寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学経営に求められる施設戦略

まずは少々古くなってしまった情報のご提供を。

文部科学省HPより。

 

大学経営に求められる施設戦略~施設マネジメントが教育研究基盤を強化する~:文部科学省

 

今年3月に出されたものですので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

学校経営の基盤のひとつ、施設に関するマネジメントをテーマにした内容となっております。

大学が対象となっていますが、それ以外の学校種を持つ学校法人さんにも十分役立つ内容になっていると思います。

以下、概要版から「基本的な考え方」を抜粋しておきます。

1.大学経営の一環としての施設マネジメント
・厳しい財政状況の中で国立大学等の理念やアカデミックプランを実現するために,施設の戦略的な運営が必要
・施設マネジメントは,施設の整備や維持管理,既存施設の有効活用,省エネルギー対策,財源確保等,施設全般に係る様々な取組
・キャンパス全体について,総合的・長期的視点から,教育研究活動に対応した適切な施設を確保・活用することを目的として実施
・施設に係る取組を大学経営の一環として捉え,教育研究や財務の戦略との整合性を図りながら実施

2.トップマネジメントによる全学的体制の構築
・施設マネジメントは,経営者層のリーダーシップによる全学的体制で実施
・体制の構築には,施設マネジメントを経営者層によるトップマネジメントとして位置づけることが必要
・ 横断的な実務体制の構築とともに学内の合意形成を図り,実効性のある施設マネジメントを実施
・また,施設マネジメントの取組への理解を深めるため,施設利用者への普及啓発による参画意識の醸成が不可欠

3.PDCAサイクルにおける経営者層の役割
・中期的な行動計画を策定するPDCAサイクルを確立するとともに,毎年の取組についても短期間のPDCAサイクルにより検証・評価
・経営者層の十分な理解による主体的な実施が必要

学校経営の基本は

「理念の再確認⇒方針の策定と全学的な共有⇒PDCAサイクルを回す」

ということに尽きると思います。

施設においてもまさにその考え方が重要であることを示してくれています。

 

そしてこのたび、こんな事例集が出されました。

大学経営に求められる施設戦略 先進的・効果的な施設マネジメントの実践事例―「計画的な修繕と財源確保」と「既存スペースの再配分」―:文部科学省

 

このHPにおける紹介文にもあるように、学校施設にとってまず必要になるのが「計画修繕」という考え方です。

国立大学以上に、私学にとって施設にかかる費用は効率化が必要です。

そのため、修繕を計画的に実施する、そしてその財源をしっかり確保することが何より重要。

そして現代のもう一つの大きな課題として、学校規模や教育内容の変化による施設利用の形態変化への対応があります。

この2点につき、本事例集には「実施の考え方」が掲載されていますので抜粋してみましょう。

第1部 計画的な修繕と財源確保
○ 施設は大学の経営資源であり,共有の財産であることから,構成員全員で大切に使用し,健全な状態で維持していくことが必要です。
○ 厳しい財政状況の中でも教育研究活動に必要なスペースの質を確保するために,必要な財源を安定的に確保して,予防保全の観点に立ち,優先順位を定めて計画的に修繕を実施していくことが重要です。
○ それにより,修繕のトータルコストの削減,毎年のコストの平準化にもつながります。
○ これらについて,経営者層及び学内構成員へ普及啓発し,全学的体制により取組を実施します。

第2部 既存スペースの再配分
○ 施設は大学の経営資源であり,共有の財産であることから,利用者の既得権を前提とせずに,構成員全員で有効に活用していくことが必要です。
○ 厳しい財政状況の中でも教育研究活動に必要なスペースの量を確保するために,学内のスペースの状況や需要を把握し,本部で管理するスペースを確保して,全学的見地から,機動的にスペースを再配分していくことが重要です。
○ それにより,保有施設の総量の最適化,施設管理に係るコストの増大の抑制にもつながります。
○ これらについて,経営者層及び学内構成員へ普及啓発し,全学的体制により取組を実施します。

同じ文言が繰り返されていますが、そのまま抜粋しております。ご容赦ください。

 

施設整備については、目の前の生徒たちへの対応と比べるとどうしても後手に回りがちです。

ただ一方で、一朝一夕では生み出せないお金がかかるのもこの施設整備の特徴です。

 

いかに計画的に物事を進められるか。

優先度を決めるのは「緊急性」だけではなく、その「重要性」もしっかり勘案する必要があることを思い出さねばなりませんよね。

各校の早期の計画立案に期待しております。