本日は世間のお給料に関する話題を採り上げます。
朝日新聞より。
実質賃金、過去2番目の下げ幅 給与は4年ぶり増:朝日新聞デジタル
昨年4月の消費増税、また円安による輸入物価の上昇など、政策的な物価上昇とあいまって大きく水準を上げた物価に賃金が追い付かず、実質賃金指数は昨年12月まで18ヶ月連続の減少。
2014年の実質賃金指数も2.5%減と、過去2番目の下げ幅だったと記事は報じています。
ちなみに過去最大の下げ幅はリーマンショックの影響をうけた2009年で、2.6%減。
今回の下げ幅とは僅差です。
一方で、給与は下がっているのではなく、上がっています。
2014年に支払われた現金給与総額の月平均は前年比0.8%増(316,694円)。
残業代(前年比3.1%増)や賞与(同3.5%増)が主な原因で、4年ぶりに増えたそうです。
ちなみに基本給も増えている(一般労働者は前年比0.4%増、短時間勤務のパートも0.2%増)ものの、働く人に占めるパートの割合も増えているため、全体の基本給の月平均は前年ほぼ横ばい(241,357円、前年比111円増)となっています。
給与は上がったけれど、買い物をするときにはため息が出る…そんな状況が見て取れます。
給与制度の改定を進めておられる学校法人さんもいらっしゃると思いますが、その際、物価水準はどの程度考慮されているかと言えば、それほど重きを置いていない例がほとんどではないか、と思われます。
購買力、生活力といった意味からすれば、物価水準の上下に応じて賃金も上下させるのが本来なのかもしれませんし、さらに言えば、現在の物価高が始まるまでの何年かは物価が下がってきていましたから、同じ俸給表を継続運用していた学校法人さんにとっては、仮にベースアップしなくても、その分だけ実質賃金は上がってきていたとも言えるのかもしれません。
ただ、給与を受け取る側からすれば、額面が変わらないのに給料が上がっているという感覚は得られにくいもの。
いただく金額が増えて初めて給料が上がった、となりやすいわけです。
その逆に、物価が上がる時には実質賃金がどうこう、という話が出やすく、経営者側を悩ませます。
これは根本的に解決できる課題ではないかもしれませんが、現在の私学における給与制度の大多数が「固定的」な制度であるのに対し、若干でも「変動的」な要素を入れることによって、心理的な課題解決を図ることもできなくはないものと思います。
お互いが気持ちよく仕事ができるように、給与制度には十分な検討を加えていただきたいと願っています。