本日は子どもたちをめぐる経済的事情についてのニュースを2本。
どちらもリセマムより。
まずは1本目。
経済的理由で中退した私立中高生、過去最低水準に | リセマム
全国私立学校教職員組合連合が実施した「学費滞納調査」で、経済的理由による私立中高生の中退の状況が明らかになった、というニュース。
この調査は1998年から毎年なされていて今回が17年目。
今回の調査は2015年3月末時点における、2014年度の中途退学と3か月以上の学費滞納の状況を調べたもので、28都道府県の私立高校280校242,432人、22都府県の私立中学117校44,695人から回答が得られています。
結果概要は以下の通り。
【私立高校生】
・経済的理由による中退者:101人(中退率0.04%)…前年比0.01%増
・経済的理由による中退者が学校数:19都府県42校(15%)…前年より微増
・3か月以上の学費滞納生徒:762人(滞納率0.31%)…調査開始以来最低
【私立中学生】
・経済的理由による中退者:10人(同0.02%)…この3年間で大きな変化なし
・経済的理由による中退者が学校数:6校(5.1%)
・3か月以上の学費滞納生徒:71人(同0.16%)…前年度を上回った(前々年以前と比較すると大きな変化はなかった)
あれ?増えてる指標もいくつかあるのに、表題では「過去最低水準」って書いてあるよ?と思われた方も多いでしょう。私もその一人です。この記事においてはあくまで水準として過去最低レベルであることを言いたいようですが…やや不適切な表題かもしれませんね。
ちなみに記事の末尾には、経済的理由による私立高校生の中退率が微増した理由についての調査元のコメントが掲載されていますので引用しておきます。
「国の就学支援金制度の見直しで私立高校の低所得層への就学支援金は加算されたが、その分自治体単独負担の減免制度を後退させた自治体が多く、保護者負担が減少していない世帯が多く生まれ、結果的には保護者の負担額は大きく変化していない」
続いて2本目の記事はよりいっそう深刻な内容です。
子どもの貧困率が増加、就学援助率は過去最高の16% | リセマム
内閣府「平成27年版子ども・若者白書」からのデータ。
子どもの相対的貧困率は1990年代半ば頃からおおむね上昇傾向で、平成24年にはその率なんと16.3%。6人に1人の割合です。
子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は15.1%で、中でも大人が1人の世帯の相対的貧困率は54.6%。これは大変な事態です。
そして、経済的理由により就学困難と認められて就学援助を受けている小中学生は平成24年度に約155万人。この数字は平成7年度の調査以降初めて減少したとのことですが、その主な原因は子どもの数全体の減少によるものであって、状況が改善されたわけではないようです。そのことを物語っているのが就学援助率の上昇で、今回の調査では過去最高の15.6%となっています。
私学におけるマーケティングどころか、より一層深刻な社会的課題がそこには存在しているように感じます。
ちなみにこの白書には以下のデータも掲載されているようです(記事から抜粋)。
・平成26年10月1日時点の30歳未満人口:3,512万人(総人口の27.6%)…昭和50年以降ほぼ一貫して減少
・平成26年度の在学者数
小学校・中学校:1,012万人…1980年代前半以降減少
高校:335万人…1990年代から減少傾向
大学・短期大学・高等専門学校:305万人…1990年代半ばからほぼ横ばい
・平成26年度の進学率
高校への進学率:98.4%…1970年代半ばから9割超
大学・短期大学への進学率:53.9%…これまで長く上昇傾向が続いていたが近年は横ばい
以上、本日は子どもたちに関連する経済状況その他についてのニュースをお届けしました。