教員の皆さんには切ない話題ですが、本日はこんなニュースをピックアップしてみました。
学校のトラブル「先生のせい」? 増える共済・保険加入:朝日新聞デジタル
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学校で起こるトラブル。
もちろん、未然に防止することが大切なのは言うまでもありませんが、十分注意していたにもかかわらず発生した事故や損害を、教員が「個人的に」賠償せねばならないケースが出てきているようです。
そして、その賠償金額は個人負担するには多額に上ることも。
結果、このニュースにあるように、教職員向けの共済・保険加入者が増えている、とのことです。
記事に掲載のある、教職員賠償の給付例を列挙してみましょう。
・学校行事の駐車場用地として、教員が空き地の草刈りをしていたところ、石が飛んで隣接の駐車場の車数台を傷つけてしまった
・卒業アルバム作成時に生徒の名前に誤りがあったが発見できず、修復が必要になった
・運動会の組み体操の練習中、生徒がメガネを外して足元に置いていたところ、気づかず踏んで壊してしまった
・校外学習のため給食を止めるべきだったのに失念した
・生徒間のケンカの対応が不適切だった(と保護者から損害賠償を求められた)
・プールの栓を閉め忘れ、自治体から水道料金の一部支払いを求められた
・校外学習のため給食を止めるべきだったのに失念した
確かに、担当教員のミスと言えばそうなのかもしれませんが…やりきれないものを感じてしまいます。
本来であれば、責任を問われるのは学校の設置管理者である自治体や学校法人、であるはずなのですが、個人的なミスまで構ってられない、ということなのでしょうか。
記事に登場する、関西の60代の元小学校長はこんなふうにコメントされています。
教員になったころは「保護者が見守ってくれている」という思いがあった。今は「教育委員会に訴える」と迫る保護者が増えたと感じる。「みんな、いっぱいいっぱい。追い詰められ、漠然とした不安を抱えている」と言う。
そして、保険加入が増えている現実に対し、ある大学教授はこう話しています。
「学校教育はサービス業であるとの認識が広まり、保護者や地域の目は厳しさを増している。かつて教員は安定志向の人が就くことが多かったが、もはや覚悟が必要だ。ストレスばかり増す教員にとって、保険はお守りのようなものだろう」
学校教育はサービス業、ということに私自身、異論はありません。
しかし、サービス業の最重要資源かつ最前線は「人」であることも忘れてはなりません。
そして、その「人」を守るのが「組織」の一つの役割ではないか、と私は思います。
もちろん、個々のケアレスミスはゼロにすべき、ということは言うまでもありません。
ですが、起こってしまった事柄に対し、それが少なくとも故意によるものでないのであれば、経済的責任まで個人に負わせるのはどうも納得がいかないのですが…
学校で働く教職員さんが少しでも気持ちよく働けるようなしくみの整備が、組織に求められているように思えてなりません。