寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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「平成26年度幼児教育実態調査」の結果について

本日は、幼稚園の状況についての調査結果をご紹介しましょう。

文部科学省HPより。

 

「平成26年度幼児教育実態調査」の結果について:文部科学省

 

本調査の対象は、全ての公私立幼稚園及び都道府県・市町村、つまり悉皆調査となっており、回答園数は 12,230園(公立:4,470園、私立:7,760園)と膨大です。

調査基準日は平成26年5月1日となっていますが、一部調査においては別途設定されていますのでご留意ください。

まずは調査項目について。以下の項目建てとなっております。

1.市町村における公私立幼稚園及び保育所の設置状況
2.公私立幼稚園に係る行政窓口
3.幼稚園と保育所の施設の共用化状況
4.幼児教育に関する政策プログラムの策定状況
5.幼稚園教員の研修の実施状況
6.幼稚園教員の採用・人事交流等の実施状況
7.幼稚園教諭免許と保育士資格の併有状況
8.市町村ごとの幼小接続の状況
9.幼稚園における保育所及び小学校との連携状況
10.幼稚園における子育て支援活動実施状況
11.預かり保育に関する実施状況

これまでの経年変化を含め、こちらに結果が掲載されておりますので、関係各位はぜひご覧いただきたいと思います。

以下、時間のない方向けに、私が興味を持った項目についての結果を引用させていただきます。文章は原則として文科省資料から抜粋させていただき、筆者がポイント部分を太字に加工しております。

3.幼稚園と保育所の施設の共用化状況

幼稚園と保育所の共用化施設認定こども園を除く)は、全体として年々増加傾向にあり、26年5月1日現在で580か所であった。 

認定こども園以外においても、両者の連携は増加しているようです。ただ、資料に掲載されているグラフを拝見すると、平成13~20年くらいには伸びが顕著だった私立が、ここへきて伸びを鈍らせていることが分かります。

5 .幼稚園教員の研修の実施状況
(1)都道府県・指定都市が行う幼稚園教員対象の研修の実施状況
公立幼稚園の教諭等(教諭、助教諭、講師)に対して研修の実施が義務づけられている新規採用教員研修及び10年経験者研修を実施した団体はそれぞれ62団体、57団体であった(未実施の団体は対象となる公立幼稚園の教諭等がいなかった)。そのうち、私立幼稚園の教員も参加した団体はそれぞれ50団体(80.6%)、32団体(56.1%)であり、保育所の保育士も参加した団体はそれぞれ8団体(12.9%)、6団体(10.5%)であった。
新規採用教員研修及び10年経験者研修以外の教員研修を実施した団体は60団体、うち私立幼稚園の教員も参加した団体は56団体(93.3%)、保育所の保育士も参加した団体は48団体(80.0%)となっている。また、園長への研修を実施した団体は48団体、うち私立幼稚園の園長も参加した団体は35団体(72.9%)、保育所の所長も参加した団体はそれぞれ21団体(43.8%)であった。

文中に「団体」とあるのは地方公共団体を指しています。

定例研修よりも、それ以外の研修への参加状況の方が良好である、という結果になっていますね。テーマ設定や内容について詳しく知りたいところです。

7.幼稚園教諭免許と保育士資格の併有状況

幼稚園の園長・教頭・教諭のうち幼稚園教諭免許と保育士資格を併有している者の割合は、全体で78.9%であった。(公私別では、公立:78.3%、私立:79.1%) 

公私間に差はほとんど見られませんね。

9.幼稚園における保育所及び小学校との連携状況

(1)幼児と児童の交流状況
保育所又は小学校の幼児や児童と交流を行った幼稚園は、全体の80.2%であった。(公立:98.4%私立69.6%
(2)教師同士、教師と保育士の交流
保育所又は小学校の保育士や教師との交流を行った幼稚園は、全体の76.2%であった。(公立:94.0%私立66.0%

(3)教育課程の編成に関する工夫の状況
① 教育課程の編成に関する小学校との連携
平成26年度の教育課程の編成にあたり、小学校と情報交換をするなどの連携をした幼稚園は、全体の54.8%であった。
公立:69.6%私立46.3%

② 幼稚園における小学校と連携した取組の具体例 

・ 小学校のスタートカリキュラムを踏まえ、幼稚園においても接続カリキュラムを作成し、就学に向けた指導計画を作成した。
・ 「幼児期から児童期への学びの連続性」に関する研修会を開催した。
幼小連絡会を開催し、その中で、幼稚園、小学校それぞれの重点課題を出し合い、例えば、話の聞き方、あいさつ等生活習慣に関わることなど、幼小共通に取り組んでいる。
・ 幼稚園と小学校で研究テーマを同じにし、研究会への参加により教職員の資質向上を図っている。
幼稚園と小学校それぞれで育ってほしい子供の姿を協議し、研究計画に位置付け、授業公開や保育体験など、幼小の教育内容や子供理解を目的とした教職員の交流、研修の場の設定や子供の交流活動の実施など、つながりを意識した教育活動の推進を図っている。

こちらは公私間の差が大きくなっています。

保幼、あるいは幼小連携については公立の方がかなり進んでいる印象を受けました。 

10 .幼稚園における子育て支援活動実施状況

(1)子育て支援活動の実施率
子育て支援活動を実施している幼稚園は全体の86.7%であった。(公立:86.5%、私立:86.8%)

11 .預かり保育に関する実施状況
預かり保育を実施している幼稚園は全体の82.5%であった。(公立:60.9%、私立:95.0%)

子育て支援や預かり保育は、多くの園で実施されているようですね。

 

幼稚園に関わっていると、学校に比べて周辺の様子、特に商圏が競合する他園の状況がつかめていないケースが多いように感じます。

これにはいくつも理由があると思いますが、いずれにせよ、今回の調査結果は今後の幼稚園経営にとって役に立つ内容を含んでいるものと思われます。

ぜひともご活用ください。