昨日、ある研修会の講師を努めました。
その研修会は5回シリーズで開催されており、昨日がその最終回。
他社主催の研修会ですので、私は講師として招かれた格好になるのですが、有難いことに、5回シリーズのうちの第4回と第5回を担当させていただきました。
昨日は「会議のしかた」についての研修。
多少の座学を経て、ほとんどの時間を体感ワークで過ごしたこともあり、会場はリラックスした雰囲気で、皆さん楽しそうに模擬会議に取り組んでくださいました。
もちろん、楽しいだけではなく、そこにはいくつかの「気づき」が生まれます。
昨日も例にもれず、模擬会議でいろんなことを感じてくださった様子でした。
社会人の学びはやはり「体感」にあると再確認できた瞬間でした。
それに引き換え、前回、第4回の研修会は「大失敗」でした。
テーマは「管理会計」。まずはそのテーマが難解で、とっつきにくいという先入観があったことは間違いありません。
ですがそれ以上に、参加されている方々の日常とのギャップが大きすぎました。
というのも、参加者のほとんどが経理も会計も未経験。
それもそのはず、この研修会は医療・介護の現場リーダーという位置づけの方々が集まるもので、現場技術の高さや経験値は申し分ありませんが、こと「数字をいじる」という点では苦手意識の塊、という雰囲気が漂っていました。
知識も経験もない方々に、いかにして管理会計の重要性と方法論を伝えるか。
事前準備の際、私はそのことをもっと突き詰めておくべきだったところ、想像力が不十分だったこともあり、当日のアンケートは「理解できなかった」のオンパレードで、自分史上最悪の結果にかなり落胆しました。
さらに悪いことに、その研修会では毎回、宿題を出すことになっていて、私はその宿題で「学んだ指標を使って経営分析を行い、A4用紙1枚にまとめて次回発表してください」という、難度の高い宿題を出してしまいました。
研修会を終えて帰途につく皆さんは口々に「宿題、無理かもしれません…」と力なくつぶやいて帰るというありさま。
参加者は12名いらっしゃいましたが、宿題は誰からも提出されないかもしれないとの危機感が私にはありました。
そして万一そうなっても、今度はしっかり理解してもらえるように、補足説明用の研修材料も改めて作成し、同じ失敗を繰り返さないと心に決め、準備を進めました。
ところが、結果的には私の心配は杞憂でした。
締切の前日から私の手元に宿題の回答が次々と届き始め、その内容を見ると、皆さん示し合わせたように
「これで正解なのか自信がないけれど、とりあえず頑張ってやってみました」
と付記された、でも中身はとても立派な経営分析結果が届いたのです。
提出率は50%。6名の方からご提出いただきました。
そして、ご提出いただけた方すべてが研修で触れた指標を用い、そこに付されたコメントも経営分析にふさわしい、指標の意義をしっかり捉えたものでした。
そして、昨日実施した宿題の回答発表においても、こんな嬉しい言葉がありました。
「最初は全然分からなくてどうしようかと思ったけれど、少しやってみると、もっと知りたいと思うようになりました」
受講者の皆さんに助けられるとはこのことだ、と安堵の気持ちを覚えました。
私の心配をよそに、素晴らしい結果を出してくださった受講者の皆さん。
その結果を生んでくれたのは彼らの「とにかくやってみる」という姿勢だったのは間違いありません。
やってみる前にちゃんと理解する、ということもとても大切なことでしょう。
ですが、食わず嫌いでやってみることから逃げ続けるのもまたもったいない話です。
自分が経験のないこと、苦手意識のあることに対してはどうしても及び腰になり、「知ろうともしない」というスタンスの方も多いでしょう。
学校であれば、教学方は経営に関してなかなか知ろうとせず、事務方は教育内容について知ろうとしない、ということが起きがちです。
でも、「とにかくやってみよう」という姿勢が、思わぬ好結果を生むことも多いものです。
まずは学んでみよう、知ってみよう、やってみよう、という気持ちの大切さ、そして実際に動いてみることの大切さを、昨日の研修会は私に教えてくれました。
皆さんは「とにかくやってみる」という姿勢、大切にしていますか?