導を受けた企業の中に、「時間外労働をする場合にその都度、上司の承認を得るよう変更した」といった事例も紹介されています。

面倒だな、と思われるかもしれませんが、勤務時間管理というのは、ルーティンに組み込まれてしまえばそれほどのことはありません。

教学管理職はとかく「外交面」に意識が向きがちですが、本来の意味での「経営管理」にも意識を向け、知識や経験の獲得に力を注いでいただければと思います。