寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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続・高大接続システム改革会議「中間まとめ」の公表について

本日は昨日のブログの続編。

こんなことはめったにしないのですが…

念のため、再度引用元を示しておきます。文科省HPです。

高大接続システム改革会議「中間まとめ」の公表について:文部科学省

 

昨日もお伝えした通り、高大接続システム改革は「高校教育」「大学教育」「大学入試制度」の3つが柱になっています。

その中で私が着眼したのは「高校教育」の中身。

本日は中間まとめのこの部分を採り上げたいと思います。

ただ、このパーツだけを引用してもかなり長くなります(報告書21ページ分!)ので、以下、私なりの要約版をご覧いただくことにします。

(1)改革全体の基本的な考え方

○以下に掲げる三つの観点から高等学校における教育改革を推進

ア.育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目等の見直しなどの「教育課程の見直し」
イ.アクティブ・ラーニングの視点からの「学習・指導方法の改善」と教員の養成・採用・研修の改善を通じた「教員の指導力の向上」
ウ.学習評価の在り方の見直しや指導要録の改善などの「多面的な評価の推進」

→「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を新たに創設

(2)改革の方向性

ア 教育課程の見直し

「共通性の確保」と「多様化への対応」の観点を軸として中教審にて検討中

○ 社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」

全ての生徒が共通に身に付けるべき資質・能力を明確化し、それらを育む必履修教科・科目等の改善を図るとともに、教科・科目等間の関係性を可視化する。

特に、国語科、地理歴史科、公民科、外国語科、情報科における必履修科目の在り方については、各科目における現状の課題等を踏まえ、各科目の内容のみならず、共通必履修科目の設置や科目構成の見直しなど、抜本的な検討を行う。

例)「世界史」の必修を見直し、共通必履修科目として「歴史総合(仮称)」「地理総合(仮称)」を設置/公民科における共通必履修科目として「公共(仮称)」を設置

○一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様化への対応」

学び直しや特別な支援が必要な生徒への対応や、優れた才能や個性を有する生徒への支援など、様々な幅広い学習ニーズがあることを踏まえつつ、各高等学校が、それぞれの学校や学科の特色に応じた魅力ある教育課程を編成・実施できるようにする。
特に理数教育については、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組事例なども参考にしつつ、選択科目として「数理探究(仮称)」を新設

加えて、学び直し等の多様な要請に応えるため、各高等学校が生徒の実態等を考慮して、学校設定教科・科目を設けることや、学習指導要領上の教科・科目等について標準単位数を増加して対応することなども、「カリキュラム・マネジメント」の中で検討

イ 学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上

○ 高等学校教員が、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学びを重視した教育を展開することができるよう、きめ細かな指導体制の充実を図るとともに、教員の資質の向上に向け、教員の養成・採用・研修の各段階を通じた抜本的な改革を行うことが必要

○ 教員がキャリアの段階に応じて身に付けることが求められる能力の明確化が必要

○ 養成段階:教員として必要とされる知識や実践力、生涯にわたって学ぶ基礎となる力の育成を図るとともに、アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善など新課題に対応した科目の設定や、学校現場体験による実践力の育成及び適性確認、大学教職課程に係る質保証の仕組みを構築

○ 採用段階:特別免許状の活用等による多様な人材の確保の方策や、教員採用試験の共同作成に関する検討

○ 研修:法定の研修や各都道府県の教育委員会等が計画・実施する各種の研修はもとより、自発的・継続的な研修を行っていくことが重要

○ 初任者研修改革として、校内研修プログラムを重視する中で、二、三年目研修への接続やアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善など新課題に対応した研修を実施
○ 十年経験者研修改革として、ミドルリーダーとしての能力育成を重視する観点から、チーム研修計画など連携・協働しながら研修を行う体制を整備するとともに、アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善など新課題に対応した研修の実施を推進
○ 管理職研修改革として、校内研修の体制・内容の充実を図るとともに、体系的・計画的な管理職の養成・研修システムを構築

ウ 多面的な評価の充実

○ 単に知識・技能のみを評価するだけでなく、知っていること・できることをどう使うかという観点や主体的な学びの過程の実現に向かっているかという観点、多様な人々と協働して学ぶ態度を身に付けているかといった観点などをはじめとした、「学力の3要素」についてバランスのとれた学習評価が行われるよう、学習評価の在り方や指導要録の改善など学習評価の改善を行う

○ あわせて、校長会等が実施する農業、工業、商業等の検定試験の活用促進や各種民間検定の質的向上・普及促進に加え、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入するなど、多様な学習成果を測定するツールを充実することにより、高等学校教育全体において、生徒の多様な学習活動・学習成果を適切に評価する仕組みを構築する

(3)高等学校教育の質の向上に向けたカリキュラム・マネジメントの確立とPDCAサイクルの構築

○ 高等学校教育全体の質の確保・向上を図るための仕組みとして、各学校が教育目標を実現するために教育課程を編成、実施、評価、改善していく「カリキュラム・マネジメント」を確立し、学校における「PDCAサイクル」を構築

○ 具体的には、各学校において、以下のような取組を進める。
P)学校ごとの教育目標の設定、教育課程の編成、指導計画の作成・見直し
D)アクティブ・ラーニングの視点からの学習の充実を図るとともに義務教育段階を含めた学び直し等を行う授業など多様な教育活動の展開
C)日々の学習成果の指導要録等への適切な反映など多面的な学習評価の充実
A)学習評価の結果や把握した基礎学力の定着度に基づく改善点等の教育目標や教育課程、指導計画、教材研究への反映

(4)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入

ア 導入の背景(略)

イ 基本的事項

①目的
○ 生徒の学習意欲の喚起、学習改善を図るとともに、その結果を指導改善等にも生かすことにより、高等学校教育の質の確保・向上を図ることを主たる目的とする。

②対象者
○ 希望参加による実施とする…学校単位での参加を基本としつつ、生徒個人の希望に応じた受検も可能とする。

ウ 具体的な仕組み

①対象教科・科目
(対象教科・科目)
○ 国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語において、全ての生徒に共通して履修することが求められる必履修科目を基本として実施する。
○ 平成31年度導入当初からの実施に当たっては、試行実施等を通じて円滑な導入を目指すため、対象教科については、全ての生徒が共通に履修する範囲を上限として、国語、数学、英語で実施する。
○ さらに、次期学習指導要領の改訂に向けた検討や国語、数学、英語の実施状況等を踏まえながら、次期学習指導要領が実施される段階における地理歴史や公民、理科等を追加導入する。
○ なお、保健体育、芸術、家庭、情報及び職業に関する各教科は、高大接続改革答申において、実技や実習等による幅広い学習活動によって評価される比重が高く、一般に多肢選択式や記述式のテストになじみにくいこと等にも配慮して検討することとされている。
○ また、受検する際には、一部の教科・科目を選択して受検することも可能とする。

(各教科・科目における出題範囲)
○ 原則として、「国語総合」、「数学Ⅰ」、「コミュニケーション英語Ⅰ」を上限とし、履修した翌年度以降に受検することを基本とする。
○ その際、現行学習指導要領においては、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることとされていることを踏まえ、出題範囲の中に義務教育段階の内容も一部含める。

②問題の内容

(難易度の設定)

○ 高校生全体のうち、そのボリュームゾーンとなる平均的な学力層や、学力面で課題のある層を主な対象として出題する

(テストで測定する資質・能力)

○ 「学力の3要素」のうち、基礎的な「知識・技能」を問う問題を中心としつつ、現在、中央教育審議会において別途検討が行われている次期学習指導要領も念頭に「思考力・判断力・表現力」を問う問題をバランスよく出題することとする。
○ 問題の作成に当たっては、実社会の様々な事物や事象に結び付けた問題や、単に条件を当てはめるだけでなく、条件を導き出す力を問う問題、単に解答を求めるだけでなく、解答を導く過程等を重視する問題、解答を導く過程の不適当な点を指摘修正させる問題など、様々な形態の問題を導入することが必要である。加えて、多様な資質・能力を測るようにする観点から、問題の性質に応じ、部分的に計算機能や辞書機能の使用を認めることも考えられる。

③出題・解答・成績提供方式

(多様な出題・解答方式の導入)

○ 基礎的な知識・技能から思考力・判断力・表現力まで、幅広い資質・能力を把握することができるよう、「選択式」の問題でも、正誤式や多肢選択式の問題に加え、複数の正答がある問題や複数の思考プロセスを評価する問題など多様な解答方式を導入する。加えて、一定の文字数を記入する「記述式」など、それぞれの特徴を生かした多様な解答方式を導入する。

(IRTの導入)

○ 統計的な処理を行うことで、複数の異なるテスト間の結果を比較することができる「項目反応理論」(以下「IRT」という。)を導入する方向で、今後、更に詳細な制度設計を行う。

(CBTの導入)

○ 同一テスト時間内において、問題の正答率に応じて、それ以降の問題の難易度を変えたりすることのできる適応型テストへの拡張が可能であり、様々な技能を測定しやすいCBTの導入について検討する。その際、実現可能性も踏まえつつ、紙によるテスト実施も念頭に置きつつ検討する。
○ 具体的な実施方法としては、タブレットなどのモバイル端末を活用する方式や、学校内に配備されているコンピュータを活用する方式などが考えられる。

(生徒に対する段階別の結果提供)

○ 一定程度のきめ細かな段階を示すことで自身の学習の定着度を明確にするとともに、以後の学習の目標になりやすく、学習の成果が実感しやすくなるよう、10段階以上の多段階で本人に結果の提供を行う。また、より詳細な学習改善や指導改善にも生かすことができるようにするため、単元ごとなど分野別の結果や各設問の出題のねらい等を提供する。

○ 各生徒の高等学校段階における基礎的な学習の達成状況について確認する「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)を行う性質のテストであり、「集団に準拠した評価」(いわゆる相対評価)を行う性質のテストではないことから、各生徒等の順位は示さないこととする。

(学校や都道府県等への結果提供)

○ 学校単位で受検する場合は、当該学校に対して各生徒の結果を提供するとともに、都道府県に対して管内の各学校の結果を提供することとする。また、実施主体は受検者全体の状況を公表する。
○ その際、生徒の扱いと同様に順位を示すことや、平均点を示すことなど、学校や都道府県間における比較は行わない。

④実施回数・時期・場所

(受検回数・時期)

○ 生徒の基礎学力の定着度の把握及び学習改善に生かす観点から、経年での学習成果の推移が分かるよう、年複数回受検できる仕組みとする。
○ CBT-IRTが導入された場合は、実施時期や回数を制限せずに、学校や個人の都合に合わせて弾力的に運用することも可能となることから、その導入状況等を踏まえながら検討する。
○ 導入当初は、高校2年次及び3年次(定時制課程及び通信制課程の場合は、4年次も想定)において、生徒がそれぞれの希望に応じて、年間2回(在学中に4回)受検することができる仕組みとし、今後導入状況等を踏まえながら、必要に応じ、実施学年や回数について見直しを行う。
○ なお、基本的には高等学校に現に在籍する生徒を対象として実施するが、高等学校等を卒業した者等も、受検することができる仕組みとする。
○ 実施時期については、導入当初は、夏から秋までを基本としつつ、今後、高等学校関係者等との意見交換等を行いながら、引き続き詳細な実施時期を検討する。
○ 学校単位で受検する場合には、正規の教育課程の一環として「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を実施することも可能であり、平日に実施することも可能とする。一方、個人単位で受検する場合には、当該生徒が通う学校の教育活動への影響を勘案し、土・日・祝日や長期休業期間などに実施することを基本とする。

(実施日程)
○ 1科目当たりのテスト時間の目安としては、おおむね50~60分程度とすることを基本とする。なお、CBTによる適応型テストの導入が可能となった場合、限られた時間内において、より効率的に生徒の学習の定着度を把握できる可能性がある。

(実施場所)
○ 学校単位で受検する場合には、生徒の参加申込みも踏まえながら、既存の様々な試験実施会場等も参考にしつつ、高等学校や公の施設の利用などを含めて検討することとする。

⑤受検料

(低廉な価格による受検料の設定)

○ できるだけ多くの生徒が受検しやすい環境を整備する観点から、今後、受検者
数やテスト実施に係る経費などを踏まえ、1回当たり数千円程度の低廉な価格設定
となるよう検討する。

⑥活用の在り方(略)

⑦民間の活用等(略)

⑧その他(略)

かなり長くなってしまって申し訳ないです。これでもかなり要約したつもりなのですが…

なお、全文をご確認いただくには本ブログの冒頭部分に貼らせていただいたリンクからご覧ください。

 

制度自体は決まったものを受け入れるしかないのですが、上記で個人的に気になっているのは教員の研修についてです。

当然、公立の先生方を念頭に置いた制度設計なのですが、仮にこういった研鑽が活性化すれば、公立校の教員各位の教育力は確実に上昇することが見込まれます。

学校という場においては教員の教育力が何よりも重要な経営資源

特に私学においてはまさに経営のコアになるところですよね。

各私学が、あるいは私学が連携しながら教員の力をつけていくための取り組みを行う時期が迫っているのではないでしょうか。

 

その他、今後の方向性についてはぜひ今回の中間まとめをご確認ください。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。