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寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について

組織 人事 事務 経営体

本日は中教審の答申をご紹介します。

以前から、このブログでも注目していた「チームとしての学校」に関するものです。

文科省HPより。

 

チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)(中教審第185号):文部科学省

 

資料としては「答申本体」「概要」「骨子」と掲載がありますが、全体をつかむには「概要」をご覧いただくのが一番良いように思います。

ここでは「骨子」を引用します。少々長いですが、途中の省略をするとかえってよろしくないと判断し、そのまま掲載します。

なお、それでも読むのが面倒、あるいは時間がない、という方は引用部分をすっ飛ばしていただければ、引用後に「私なりのまとめ」をさせていただいております。

1.「チームとしての学校」が求められる背景

(教育活動の更なる充実の必要性)
我が国の教員は,学習指導,生徒指導等,幅広い業務を担い,子供たちの状況を総合的に把握して指導し,高い成果を上げている。一方で,新しい時代の子供たちに必要な資質・能力を育むためには,教育活動の更なる充実が求められている。

(学習指導要領改訂の理念を実現するための組織の在り方)
子供たちに,必要な資質・能力を育むためには,学校が,社会や世界と接点を持ちつつ,多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことができる開かれた環境となることが不可欠であり,これからの教育課程には,教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ,社会の変化に目を向け,柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」としての役割が期待されている。
この理念を実現していくためには,各学校において,「アクティブ・ラーニング」の視点を踏まえた不断の授業方法の見直し等による授業改善と「カリキュラム・マネジメント」を通した組織運営の改善に一体的に取り組むことが重要である。
さらに,「コミュニティ・スクール」や多様な地域人材等と連携・協働して,家庭や地域社会を巻き込み,教育活動を充実していくことが大切である。

(複雑化・多様化した課題)
その一方で,社会や経済の変化に伴い,子供や家庭,地域社会も変容し,生徒指導や特別支援教育等に関わる課題が複雑化・多様化しており,学校や教員だけが課題を抱えて対応するのでは,十分に解決することができない課題も増えている。
また,我が国の子供の貧困の状況が先進国の中でも厳しいということも明らかとなっており,学校における対応が求められている。

(我が国の学校や教員の勤務実態)
国際調査等によると,我が国の教員は,授業に関する業務が大半を占めている欧米の教員と比較すると,授業や生徒指導など様々な業務を行っていることが明らかとなっており,勤務時間も国際的に見て,長いという結果が出ている。

(「チームとしての学校」の必要性)
学校が,複雑化・多様化した課題を解決し,子供に必要な資質・能力を育んでいくためには,学校のマネジメントを強化し,組織として教育活動に取り組む体制を創り上げるとともに,必要な指導体制を整備することが必要である。
その上で,生徒指導や特別支援教育等を充実していくために,学校や教員が心理や福祉等の専門スタッフ等と連携・分担する体制を整備し,学校の機能を強化していくことが重要である。
このような「チームとしての学校」の体制を整備することによって,教職員一人一人が自らの専門性を発揮するとともに,心理や福祉等の専門スタッフ等の参画を得て,課題の解決に求められる専門性や経験を補い,子供の教育活動を充実していくことが期待できる。
学校において,子供が成長していく上で,教員に加えて,多様な価値観や経験を持った大人と接したり,議論したりすることは,より厚みのある経験を積むことができ,「生きる力」を定着させることにつながる。

2.「チームとしての学校」の在り方
(1)「チームとしての学校」を実現するための3つの視点
「チームとしての学校」を実現するためには,次の3つの視点に沿って施策を講じていくことが重要である。なお,本答申は,幼稚園から高等学校 等の学校を対象としているが,具体の在り方については,学校種や学校の実態等を踏まえ検討する必要がある。

1 専門性に基づくチーム体制の構築
教員が,学校や子供たちの実態を踏まえ,学習指導や生徒指導等に取り組むため,指導体制の充実が必要である。加えて,心理や福祉等の専門スタッフについて,学校の職員として,職務内容等を明確化し,質の確保と配置の充実を進めるべきである。

2 学校のマネジメント機能の強化
専門性に基づく「チームとしての学校」が機能するためには,校長のリーダーシップが重要であり,学校のマネジメント機能を今まで以上に強化していくことが求められる。そのためには,優秀な管理職を確保するための取組や,主幹教諭の配置の促進や事務機能の強化など校長のマネジメント体制を支える仕組みを充実することが求められる。

3 教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備
教職員がそれぞれの力を発揮し,伸ばしていくことができるようにするためには,人材育成の充実や業務改善の取組を進めることが重要である。

(2)「チームとしての学校」と家庭,地域,関係機関との関係
我が国の学校や教員は,多くの役割を担うことを求められており,子供に対して総合的な指導が可能であるという利点がある反面,役割や業務を際限なく担うことにもつながりかねない側面がある。
学校と教員の役割は,子供に必要な資質・能力を育むことであることから,学校と家庭や地域との連携・協働により,共に子供の成長を支えていく体制を作り,学校や教員が,必要な資質・能力を子供に育むための教育活動に重点を置いて,取り組むことが
できるようにしていくことが重要である。

(3)国立学校や私立学校における「チームとしての学校」
「チームとしての学校」を国・私立学校において推進するに当たっては,その位置付け等に配慮し,各学校の取組に対する必要な支援を行うことが重要である。

3.「チームとしての学校」を実現するための具体的な改善方策
(1)教職員の指導体制の充実
1 教職員の指導体制の充実
・ 国,教育委員会は,教員が自らの専門性を発揮するとともに,授業準備や研修等に時間を充てることにより,その資質を高めることができるよう,教員の業務を見直し,事務職員や専門スタッフの活用を推進する。
・ 国,教育委員会は,「アクティブ・ラーニング」の視点を踏まえた不断の授業方法の見直し等による授業改善や,いじめ,特別支援教育等に対応するため,必要な教職員定数の拡充を図る。

2 教員以外の専門スタッフの参画
1)心理や福祉に関する専門スタッフ
・ 国は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを学校等において必要とされる標準的な職として,職務内容等を法令上,明確化することを検討する。
・ 国は,教育委員会や学校の要望等も踏まえ,日常的に相談できるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充,資質の確保を検討する。

2)授業等において教員を支援する専門スタッフ
・ 国,教育委員会は,ICT活用のスキルを持った専門人材等の確保,活用を図りつつ,ICT支援員を養成し,学校への配置の充実を図る。
・ 国,教育委員会は,資格・養成の在り方の検討や研修の実施など,学校司書の専門性を確保する方策を検討・実施するとともに,その配置の充実を図る。
・ 国,教育委員会は,効果的なティーム・ティーチングが可能となるよう外国語指導助手の指導力向上のために必要な研修を実施する。
・ 国は,JETプログラムによる外国語指導助手の配置について,所要の地方財政措置を講じる。地方公共団体は,JETプログラムの積極的活用を図るとともに,学校や教職員をサポートする英語の専門人材に対する支援の充実を検討する。
・ 国は,多彩な人材の積極的参加による地域ぐるみの教育を推進するため,学校や教職員をサポートするスタッフを配置する地方公共団体に対する支援の充実を検討する。

3)部活動に関する専門スタッフ
・ 国は,学校が,地域や学校の実態に応じ,部活動等の指導体制を整えることができるよう,教員に加え,部活動等の指導・助言や各部活動の指導,顧問,単独での引率等を行うことを職務とする職員を部活動指導員(仮称)として,法令上に位置付けることを検討する。
・ 教育委員会等は,部活動指導員(仮称)の任用に際して,指導技術に加え,学校全体や各部の活動の目標や方針,生徒の発達段階に応じた科学的な指導等について理解させるなど必要な研修を実施することを検討する。

4)特別支援教育に関する専門スタッフ
・ 国は,医療的ケアを必要とする児童生徒の増加に対応するため,特別支援学校における看護師等配置に係る補助事業を拡充し,配置人数を増加させる。
・ 国は,特別支援教育支援員について,配置実績に応じた所要の地方財政措置を講じる。

3 地域との連携体制の整備
・ 国は,地域の力を生かした学校教育の充実や学校全体の負担軽減,マネジメント力の向上を図るため,学校内において地域との連携の推進を担当する教職員を地域連携担当教職員(仮称)として法令上明確化することを検討する。

(2)学校のマネジメント機能の強化
1 管理職の適材確保
・ 国,教育委員会は,校長がリーダーシップを発揮し,学校の教育力を向上させていくため,副校長の配置や教頭の複数配置など,校長の補佐体制を強化するための取組を検討する。
・ 国,教育委員会は,副校長及び教頭が力を発揮することができるよう,教頭と事務職員の分担の見直しなど事務体制の整備や,主幹教諭の配置等の取組を進める。
・ 国は,教育委員会が実施する管理職研修の充実のため,プログラムの開発など必要な支援を行う。

2 主幹教諭制度の充実
・ 国は,主幹教諭が本来,期待される役割を十分に担い,校長,副校長,教頭を補佐するため、また,主幹教諭のさらなる配置を促進するため,加配措置を拡充することを検討する。

3 事務体制の強化
・ 国は,事務職員の職務規定等を見直し,事務職員が,学校における総務・財務等の専門性等を生かし,学校運営に関わる職員であることについて法令上,明確化することを検討する。
・ 学校事務体制の強化を図るための定数措置など,事務体制の一層の充実を図る。
・ 国は,事務機能の強化を推進するため,事務の共同実施組織について,法令上,明確化することを検討する。
・ 国は,事務職員が,管理職を補佐して学校運営に関わる職として,自らの専門性を伸ばしていくことができるよう,事務職員を対象とした研修プログラムを教育委員会や事務職員の関係団体等と協力して開発するとともに,開発したプログラムをもとにした各教育委員会における研修の実施を支援する。

(3)教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備
1 人材育成の推進
・ 教育委員会は,評価者研修を実施するとともに,地方公務員法の趣旨を踏まえ,人事評価の結果を任用・給与などの処遇や研修に適切に反映させることによって,教職員一人一人の成長を促していく取組を進める。
・ 国は,文部科学大臣優秀教職員表彰について,教職員個人だけでなく,学校単位,分掌単位等の取組を表彰することを検討する。あわせて,表彰された教職員の実践や指導力を活用する方策を検討する。

2 業務環境の改善
・ 国は,「学校現場における業務改善のためのガイドライン」(平成27年7月27日 文部科学省)等を活用した研修を実施することなどにより,教育委員会の業務改善を支援する。
・ 教育委員会,学校は,「教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)」(平成25年3月29日 教職員のメンタルヘルス対策検討会議)等も参考に,メンタルヘルスに係る一次予防や復職支援等に取り組む。

3 教育委員会等による学校への支援の充実
・ 国,都道府県は,小規模の市町村において指導主事の配置が進むよう引き続き支援する。
・ 国は,学校の教職員が,保護者や地域からの要望等に対応するため,弁護士等の専門家から支援を受けたり,専門的な知見を直接聞いたりすることができるような仕組みを教育委員会が構築することを支援する。
・ 国,教育委員会は,警察や弁護士会等の関係機関,関係団体と連携し,不当な要望等への対応について,実例等に基づいた研修を実施する。

やっぱり長かったですね…

というわけで、私なりのまとめです。

 

まず、このようなことがなぜ求められるか、という「背景」について。

いくつかの理由が挙がっていますが、教育内容あるいは技術の側面からは「アクティブ・ラーニング」が主因となっています。各教員、さらには地域等との連携が不可欠であり、そのための「チーム・学校」、というわけです。

一方で、教員の長時間労働の是正もまた、背景の一つになっています。

 

次に、その在り方について。答申は「専門性に基づくチーム体制の構築」「学校のマネジメント機能の強化」「教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備」の3つの視点から整理を試みています。

「専門性に基づくチーム体制の構築」では指導体制の充実、特に心理や福祉等の専門スタッフの充実に言及しています。

「学校のマネジメント機能の強化」では校長のリーダーシップと校長のマネジメント体制を支える仕組みの充実が求められています。

「教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備」では人材育成と業務改善を進めることが重要とされています。

ちなみに、『国立学校や私立学校における「チームとしての学校」』という項目もあり、そこには『「チームとしての学校」を国・私立学校において推進するに当たっては,その位置付け等に配慮し,各学校の取組に対する必要な支援を行うことが重要』と書かれています。行政サイドの配慮事項、ということでしょうね。

 

最後に、実現のための具体的な改善方策について、基本的には教育委員会等が実施すべきこととして以下のような事項が指摘されています。

・教員の業務見直し

・事務職員や専門スタッフ(心理・福祉、授業支援、部活動)の活用推進

・地域との連携体制の整備

・副校長の配置、教頭の複数配置、主幹教諭の配置等

・教頭と事務職員の分担の見直し

・管理職研修の充実

 

以上、いかがでしたでしょうか。

 

「経営」の部分を行政が担う公立校とは異なり、私学は上記掲載の施策を自ら進めていくことが必要です。

その意味で、重要な示唆がたくさん含まれていると思いますので、ぜひとも経営のご参考になさってください。