寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言

洪水、地震、噴火と、自然が猛威を奮っている昨今。

ご当地の方々には心よりお見舞いを申し上げます。

と同時に、その自然の中に住まわせてもらっている人間として、謙虚さを失わないようにせねばと自戒する日々です。

 

さて先日、文科省からこんなレポートが発信されました。

教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言:文部科学省

 

予算編成の時期なんだなあ、と思わせる文書です。

そして、財務省に喧嘩売ってるの?というような内容でもあります。

ひとことで言うなら、

「将来に向け、学校においては少人数対象の指導のため、教員数の充実は必須です」

という内容になっているのですが、その根拠としていくつかの要素が示されています。

これらは今後の文科行政の方向性を示すものと思われますので、公立校を念頭に置いたものながら、私学も意識しておくべきこととして、本ブログで採り上げた次第です。

全文を読むのはやや大変だと思いますので、以下、私なりの要約で書かせていただきます。

教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言 平成27年8月26日
1.はじめに (略)

2.今後の教職員等の指導体制の基本的考え方
(1)計画的な教職員の定数改善の必要性
○知識基盤社会化、グローバル化少子高齢化の進展といった社会の変化の中で、我が国の学校教育は、知識の量を問うような教育だけではなく、日本の成長を支える「新しい知・価値」を創造する教育への転換が求められている。また、学校を取り巻く環境が複雑化・困難化している中で、学校に求められる役割はかつてよりも拡大・多様化しており、これまでの教員の専門性だけに依拠した指導体制では対応が困難となりつつある。このため、教員の専門性に加え、多様な専門スタッフの参画を通じた学校の教職員構造の転換を図り、学校の組織的な教育力を高めていくことが急務である。
○ また、現在、中央教育審議会においては、学習指導要領の改訂、とりわけ、「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の改善や、チーム学校の考え方に基づく教職員指導体制の方向性についての検討が行われているが、長期的な定数改善計画の策定にあたっては、それらの検討の方向性と内容が合致するように十分留意する必要がある。
(2)少人数教育の在り方について
○ 学習指導要領の改訂に際して検討されている「アクティブ・ラーニング」の視点に立った学びを推進するなど、課題発見・解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力などを育むためには、個々の児童生徒の興味・関心、理解や習熟度に応じたきめ細かな指導を一層充実させていくことが不可欠である。このため、このような教育の質を高める取組として、国・地方を通じてこれまで進められてきたティーム・ティーチング、習熟度別少人数指導、少人数学級をはじめとする少人数教育の推進は、今後とも重要な政策課題である。
○ こうした少人数教育を推進するための方策の一つとして、35 人以下学級の推進があり、平成 23 年 4 月には、義務標準法の一部改正によって、小学校 1 年生の学級編制の標準が 40 人から 35 人に引き下げられた。
○ また、先述のとおり、少人数教育推進のための手段は、少人数学級に限られない。学校現場の状況が様々であるため、都道府県によっては、学級編制の基準を引き下げるのではなく、定数を活用するにあたり、市町村教育委員会や学校の判断によって、少人数学級に取り組むか、習熟度別少人数指導やティーム・ティーチングに取り組むかを選択できるようにしているところもある。
○ さらに、「アクティブ・ラーニング」の視点に立った学びの推進など新しい学習指導要領の趣旨を実現する授業を行うには、学級ごとの一斉指導を行うだけではなく、児童生徒の興味・関心や習熟度等に応じ、個別化した学習を進めるなど、きめ細かで多様な学習を実現する必要があり、そのような学習を推進する指導体制を検討することも必要となってくる。

3.今後の教職員等の指導体制と平成 28 年度概算要求に向けた考え方
(1)課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の実現に向けた指導体制の在り方
ア. 新たな学習・指導方法に対応した定数措置
○ 子供たちに新しい時代に求められる資質・能力を育成するためには、「アクティブ・ラーニング」の視点に立った学びの推進が重要であり、そのため、子供の主体的な学びにきめ細かく対応し、個々の児童生徒の興味・関心、理解や習熟度に応じた指導を一層充実させることが必要である。
イ. 教職員の新たな職務に対応した定数措置
○ 新学習指導要領を効果的に実施するためには、各学校において、単なる時間割の編成を超えて、①「アクティブ・ラーニング」を重視したカリキュラム開発、②当該カリキュラムに係る指導計画の策定、③教材開発、④授業の支援、⑤評価、⑥校内研修等を行う必要がある。
ウ. 教職員の質の向上に対応する定数措置
○ 「アクティブ・ラーニング」の視点に立った学びを推進するために、教員は授業の改善が求められることから、そのために必要な研修等の質の向上のための定数措置を講ずるべきである。
(2)小学校英語の教科化等に向けた指導体制の在り方
○ 小学校における英語教育については、学習指導要領の改訂に係る議論の中で検討されている小学校高学年における英語教育の教科化など、その充実が求められており、発達段階に応じて、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的・系統的に扱う学習が必要である。そのため、各学校において学級担任が更に専門性を高めるとともに、特に小学校高学年においては、専科指導を行う教員を活用するなど発達段階に応じた英語教育の専門性を一層重視した指導体制を構築する必要がある。
(3)ICTの充実に対応する指導体制の在り方
○ 今後の学校教育においては、ICTを効果的に活用した「アクティブ・ラーニング」の視点に立った学びの推進等の学習指導面においても、校務の情報化の推進による業務改善などの校務面においてもICT環境を充実させるとともに、そうした環境を十分に活用できる人材を配置することが不可欠である。
(4)特別支援教育に対応する指導体制の在り方 (略)
(5)学校の教職員構造の転換(チーム学校)に向けた指導体制の在り方
① 専門スタッフの配置促進について
○ チーム学校作業部会中間まとめを踏まえ、学校の教職員構造を転換し、教員だけではなく、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学校司書、ICT 専門職員、医療的ケアを行う看護師、部活動指導員、補習等の教育活動を充実させるための指導員など、専門的知見を有するスタッフを学校に配置し、多様な教育課題に対して学校が組織全体として一つのチームとして力を発揮できるよう、必要な教職員定数措置や財政支援を行うべきである。
② 学校のマネジメント機能の強化について
○ 「チーム学校」の実現に向け、多様な専門スタッフが学校に参画する取組を進め、学校の教育力を高めるためには、専門スタッフをチームの一員として機能させる必要がある。そのためには、学校管理職が効果的にリーダーシップを発揮し、機動的な学校組織を構築していくことが重要であることから、チーム学校作業部会中間まとめを踏まえ、副校長・教頭の配置の促進や主幹教諭・指導教諭の配置促進等の必要な定数措置を行うべきである。
○ 学校のマネジメント機能の強化を図る上では、これまでの学校運営事務の分担の在り方を見直し、学校運営事務の質を高めるとともに、副校長・教頭の業務負担を軽減し、より多くの時間を教員への指導等に注げるような体制を構築する必要がある。そのためには、事務職員が、これまで担ってきた業務に加えて、情報管理、危機管理、地域連携等を担うことが求められており、これらの業務の拡大や役割分担の見直しに対応した学校事務体制の充実を図ることが必要である。
(6)個別の教育課題に対応する指導体制の在り方 (略)

4.おわりに ―今後の教職員定数の改善の展望―
○ 2及び3の考え方を実現するためには、厳しい国・地方の財政状況の中では、学校現場の要望等のみならず、都道府県知事や市町村長、地方議会等の地方公共団体、国会、国民各位において、教育再生や新しい教育に対する共通理解が不可欠の要素である。
○ このためには、まずは学校、教育委員会等において、活用できるリソースは全て活用するとともに、効果的・効率的な学校運営とするために業務改善を図ることが必要である。
○ その上で、必要な教職員定数の改善を行うこととなるが、その場合においても、国民に追加的な財政負担を求めないようにすることが必要である。具体的には、少子化に伴う児童生徒数の減少に伴う学級数の減少に連動する教職員定数の減少(いわゆる「自然減」)を活用し、現在の義務教育費国庫負担金の範囲内で改善を図ることが必要である。我が国の教員数と児童生徒数の比率は、10 年程度で OECD 平均並みとすることが一つの目標となるが、そのために必要な規模(約3万人)の定数改善も、この自然減の範囲内であり、厳しい財政事情を勘案した真に必要な定数措置を行うべきである。

以上、かなり大胆に割愛させていただきましたので、文脈が通らないところもあるかもしれませんがご容赦ください。

 

要するに、公立校は少人数を対象とした教育のしくみを整えようと舵を切っているように見えます。

御校における学校規模、クラス規模の考え方を整理する際に、このような情報を意識しておくのは決して悪くないことだと思います。

これから本格化する次年度以降の事業計画策定において、ご活用いただければと願っております。