寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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授業準備も業務 賃金支払いを勧告

表題にどきりとさせられた私学関係者もいらっしゃるのではないでしょうか。

安心してください、学習塾の話です。

毎日新聞より。

 

アルバイト塾講師:授業準備も業務 賃金支払いを勧告 - 毎日新聞

 

まあ、実際のところ、経営者さんに安心してください、とはとても言えないのですが。

記事の内容を引用しておきます。

 アルバイト塾講師の賃金について、相模原労働基準監督署が、授業準備や報告書作成など授業以外の仕事も労働時間と認定し、半年間の未払い賃金22万円の支払いなどを学習塾に命じる是正勧告を出していたことが分かった。授業のコマ数(授業をしている時間)に応じ賃金を支払う塾業界の労働慣習が、見直しを迫られている。

 塾講師らが加入する個別指導塾ユニオンなどによると、勧告を受けたのは学習塾大手の湘南ゼミナール横浜市)系列の「森塾淵野辺校」(相模原市中央区)。中高生を教える男子学生(19)が昨年11月、賃金不払いなどを申告した。勧告は同12月28日付。

 男子学生などによると、授業30分前に出勤し自分の授業の予習や生徒の出欠確認などを行い、休憩時間中は生徒の質問に対応。授業後は約50分間、報告書作成や塾生送り出し、清掃をする。だが、賃金は授業1コマ80分1500円でコマ数分のみ。授業以外の労働時間についても賃金の支払いを求めたが、塾側は応じなかった。

 勧告について、湘南ゼミナールは「真摯(しんし)に受け止め、誠意をもって対応したい」(広報部)としている。

 アルバイト塾講師を巡って厚生労働省は昨年3月、授業以外の準備に要する時間も労働時間として賃金を支払うよう求める文書を塾業界7団体に送った。ところが、同ユニオンによると、塾大手の明光義塾を運営する「明光ネットワークジャパン」(東京)の関係5教室でも、今回と同様の賃金未払いがあったとして労基署から是正勧告を受けたことが昨年10月に発覚。改善がなかなか進まない実態が浮かんだ。

 厚労省が昨年11月に公表した学生アルバイトに関する初の実態調査でも、アルバイト塾講師経験者の57%が、労働条件を巡るトラブルがあったと回答。「授業の準備や片付けの時間の賃金が支払われなかった」「採用時に合意した以外の仕事をさせられた」といった訴えが目立った。

学習塾の場合、いわゆる「ブラックバイト」も少なからず存在しているの実態のようですね。

80分1,500円であれば、時給は1,125円ですから、最低賃金はクリアしていますし、他の職業に比べても時給は決して悪くないのですが、学習塾の場合には事前の準備や休憩中の業務、さらには授業後のフォローや書類作成など、上記記事にもあるようにいろいろと付随業務が発生します。

仮に「80分」ではなく「100分」で1,500円のコマ給だとすれば、時給は900円になってしまい、自治体によっては最低賃金付近の水準になってしまいます。

近年、私学においても労働時間管理が叫ばれているのもよく似た理由によるものなのではないでしょうか。

確かに、非常勤講師に対する給与はコマ単位のケースが多く、授業準備や成績処理にかかる時間がどの程度カウントされているのかという点については、学校によって差があるのかもしれません(私が知る限りでは、むしろ教員有利な制度もたくさん存在しているのですが…)。

 

ただ一方で、このような問題が発生しやすいのは、教育現場があまりに「時間無制限」であること、さらには何事も「個の頑張り」で打開しようとすること、すなわち業界風土にあることも忘れてはなりません。

 

限られた時間で一定以上の成果を挙げること。

個の力ではなく、組織力で事に当たること。

いずれも教え子たちには当然のように求めることでありながら、教職員はどこか他人事で捉えているところがあるようにも思います。

業界の常識を疑ってみることも必要な時期に差し掛かっているような気がしてなりません。