本日は退職金のニュースをお届けします。
日本経済新聞より。
退職金は平均1747万円、4年で7%減 8000人調査 :日本経済新聞
(月刊日経マネーからの引用記事。全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)
フィデリティ退職・投資教育研究所が実施した「退職者8000人調査」の2015年版の結果です。
この調査は60~65歳の退職者で退職金をもらった人が対象で、回答者数は8,630人。
同じ調査が2011年2月にも実施されているため、時系列での変化がある程度見えてきます。以下、概要を確認しましょう。
まず受け取り方については、ほとんどの人が退職金を一時金で受け取っているという結果に。
そしてその使途は、5割強が「生活費」、2割が「ローン返済」。
これら2点は2011年も2015年も同様の結果とのことです。
一方で、退職金額の平均値は2015年が約1,747万円で、2011年から約7%下落。
原因として、退職者の所得自体が低くなっていることが指摘されています。
ちなみに、この記事には金額の分布表も掲載されているのですが、2011年時点では退職金額の最多価格帯は「2,500~3,000万円」(17.4%)だったのが、2015年には「500万円未満」(17.3%)へと変化しており、その差は歴然です。
加えて、同じ調査の中で「退職後の就労状況」についても質問がなされており、その結果、「定年後も同じ会社で再雇用」されている人は60歳で4割弱いるものの、65歳では1割強。
逆に「収入なし」と答えた人の割合は加齢とともに増加し、65歳では50.2%と半数超えになっています。
さて翻って御校の退職金制度はいかがでしょうか。
以前は私学の退職金もかなりの水準を確保できていたと思いますが、昨今私学財団等における運用益の低下もあって、高額な退職金が学校経営を圧迫するケースも増えているように感じています。
本調査は基本的には大企業退職者が対象となっているように思いますが、それでも退職金額の平均値である1,750万円を超えている私学は相当程度あるのではないでしょうか。
もちろん、勤続への慰労、また老後の保障のために退職金の充実は大切なテーマではありますが、そのことで私学経営が立ち行かなくなることは避けねばなりません。
持続可能な制度設計のために、これらの世間相場も勘案しながら、御校にふさわしい退職金制度の再構築をお進めいただければと願っております。