新たな週の始まり、やや冷え込んでいる大阪からお届けします。
久しぶりに文科省審議会情報を。
文部科学省HPより。
学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議(第1回) 配付資料:文部科学省
関わっている私学の中で、図書館が強み、という学校さんがいくつかあるので、私もこの手の話題には敏感に反応してしまいます。
今回引用している会議は8月下旬の開催ですから、ずいぶん日が経ってから資料が掲載されたわけですが、第1回の開催ということで、論点整理の資料がアップされておりますのでご紹介しておきます。
まずはこの会議の趣旨について。引用しておきます(下線は筆者による)。
学校図書館は、学校教育に欠くことのできない基礎的な設備である。近年では、読書活動の推進のために利活用されることに加え、調べ学習やNIE(Newspaper in Education)、また、国語や社会、美術等様々な授業で活用されることにより、学校における言語活動や探究活動の場となり、「アクティヴ・ラーニング」を支援していく役割が期待される。
また、学校図書館法の一部を改正する法律(平成26年法律第93号)において、専ら学校図書館の職務に従事する職員(以下「学校司書」という。)の専門性を確保するため、その資格・養成の在り方等について検討を進めるとともに、研修その他の必要な措置を講ずることとされている。
このような状況を踏まえ、有識者等の協力を得て、学校図書館の運営に係る基本的な視点や、学校司書資格・養成等の在り方に関して、関係者が共有するための一定の指針を得るため、学校図書館の整備充実に関する調査研究を行うこととする。
そして、この会議で審議されるであろう、主な論点についても掲載されています。こちらも引用しておきます。
1.図書館資料について
○ 学校図書館資料の充実の方向性。特に、現在の「学校図書館図書標準」においては、蔵書数の定めはあるが、それ以外の定めはないことについて。
○ 電子書籍の扱いについて。
○ 新聞の有効活用について。
2.学校図書館の運営を支える人材について
○ 司書教諭の役割について。
○ 平成26年報告書等で示された学校司書の役割と、学校司書の資格養成やその在り方について。
○ 学校図書館ボランティアの有用性について。
3.学校図書館の機能を有効に発揮するための施設整備面での工夫について
4.民間のノウハウの活用について
5.各学校の図書館運営を支える教委委員会等による支援について
○ 公立図書館による研修支援や学校図書館のネットワークについて。
6.学校図書館の運営の評価について
○ 成果指標(KPI)の設定について。
上記をまとめると、
・図書館の物的資源について(資料をどう充実させるか、施設をどう整備するか)
・図書館の人的資源について(司書教諭、ボランティア、その他の関与者)
・図書館運営の評価について
の3点が中心になりそうですね。
ちなみに、図書館の現状についての資料も掲載されているのですが、この中で、学校図書館の役割(存在意義)に関して言及している部分がありますので、そちらも見ておきましょう(太字は筆者による)。
学校図書館は、図書館資料を児童生徒や教員の利用に供すること等により、「学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成すること」を目的とするものであり、以下の3つの役割を担うもの。
①読書センター 読書活動の拠点となること
②学習センター 授業に役立つ資料を備え学習支援を行うこと
③情報センター 情報活用能力を育むこと学校図書館が充実し、その役割を果たすことで…
① 読書好きの子供を増やし、確かな学力、豊かな人間性を育む
② 授業で蔵書・新聞等を利活用し、思考力・判断力・表現力等を育む
③ 探究的な学習活動等を行い、子供の情報活用能力を育む
④ 豊富な授業に役立つ資料を通じ、教員の指導力も向上する
⑤ 悩みを抱える子供の「心の居場所」となる
ことなどが期待。図書や新聞等の蔵書の整備+司書教諭・学校司書等の人材の配置=学校図書館の充実
先日、新聞に「図書館の先生は楽なのに、自分たちは忙しすぎる」という趣旨の投稿がある教員さんから寄せられていました。
後日、図書館司書の先生から反論が寄せられていましたが、私が耳にしている話も合わせて考えると、どうやら学年団所属の先生方と図書館の先生方の間にはやや溝があるのが現実のようです。
本来はいずれもが子どもたちの育ちに関わる機関として、連携しながらより良い教育を実践すべきだと思うのですが…残念な現象です。
上記「学校図書館の役割」にもあるように、学校に不可欠、いやそれ以上に学校魅力化の核として、学内での存在感を高めていただきたいと願っています。