寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況

本日は、厚生労働省HP掲載の情報をお届けします。

 

平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況|厚生労働省

 

4年に1回程度という頻度で実施されているこの調査。

前回は平成22年、その前は平成19年となっています。

調査は「事業所調査」と「個人調査」に分かれていて、事業者側と労働者側のそれぞれがどんな状況にあるか、またどんなふうに感じているのかをある程度知ることができます。

 

まずは事業者調査の概要から、気になるところを記載してみます(筆者が一部加工しています)。

1 就業形態別労働者がいる事業所の割合

・平成 26 年 10 月1日現在の就業形態別事業所割合

「正社員がいる事業所」95.2%、「正社員以外の労働者がいる事業所」80.1%、「正社員のみの事業所(正社員以外の労働者がいない)」19.9%

・正社員以外の就業形態別に、当該就業形態の労働者のいる事業所割合が最も高い産業

「パートタイム労働者がいる」…「宿泊業,飲食サービス業」90.1%

「嘱託社員(再雇用者)がいる」…「電気・ガス・熱供給・水道業」49.5%

契約社員(専門職)がいる」…「教育,学習支援業」33.3%

派遣労働者(受け入れ)がいる」…「情報通信業」26.9%

 

2 3年前と比べた正社員数及び正社員以外の労働者比率の変化

(1)正社員数の変化

・3年前(平成 23 年)と比べ、正社員数が「減った」27.2%、「増えた」20.6%、「変わらない」50.5%

・産業別にみると、正社員数が「減った」とする事業所割合の方が「増えた」とする事業所割合よりも高い産業が多い(ただし「不動産業,物品賃貸業」、「医療,福祉」などでは逆)

事業所規模別にみると、300 人以上の各事業所規模では、正社員数が「増えた」とする事業所割合が「減った」とする事業所割合を上回っている

(2)正社員以外の労働者比率の変化

・3年前と比べ、正社員以外の労働者比率が「ほとんど変わらない」66.4%、「低下した」14.2%、「上昇した」14.1%となっている。

・産業別にみると、「上昇した」とする事業所割合は「教育,学習支援業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」でそれぞれ 20.1%、19.3%と高くなっている

 

3 正社員以外の労働者の活用

(1)正社員以外の労働者を活用する理由(民営事業所について)

「賃金の節約のため」38.8%(前回 43.8%)

「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」33.4%(前回 33.9%)

…前回より減少

「即戦力・能力のある人材を確保するため」31.1%(前回 24.4%)

「専門的業務に対応するため」27.6%(前回 23.9%)

「高年齢者の再雇用対策のため」26.6%(前回 22.9%)

「正社員を確保できないため」26.1%(前回 17.8%)

…前回より上昇

(2)正社員以外の労働者を活用する上での問題点

「良質な人材の確保」53.8%、「定着性」49.1%、「仕事に対する責任感」48.6%

正社員以外の労働力について、活用が進んだケースとむしろ減ったケースはほぼ同水準であることが分かる一方で、教育・学習支援業の場合は前者にあたるという結果になっていますね。 

そして、正社員以外を活用する理由が積極的な動機から消極的な動機へと変化していることも分かります。

人材の確保が以前に比べて難しくなっている状況が推測できます。

 

続いて、個人調査の結果の中で興味深いものを引いてみます。

○期間を定めない雇用契約への変更希望

・雇用期間の定めのある正社員以外の労働者について、期間を定めない雇用契約への変更希望の有無…「希望しない」44.2%、「希望する」38.3%

・就業形態別での「希望する」割合…「契約社員(専門職)」48.5%、「派遣労働者」48.3%、「その他」52.0%

○現在の職場での満足度

仕事の内容・やりがいや賃金など 11 の項目と職業生活全体について、「満足」又は「やや満足」とする労働者割合から「不満」又は「やや不満」とする労働者割合を差し引いた満足度D.I.を正社員と正社員以外の労働者で比較した結果

・「仕事の内容・やりがい」(正社員 59.0 ポイント、正社員以外の労働者 58.8 ポイント)、「正社員との人間関係、コミュニケーション」(同 50.0 ポイント、同 48.3 ポイント)、「正社員以外の労働者との人間関係、コミュニケーション」(同 48.0 ポイント、同 53.7 ポイント)などは正社員、正社員以外の労働者ともに高い

・「賃金」(同 15.5 ポイント、同5.6 ポイント)、「人事評価・処遇のあり方」(同 17.6 ポイント、同 18.6 ポイント)、「教育訓練・能力開発のあり方」(同 19.0 ポイント、同 7.1 ポイント)などは両者ともに低い

・正社員の方が満足度D.I.が高いのは「雇用の安定性」、「福利厚生」、「教育訓練・能力開発のあり方」

・正社員以外の労働者の方が満足度D.I.が高いのは「労働時間・休日等の労働条件」、「正社員以外の労働者との人間関係、コミュニケーション」

・前回と比較すると、正社員、正社員以外の労働者ともに全ての項目において満足度D.I.は上昇

無期限雇用への転換希望については、必ずしもニーズが高いわけではなく、その割合は希望の有無でちょうど半々、あるいは希望しない方が若干高いということが分かります。

学校の場合、非常勤教職員さんへの処遇が課題ですが、この結果を見て少しほっとされる向きもあるかもしれませんね。

そして労働者の満足度は相対的には上がっているようで何よりです。

ただし、正社員以外の賃金と教育訓練に対する満足度の低さは特筆すべきところです。

このあたりへの配慮がなされると、雇用の安定化について他の事業所よりも一歩二歩先に出られる可能性があることを示唆しているように思います。

 

採用と育成の難しさはどの事業所にとっても悩みの種でしょう。

少しずつの工夫と環境改善がその課題克服につながることを願っています。