寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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文部科学省のSSH中間評価、ねらいの達成が見込まれるのは全73校中5校

タイトルが過激なので、思わず内容を確認してしまった記事です。

リセマムより。

 

文部科学省のSSH中間評価、ねらいの達成が見込まれるのは全73校中5校 | リセマム

 

SSHスーパーサイエンスハイスクール=将来の国際的な科学技術系人材の育成を図るため、科学技術・理科、数学教育に関する研究開発を行う高等学校等。

指定期間全5年間の中で目標、ねらいを達成することが求められます。

そして指定から3年目の学校に対し行われるのが中間評価で、その中間評価結果が文科省HPで公表されました。

スーパーサイエンスハイスクール(平成24年度指定)の中間評価について:文部科学省

 

記事の表題を見ると、残る68校が達成困難なのでは…と心配になりますが、原典で確認すると、評価は6段階となっています。それぞれの評価と対象校数は次の通りです。

・「優れた取組状況であり,研究開発のねらいの達成が見込まれ,更なる発展が期待される」(5校)

・「これまでの努力を継続することによって,研究開発のねらいの達成が可能と判断される」(26校)

・「これまでの努力を継続することによって,研究開発のねらいの達成がおおむね可能と判断されるものの,併せて取組改善の努力も求められる」(12校)

・「研究開発のねらいを達成するには,助言等を考慮し,一層努力することが必要と判断される」(29校)

・「このままでは研究開発のねらいを達成することは難しいと思われるので,助言等に留意し,当初計画の変更等の対応が必要と判断される」(1校)

・「現在までの進捗状況等に鑑み,今後の努力を待っても研究開発のねらいの達成は困難であり,スーパーサイエンスハイスクールの趣旨及び事業目的に反し,又は沿わないと思われるので,経費の大幅な減額又は指定の解除が適当と判断される」(0校)

記事の表題に照らしていうなら、ねらいの達成が見込まれるのは5+26+12=43校、のような気がしなくもないのですが…それはさておき。

SSH、あるいはSGHといった、特徴ある取組計画を文科省が認定しているケースにおいては、このように「評価」がセットでついてきます。

教育は評価にはそぐわない、という意見も確かに存在する一方で、何かしらの評価がなされないことには補助金を付けようがない、というのもまた事実でしょう。

 

上記の6段階評価以外に、各校別のコメントも上記文科省ページに記載されています。

中でも、最高評価を得た5校のコメントにはどんな活動においても大切にすべき要素が含まれているような気がしました。

以下、関西で最高評価を得た2校の評価コメントをご紹介しましょう。

(太字は筆者による)

京都府立嵯峨野高等学校

○ 三年間の継続性を持たせた課題研究は連携大学の協力を得て成果を上げており,また,地域の高校の連携の中心になって活躍している。
SSH 事業担当の分掌を変更し,教務部の中のプロジェクトチームとしたことで学校全体の取組とするのに大きな力となっており評価できる。
理数科・英語教員の以外の教員連帯も順調に進んでおり,評価できる。サイエンス英語の取組については,海外の高等学校との連携で成果を上げつつある。

大阪府立泉北高等学校】

国際文化科と総合科学科の二つの学科の協力体制を構築し,国際交流によるグローバルな科学者を育てるという視点を十分に持っていること,高大連携から高大接続へ踏み込もうとしている点を大きく評価する。
生徒の意識調査,関係者のアンケートの結果を踏まえ,課題を抽出し,改善へつなげる仕組みを構築しており評価できる。
○ グローバルコースでは,一年生から課題研究を実施しており,良好な取組となっている。また,「課題研究のてびき」を作成し,生徒に先行研究の重要性を理解させていることが評価できる。

どのコメントも当該取組においては重要であると思われますが、特に太字にした箇所については、どの学校においても、またどんな取り組みにおいても、変わらず重要であるし、逆に言えば学校において欠けがちな要素であると感じます。

 

ひとつは「横のつながり」。

組織内部においては本来、すべての構成員が仲間であり、連携対象であるはず。

ところがそれが実践できている学校は私の知る限り、決して多くありません。

横の壁を取り払うことが、これからの学校においては必須でしょう。

 

もうひとつは「PDCAサイクル」。

「昨日よりも今日、今日よりも明日、より良くなるように」という意識があれば当然、現状の課題を抽出し、それを改善するという動きが必要になりますが、日常に追われるとどうしてもその意識が希薄になり、行動が疎かになります。

過去に縛られ、「より良く」という精神を失ってしまえば、成長はそこで止まる…それは個人であっても組織であっても同じですよね。

 

組織内が連携しあい、日常的に改善活動が行われる…そんな学校が増えるといいな、と願ってやみません。