寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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将来における経済的不安感と主観的健康感との関連についての研究

本日の記事は(株)ワイズコンサルティング児島が配信します。

 

(リンク先はPDFファイルです)

将来における経済的不安感と主観的健康感との関連についての研究

http://jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm10/jgssm10_10.pdf

 

 この論文は、社会調査プロジェクトJGSSの2008年版を分析したものです。
 主観的健康観という言葉が出てきます。これは実際に治療中であるか否かを問わず、自分で健康状態を評価するものだそうです。

 

 それまでの研究では、将来への不安感(経済状況、失業)が主観的健康観に負の影響があるとされてきました。今回の分析でも、女性に関してはそれが当てはまるとされています。しかし男性に関しては将来よりもむしろ現在まわりの収入と比較して平均より下であると感じたときに主観的健康観に負の影響があるとわかったのです。

 

 論文はこの結論について考察しています。女性はパート・アルバイトの割合が多く、雇用が不安定になりやすいこと。さらに育児などでいったん離れると、再び働きだすのが容易ではないこと。したがって、女性がよりよく健康にすごす環境を作るなら、将来を見据えられる経済状況や雇用状況といった社会基盤が必要になると。一方で男性は所得と雇用の両面で比較的恵まれているため将来をどう思うかと健康は、女性ほどには結び付きにくいのではないかとしています。

 

 といったことを踏まえて。
 
 では、どれくらいの男性が自分を平均より下だと思っているでしょうか。調査では 49.4%、ほぼ5割がそう感じています。女性の場合、若干ですが中の中と自認する人が多く、平均以下と感じている人は4割程度です。ちなみに回答から平均所得も割り出してあるのですが、その数字と比較すると男女ともに自分を過少評価する傾向があるようです(本当に平均より下なのは男性40.5%、女性36.3%)。

 

女性にまだ中流意識が残っているのは、あきらめも混じっているのではないかと感じています。周囲もまた非正規雇用が多く、雇用環境は厳しくなりやすい、女性は稼がなくてもいい。そういう中での平均意識ではないかと思うのです。この社会的構造が変わったとき、今度は女性も男性と同じように他人と比較することで健康に不安を感じるようになるかもしれません。

 

健康不安を抱えておかしくない男性が半数に上るのは多すぎ、給与水準とは別に不安解消となる施策が図られるべきではないでしょうか。また、今後も女性が働きやすい社会へと変わっていくのは望ましいけれど、健康とトレードオフにはならないような変化であってほしいと思います。