本日は人材育成に関する話題をお届けします。
日本経済新聞より。
大学職員、研修進まず 法務や会計 全員参加6.6%どまり :日本経済新聞
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教学方の研修、あるいはそれを促進するための組織的なしくみは「FD(ファカルティ・ディベロップメント)」と呼ばれ、業界内においては一定の認知がなされつつあります。
一方、今回の記事には「SD(スタッフ・ディベロップメント)」という言葉が掲載されています。
こちらは『事務職員らが経営や教育・研究支援など様々な分野で能力を発揮できるよう、大学が組織的に研修などに取り組むこと』とされているようで、恥ずかしながら私はこの言葉を知りませんでした。
記事にはこのように書かれています。
少子化で18歳人口と同時に志願者数が減少すれば大学の経営を圧迫する。大学生の現在の構成は国立61万人、公立14万人、私立209万人。特に私立大が受ける影響は大きく、特色をアピールして学生を集めないと経営が行き詰まってしまう。
そうした状況に対応するため、大学が中長期の経営計画を立てる必要性があり、実務部隊としての事務職員の育成が課題となっている。
この記事で紹介されている統計は文科省が毎年実施している大学の教育内容に関する調査。
この結果で、SDに取り組んでいるのは全体の82.5%にあたる628校。
結構高い割合ですよね、と思ったのは束の間、中身はやや深刻です。
それは、SDへの事務職員らの参加状況。
専任職員の「全員」がSDに参加している大学はたったの6.6%(50校)。
職員の「半数以上」で括ってもその割合は50%に満たず、参加率は決して高くないようです。
SDの内容としては、
・大学関連の法律など「基礎的な知識・理解を深める」:59.4%(最多)
・会計や知的財産管理など「業務領域の知見獲得」:48.0%
・語学研修など「コミュニケーション能力向上」:39.0%
・大学の中長期的な運営計画の策定など「戦略的な企画能力の向上」:23.3%
といった結果になっており、SDの本来的な目標である「事務職員の経営参画」「中長期の事業計画策定」を見据えた場合には、肝心の項目の率が低調で、ややお粗末な結果になっています。
研修は日常業務に比べると優先順位が下がることが多いですが、長期を見据えるとそれはとても危険なことだと感じます。
個々の能力や技術の向上はもちろん、意識の向上、さらには組織力の向上という重要なテーマを忘れずに、組織内での研修を位置付けていただきたいと願っております。