寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学園祭に思う

学園祭シーズンですね。

私も仕事柄、各校の学園祭、文化祭のお誘いを受けることも少なくないのですが、スケジュールの都合もあってなかなか足を運ぶことができず、残念に思っています。

ただそれでも、年に1,2回はそれらのイベントに参加させていただき、その場の雰囲気を堪能させていただいています。

 

先日伺った学園祭も、相当な盛り上がりで、オープニングから子どもたちも大人たちも笑顔をたたえ、元気な歓声があちこちで挙がっておりました。

訪問当初はその学校の理事長さんにご案内をいただいていたのですが、早々に単独行動に移り、グラウンドでの模擬店や講堂での演奏、校内の展示などを次々に見て回りました。

 

そこで一番強く感じたのは、「完成度の高さ」。

並んだ模擬店には凝った装飾とプロ並みの調理器具の数々。呼び込む生徒さんたちも最初のうちは少し勇気が必要だったようですが、大人の促しもあって、時間が経つにつれて堂に入ってきた様子でした。こちらのお腹の容量に限界がなければ、食べたいものが山ほどあったのですが…

合奏や合唱も圧巻。特に驚いたのは、小学生ながら木管楽器金管楽器を立派に演奏している子供たちの多さです。音楽の道に進もうとしているわけではない子どもたちなのに、学校文化祭の中でこんなにもしっかり演奏できる子がたくさんにいることに驚きました。

校内に展示された絵画や造形のレベルの高さにも感嘆。授業+αがそれらの活動時間として確保されているのだろうと思いますが、子どもたちの活動の成果として並んでいるものだとは思えぬくらい、洗練された成果物のオンパレードだったように思います。

 

こうやって無邪気に学園祭を楽しんだ私ですが、ひととおりの見学が済んでからお会いしたその学校の管理職・Aさんと、少しだけですが話をする時間を持つことができました。

そして、そのお話にとても考えさせられたのです。

 

「すごいと思いますよ、ウチの学園祭は」

そう切り出されたAさん。はい、本当にすごいですね、と相槌を打った私に、

「すごすぎるんですよ。子どもたちだけで果たしてこれだけのことができるかと言われると、残念ながらそうではないと私は思います」

そこで私もはたと気付きました。この学園祭の中で、大人はどう存在しているのだろうか…と。

 

「PTAの皆さんはとてもよくやってくださいます。そのことに感謝してはいますが、もう少し子どもたち自身が前に出られないものかな、と。もっと下手くそでいいし、こんなに規模も大きくなくてもいい。失敗しながら、でも自分たちでやったという達成感もまた教育のひとつだと思うんです。私の勝手な意見ですけどね」

 

確かに、現在の形でも子どもたちは一定の達成感を得ることでしょう。

でも、大人が「完成度の高さ」を求めすぎるあまり、子どもたちの自由な発想や自由な行動に無意識の制約を与えているとすれば…

その線引きはとても難しいですし、Aさんもおっしゃる通り、これは価値観や考え方によって結論はどうにでも変わる可能性があります。

 

ただ私は、この学校にこのような想いを持って学園祭を見守っているAさんがいることは素敵なことだな、と感じました。

そして欲を言えば、このような意見が学内で共有され、自校にとっての学園祭はどうあるべきかという議論が深まればなおよいのではないか、と。

 

ひとつの目的に向かって、喧々諤々の議論がなされ、その結果として得られた結論には全員が力を惜しまず協力する。

理想論、と言われそうですが、理想を追うことこそが私の使命です。

楽しかった学園祭の中に、そんなことを感じた先日の出来事でした。