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寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について

人事 制度

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

平日はほぼ毎日、更新を続けている本ブログですが、全シリーズを含めるとちょうど5年が経過し、話題もひと回りしたところで更新頻度を少し緩めさせてもらおうと考えております。

というわけで本年はのんびりしたペースで引き続きお付き合い下さい。

 

そんな2016年最初の話題はこちら。

 

これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について ~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ (答申)(中教審第184号):文部科学省

 

教員は学校の最大の経営資源

その資質向上は経営上最大のテーマと言っていいでしょう。

中教審から昨年末に出された答申は全69ページとまずまずのボリュームがありますので、本ブログではサマリー部分のみを抽出して掲載してみます。

それでもちょっと長くなりますが、ご容赦ください。

1.検討の背景
<教員政策の重要性>
◆ 新たな知識や技術の活用により社会の進歩や変化のスピードが速まる中,教員の資質能力向上は我が国の最重要課題であり,世界の潮流でもある。

<学校を取り巻く環境変化>
◆ 近年の教員の大量退職,大量採用の影響等により,教員の経験年数の均衡が顕著に崩れ始め,かつてのように先輩教員から若手教員への知識・技能の伝承をうまく図ることのできない状況があり,継続的な研修を充実させていくための環境整備を図るなど,早急な対策が必要である。

<学び続ける教員>
◆ 学ぶ意欲の高さなど,我が国の教員の強みを最大限に生かしつつ,子供に慕われ,保護者に敬われ,地域に信頼される存在として更なる飛躍が図られる仕組みの構築が必要である。

<社会に開かれた教育課程とチーム学校>
◆ 教育課程の改善に向けた検討と歩調を合わせながら,各教科等の指導に関する専門知識を備えた教えの専門家としての側面や,教科等を越えたカリキュラム•マネジメントのために必要な力,アクティブ•ラーニングの視点から学習•指導方法を改善していくために必要な力,学習評価の改善に必要な力などを備えた学びの専門家としての側面も備えることが必要である。
◆ 教員が多様な専門性を持つ人材等と連携・分担してチームとして職務を担うことにより,学校の教育力•組織力を向上させることが必要であり,その中心的役割を担う教員一人一人がスキルアップを図り,その役割に応じて活躍できるようにすることとそのための環境整備を図ることが重要である。

<教員改革のチャンス>

◆ 我が国の教員の強みを生かしつつ,教員制度を改革し,新たな学びを支える新しい教員像を打ち出すことができれば学校教育の質を高め世界に発信できるチャンスであり,教員の養成•採用•研修の一体的改革を推し進めるべきである。

2.これからの時代の教員に求められる資質能力
◆ これまで教員として不易とされてきた資質能力に加え,自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことのできる力や,情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力などが必要である。
◆ アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善,道徳教育の充実,小学校における外国語教育の早期化・教科化,ICTの活用,発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応などの新たな課題に対応できる力量を高めることが必要である。
◆ 「チーム学校」の考えの下,多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し,組織的・協働的に諸課題の解決に取り組む力の醸成が必要である。

3.教員の養成・採用・研修に関する課題
(1)教員研修に関する課題
◆ 国,教育委員会,学校,その他の関係者等が一体となって,学校における業務の精選や効率化,教職員の役割分担の見直しや専門家の活用,組織体制の強化,地域との連携などチームとしての学校の力の向上を図る措置を講じることによって,研修のための機会を確保することが不可欠である。
◆ 国,都道府県,市町村,学校等研修の実施主体が大学等を含めた関係機関との有機的連携を図りながら,教員のキャリアステージに応じ,教員のニーズも踏まえた研修を効果的•効率的に行う必要がある。
◆ 法定研修である初任者研修,10年経験者研修については,実施状況や教育委員会•学校現場のニーズを把握し,制度や運用の見直しを図ることが必要である。
◆ 研修そのものの在り方や手法も見直し,主体的・協働的な学びの要素を含んだ研修への転換を図る必要がある。
◆ 新たな教育課題に対応した研修プログラムの開発•普及,研修指導者の育成,教育センターや学校内での研修体制の充実など,特に校内研修の充実・活性化を図りつつ,学校内外の研修を一層効果的•効率的に行うための体制整備が必要である。
◆ 教員が学び続けるモチベーションを維持するため,教員の主体的な学びが適正に評価され,学びによって得られた能力や専門性の成果が見える形で実感できる取組や制度構築を進めることが必要である。
◆ 研修の充実のため,独立行政法人教員研修センターがこれまで以上に積極的に役割を果たしていく必要がある。

(2)教員採用に関する課題
◆ 豊かな知識や識見,幅広い視野を持ち個性豊かでたくましい人材や特定の教科や指導法についてより高い専門性を持った人材を教員として確保する必要がある。
◆ 多様で多面的な選考方法を促進するため,各教育委員会が実施する採用選考試験への支援方策が必要である。
◆ 教員の採用に当たって,学校内における年齢構成の均衡に配慮し検討することが必要である。

(3)教員養成に関する課題
◆ 養成段階は「教員となる際に必要な最低限の基礎的•基盤的な学修」を行う段階であることを認識する必要がある。
◆ 実践的指導力の基礎の育成に資するとともに,教職課程の学生に自らの教員としての適性を考えさせる機会として,学校現場や教職を体験させる機会を充実させることが必要である。
◆教職課程の質保証•向上のため,教職課程に対する外部評価制度の導入や全学的に教職課程を統括する組織の整備を促進する必要がある。
◆ 教員養成カリキュラムについて,学校現場の要望に柔軟に対応できるよう,教職課程の大くくり化や大学の独自性が発揮されやすい制度とするための検討が必要である。

(4)教員の養成・採用・研修を通じた課題
◆ 教員の養成•採用•研修の各段階において教職大学院を含む大学等と教育委員会の連携が必要であり,そのための具体的な制度的枠組みが必要である。
◆ 教員のキャリアステージに応じた学びや成長を支えていくため,養成•研修を計画•実施する際の基軸となる教員の育成指標を教育委員会と大学等が協働して作成するなど,連携強化を図る具体的な制度を構築することが必要である。
◆ ICT の利活用,特別支援教育,外国語教育,道徳など新たな教育課題や,アクティブ•ラーニングの視点からの授業改善などに対応した教員養成•研修が必要である。

(5)教員免許制度に関する課題

◆ 義務教育学校制度の創設や学校現場における多様な人材の確保に対応した免許制度改革が必要である。
◆ 学校種横断的な免許状の創設等免許状制度の総合的な在り方については今後検討する。

4.改革の具体的な方向性
(1)教員研修に関する改革の具体的な方向性
◆ 「教員は学校で育つ」ものであり,同僚の教員とともに支え合いながら OJT を通じて日常的に学び合う校内研修の充実や,自ら課題を持って自律的,主体的に行う研修に対する支援のための方策を講じる。

① 継続的な研修の推進
◆ 国及び教育委員会等は,経験年数の異なる教員同士のチーム研修やベテランの教員やミドルリーダークラスの教員がメンターとして若手教員等を育成するメンター方式の研修等の先進的事例を踏まえた校内研修の充実を図る方策について検討する。
教育委員会は,管理職に対する研修の実施や校内研修リーダーの養成,校内研修実施のための手段(ツール)や資源(リソース)等の整備を推進する。
◆ 学校内においては,校長のリーダーシップの下,研修リーダー等を校内に設け,校内研修の実施計画を整備し,組織的•継続的な研修を推進する。
◆ 大学等と連携した研修や受講した研修の単位化などについて協議する仕組みを構築する。

② 初任者研修の改革
◆ 国は,各都道府県等の状況を踏まえ,効果的な若手教員研修が行えるよう,初任者研修の運用方針を見直す。
◆ 国及び教育委員会等は上述のチーム研修やメンター方式の研修を参考に組織的な初任者研修について改善方策を検討する。
◆ 国は,引き続き必要な定数措置に努めるとともに,研修実施手段(ツール)や資源(リソース)の確保等の必要な支援を講じる。

③ 10年経験者研修の改革
◆ 国は,教員免許更新制の意義や位置付けを踏まえつつ,10年経験者研修を10年が経過した時点で受講すべき研修から,学校内でミドルリーダーとなるべき人材を育成すべき研修に転換し,それぞれの地域の実情に応じ任命権者が定める年数に達した後に受講できるよう実施時期を弾力化する。

④ 研修実施体制の整備・充実
◆ チーム学校の理念の下,国及び教育委員会は,事務職員や専門能力スタッフの活用を推進するとともに,国はオンライン研修の普及,研修機会の確保やアクティブ•ラーニングの視点に立った学びの推進等に必要な教職員定数の拡充を図る。
◆ 国は,新たな課題に対応した研修手法やプログラムの開発•評価•普及を図るため,研修リーダーの養成や指導教諭の職務の明確化,指導教諭•指導主事の配置促進等,指導体制の充実を図る。

独立行政法人教員研修センターの機能強化
独立行政法人教員研修センターは,各地域における教員研修施設や教職大学院などの大学等とのネットワークを構築しつつ,教員の各キャリアの段階を通じた資質能力向上に関する調査,分析,研究開発や情報の整理,収集,提供等を担う全国的な拠点として機能強化を図る。

(2)教員採用に関する改革の具体的な方向性
◆ 国及び各都道府県の教育委員会等は,後述する教員育成協議会(仮称)における協議等を踏まえ,採用前の円滑な入職や最低限の実践力獲得のための取組を普及・推進する。
◆ 国は,教員採用試験の共通問題の作成について,各都道府県の採用選考の内容分析やニーズの把握等,必要な検討に着手する。
◆ 国は,後述のように特別免許状授与の手続の改善を図るなど活用を促進する。
◆ 国は,特別免許状以外にも,教員免許を有しない有為な外部人材を教員として確保するための方策について検討する。

(3)教員養成に関する改革の具体的な方向性
◆ 教員免許状の取得に必要な単位数は増加させないことを前提として,新たな教育課題に対応できるよう教職課程の内容を精選•重点化する。
◆ 国立の教員養成を目的とする大学•学部は,地域のニーズを踏まえつつ,新たな教育課題に対応した取組を率先して実施し,他大学•学部におけるモデルを提示して,その取組を普及•啓発する。
◆ 教職課程については,学校種ごとの特性を踏まえつつ,「教科に関する科目」と「教職に関する科目」等の科目区分を撤廃し,新たな教育課題等に対応できるよう見直す。
◆ 国は,学校インターンシップの実施について,教育実習との役割分担を明確化しつつ,受入れ校,教育委員会,大学との連携体制の構築,大学による学生への適切な指導などの環境整備について検討する。
◆ 学校インターンシップについては,教職課程において義務化はせず各大学の判断により教育実習の一部に充ててもよいこととする。

(4)新たな教育課題に対応した教員研修・養成
(●新たな課題/□研修/・養成の順に)

●アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善
□特定の教科ではなく学校全体の取組としてアクティブ・ラーニングの視点に資する校内研修を推進
免許状更新講習の選択必修領域として主体的・協働的な学びの実現に関する事項を追加
・児童生徒の深い理解を伴う学習過程の理解や各教科の指導法の充実
・教職課程における授業そのものをアクティブ・ラーニングの視点から改善

●ICTを用いた指導法

□ICTを利活用した授業力の育成や,児童生徒のICTの実践的活用や情報活用能力の育成に資する指導のための研修を充実
・ICTの操作方法はもとより,ICTを用いた効果的な授業や適切なデジタル教材の開発・活用の基礎力の養成

●道徳教育の充実

□「特別の教科」としての道徳科の趣旨を踏まえ,道徳科の目標や内容を理解し,児童生徒が議論する問題解決的な学習への一層の転換を図るなど計画的な研修の充実
□道徳教育に関する校内研究や地域研究の充実,「道徳教育推進リーダー教師(仮称)」の育成
・「特別の教科」としての道徳科の趣旨を踏まえ,教職課程における理論面,実践面,実地経験面からの改善・充実

●外国語教育の充実

□各地域の指導者となる「英語教育推進リーダー」の養成を推進し,小中高の接続を意識した指導計画の作成や学習到達目標を活用した授業改善などについて指導・助言を実施

□免許法認定講習の開設支援等による小中免許状の併有促進
・大学,教育委員会等が参画して教員養成に必要なコアカリキュラムを開発し,課程認定や教職課程の改善・充実に活用
・専門性を高める教科及び指導法に関する科目を教職課程に位置付け

特別支援教育の充実

□全ての教員を対象とした基礎的な知識・技能を身に付ける研修の実施
□校長等管理職や特別支援学級の担任,特別支援学校教員等の職に応じた専門性向上ための研修の実施
□(独)国立特別支援教育総合研究所と(独)教員研修センターとの連携による研修の推進
発達障害を含む特別な支援を必要とする幼児,児童,生徒に関する理論及び指導法について,教職課程に独立した科目として位置付け

(5)教員の養成・採用・研修を通じた改革の具体的な方向性

・学び続ける教員を支えるキャリアシステムの構築

・教員育成協議会(仮称)の創設

・教員育成指標の策定

・教員研修計画の策定

 (6)教員免許制度に関する改革の具体的な方向性

◆ 国は,義務教育学校制度の導入に伴い,教科に関する高い専門性を持つ中学校等の教員を小学校の教員として活用しやすくするため,中学校の免許状所持者が義務教育学校の前期課程において教科等に加えて学級担任も可能にするよう制度改正を行う。
◆ 国は,現職教員の他校種免許状の併有を促進するため,取得しようとする免許状に関係する学校における勤務年数を新たな免許状取得の際の単位数に換算できるようにする。
◆ 国は,特別免許状授与の際,授与権者が意見聴取する対象者の弾力化を行う。
◆ 国は,平成32年までにおおむね全ての特別支援学校教員が当該学校教諭等免許状を保有することを目指し,現職教員に対する免許法認定講習の開設支援,独立行政法人国立特別支援教育総合研究所による免許法認定通信教育の実施,養成段階での免許状取得促進等の取組を推進する。

(7)教員の資質能力の高度化に関する改革の具体的な方向性

教職大学院については,量的な整備を行いながら,高度専門職業人としての教員養成モデルから,その中心に位置付けることとし,現職教員の再教育の場としての役割に重点を置きつつ,学部新卒学生についても実践力を身につける場として質的•量的充実を図る。

教職大学院独立行政法人教員研修センターとも連携し,大学と教育委員会•学校との連携•協働のハブとなり,学部段階も含めた大学全体の教員養成の抜本的な強化や現職教員の研修への参画など地域への貢献の充実を図る。
◆ 新任教員の任用に当たり,教職大学院修了者向けの採用試験の実施,名簿登載期間の延長や初任者研修免除などのインセンティブを付与することの検討を行う。また,現職教員については教職生活全体のキャリアの中に教職大学院での学びを位置付け,管理職コースの設置や教育委員会との連携による管理職研修の開発•実施を行う。
教職大学院について,履修証明制度や科目等履修制度の活用等により現職教員が学びやすい仕組みのための環境を整備するとともに,学校現場を基軸とした教育課程の編成•管理を行い,地域性を踏まえ,各教職大学院の強み•特色を示していく。
◆ 国は,教員の資質能力の高度化を図るため,「教員育成協議会」(仮称)における協議において教職大学院における授業履修や研修の成果を専修免許状の取得や能力証明に結びつける方策について検討する。
◆ 国公私立大学の教員養成系以外の大学院における教員養成の取組について一層の充実を図る。

教育内容の広がり以上に、公立校の教員はどんどん締め付けが強くなる印象すら抱いてしまいそうな記述ですが、これまでは個々の努力で担保されてきたことがそうでなくなりつつあるということも同時に言えるのかもしれません。

いずれにせよ、教員の資質を高める公的なしくみの整備が進んでいるという現状がここから分かります。

 

さて、私学ではどうでしょうか。

採用と育成について、各校ごとの取組を進める必要性、そしてその取組内容について考えてみる際の材料に上記資料をお使いいただければと思います。